平行線: ある自閉症者の青年期の回想

著者 :
  • ブレーン出版
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892426803

感想・レビュー・書評

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  • 生い立ちの記を書いた「変光星」の続編とも言うべき本で
    高機能自閉症である本人が書き綴った高校生からの記録

    この本を一方的に鵜呑みにしてしまうことの危険を感じる
    むしろ誰にも見ることのできない自閉症というものが
    本人の心の中で巻き起こす詳細をさらけ出してくれているのだと言う見方を含めて
    読み進むべきだと思う

    多数派である健常者と自ら呼んでいる人々の保身的固定観念や善悪観から
    外れている些細な行動によって
    多数派である我々が怯えたりあきれたり馬鹿にしたり哀れんだりした結果の
    盲目的無視やイジメをなくすためにも
    この本にあるような憶測をはるかに超える自閉症の内実を知れることは
    人々の掛替えのないコミュニケーションの進展を促すだろう

    しかし読み方しだいではどちらかの一方を非難してしまいかねないし
    何の解決も進展も得られないことになってしまうだろう

    小中高とどんどんエスカレートしてわけのわからないイジメ環境に迷い込んでいく人々
    しかも一人として気を許せる人間と出会えないという状況からすると
    森口さん自身の気持ち(強迫観念)を緩めることを平行して考えないと
    保守的な社会環境だけに原因を求めてもラチガアカナイだろうと思えてくる

    つまり
    自閉症という特殊な状態がもたらす無理解を
    関係全体として広くとらえなければならないと思えるのだけれど

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著者プロフィール

本名同じ。1963年福岡市生まれ。自閉症当事者。不登校経験者。
12歳(中1)から30歳まで,いじめ問題,学校・教育問題について,当事者の立場からメディアや関係者たちに向けて投書し続ける。
1996年に,自閉症者による単著としては日本初の,自閉症当事者による本格的な手記『変光星――ある自閉症者の少女期の回想』を発表。1999年にはドラマ化の話も持ち上がるも諸般の事由にて辞退。
2002年にはその続編である『平行線――ある自閉症者の青年期の回想』をリリース。
両著は今日に続くロングセラーになる(ともに遠見書房で再刊されている)。
本書『自閉女(ジヘジョ)の冒険──モンスター支援者たちとの遭遇と別れ』はそれらに続く手記3作目となる。
他の著作にエッセイ集『金平糖――自閉症納言のデコボコ人生論』(遠見書房,2017)がある。
なお,現在(2020)は高齢ひきこもりの当事者でもある。

「2020年 『自閉女(ジヘジョ)の冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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