- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784892570629
感想・レビュー・書評
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過日、とある書店でエリアーデ著作集を捜している時に偶然知り合った大学院生の女性に、その本の人って、あの白塗りの亡くなった美容関係の人と、大昔の例の男根を切り取った事件の人ですかと、左手に持っていたこの本のことを聞かれました。
一瞬、きょとんとして、すぐに爆笑。
彼女は、ふたりを鈴木その子と阿部定に間違ってくれたのですが、笑わそうとかいうことではなく、それ以外に思いつかなかったそうです、なんということでしょう。
ええっと、これは生誕60年だから出された記念本です。
生きていれば2人ともアラカンだったのに、鈴木いづみは36歳で首吊り自殺、阿部薫の方は29歳でブロバリンという睡眠薬を98錠も飲んで中毒死したという夭折カップルです。
彼女はモデルでピンク女優(死語!)で小説家、彼はジャズマン、アルトサックス奏者で、2人は結婚して一児をもうけて、その後離婚。
1970年代を駆け抜けていったビート・カップルです。
速度が問題なのだ・・・鈴木いづみ
誰よりも早くなりたい・・・阿部薫
アニバーサリイ本だから盛り沢山で、2人のPHOTOアルバムがあり、2人を信奉し愛してやまない人たちによるシンポジウムやエッセイ、中でも副島輝人の「絶対零度に向けての疾走・・・阿部薫小論」が秀逸で、これを読んだ後には周りが塵に見えますが、その他に両人の対談「愛しあって生きるなんて、おそろしいことだ」があり、彼女の6編の小説とエッセイもあり、巻末には年譜と書誌とディスコグラフィも付いていて、ファンならたまらない豪華本ですし、初めての方には完璧ガイド本って感じです。
私は、文遊社の鈴木いづみコレクション8冊と、セカンドコレクション4冊を、たまたま高校生の時にフラリと立ち寄った摩訶不思議な書店=ヴィレッジヴァンガードで見つけた時に、ピーンときて、即購入してむさぼり読みました。
70年代なのにいたって爽やか、少しもごてごてしていなくて古臭くなく、すっかり私のお気に入りです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジョン&ヨーコ、カート&コートニー、シド&ナンシー・・・。
これらを連想させる個性的で他人を巻き込む迷惑カップル「鈴木いづみと阿部薫」。
二人について色んな人が好意的に語るアレコレな本ですが、主に鈴木いづみの認められなかった文才に重点が置かれてますね。
ほんと彼女がもう少し遅くにデビューしていれば、山田詠美も川上未映子も霞んだことでしょう。
高評価の短編「夜のピクニック」が入っていて、いづみ入門にちょうどよい感じ。読みやすくって繊細。
しかしまあイカれた二人ですなー。わたしはこんな風にお互いを心身ボッコボコにし合うカップルより、ルパン&クラリス、レオン&マチルダのほうが好きなのです。
10.03.17 -
昭和を代表する「共依存」カップル、鈴木いづみと阿部薫についての関係者による評伝。鈴木いづみの文章は好きだが、演歌よりもジャズが苦手なワタシは実は阿部薫には余り興味がない。この2人についての入門書的な本。もっと知りたい方には、稲葉真弓『エンドレス・ワルツ』がオススメ。映画化もされ、キャスティングが神懸かり的。「彼(阿部薫)は、わたしの宗教であった。〜鈴木いづみ」