ひとりも、死なせへん ~コロナ禍と闘う尼崎の町医者、551日の壮絶日記
- ブックマン社 (2021年9月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784893089441
作品紹介・あらすじ
長く地域医療に携わる、尼崎の町医者:長尾和宏。コロナ禍の危険な医療行為にも、一人でも多くの患者を救うべく普段通りで診療活動に取り組む。多くの病院や医師が二の足を踏む中、町医者として地域医療(コロナ診療)に奮闘。本書はドキュメンタリーである。
感想・レビュー・書評
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尼崎市の町医者である長尾和宏先生のコロナ禍の日記である。
新型コロナウイルスもそもそも人間の自然破壊によってモンスター化したウイルスでは…に確かにそう思わざるを得ない。
コロナが蔓延してから日本は遅い、筋違い、中途半端の三拍子がそろっているので見ていられない。
これも同感だ。
災害は常に弱者を襲う。高齢者や貧困家庭など。
2020.8.2の在宅医療の日記は、涙した。
2021.1.1の自分にエール。そうしないとやっていけない現状。厳しい現状。体力、気力がいると思った。
こんなに長くコロナが続くと誰が思っただろうか。
そして今、3回目のワクチン開始の声…。
本当に終息したのか…。
まだまだ、スッキリとは終わらないであろうが、
この壮絶日記で振り返りながら終息を願う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私が読む長尾先生の著書5冊目。
図書館返却期日を守るために、後ろの方の数章は残念ながら読み切れずに返却。
それでもこれは良書である。
長尾先生(や、在宅医療に携わっていらっしゃる別の医師)の著書を今まで読んできて、自分の人生のおしまいは在宅を望んでいる。
(ただし先日上野千鶴子さんの著書を読んで、棺桶が家に出し入れできないかもしれないという問題に気付いたのだが…)
しかし本書を読んでいると、長尾先生ご自身の心身の健康状態が心配になってくる。
在宅医療に携わる医師(やスタッフの方々)の激務を考えると、この先自分の住居界隈で在宅医療システムが発展していくとか、長尾先生のような良い先生が増えていくとか、全然期待できない。
それでもこの先、少しずつ社会の仕組みがそういう方向になっていくといいなと考えていた。
そんな矢先に、先日の許しがたい猟銃殺人事件発生である。
先生がお亡くなりになり、スタッフの方が重症を負ったり恐怖のどん底に落とされたりした。
また、本書でも、長尾先生にお門違いのクレームをつけたり、なんとクリニックのガラスを割ったりするような人間が存在するのだ。
本当に酷い話だ。
そんな理不尽なことがあっていいわけがない。
本書に話を戻せば、長尾先生のおっしゃる通り、やはり政府のコロナ対策やマスコミの報道がことごとく間違っているとしか思えない。
(私は2020年の2月頃から、テレビの情報番組等は全く観ないようにしている。たまたま本書で長尾先生もテレビで観るのはドラマか音楽にしておいた方がいいと書いてあった)
本当は自分のカテゴリ【公権力の罪】に入れたいくらいだったが、後で自分自身で見つけられなくなると困るので、従来通り【医療・死生観】カテゴリのままにしておく。 -
「祈っても詫ても、許してもらう機会などないのだから、下の者たちの恨みを買うことのないように配慮するべきだ」
黒田官兵衛
政治と現場の乖離の激しさ、読んでいてこちらがイライラする程の政治、メディアの対応でした。そしてこの、コロナワクチンの情報管理の杜撰さ。長尾医師と比較してしまうので、全く腹立たしい。
この本の続きは、youtubeのABCテレビニュース、またはコロナワクチン検索なさってみてください。
長尾医師は、ずっと頑張ってくださっています。 -
標準医療、一般的な療法から逸脱している気がして、更には、それをメディアやネットなどの露出によって助長、または、本人の知名度向上を目的とした何ともミーハーで信頼できない雰囲気ではないかと、雰囲気だけで予想していた自分を恥じる。反ワクだとか、イベルメクチンで新型コロナを完治できるとかは、そもそも発言していないし、長尾和宏氏本人もワクチン接種をしている。イベルメクチンだけでは当然なく、ステロイドもデカドロンも酸素やリクシアナを用いながら、冷静に最大限を尽くしているに過ぎないではないか。多少、裏付けに乏しい、臨床データが不足している点は否めないが、未知なウイルスに対峙する確かな経験と学識、善意がそこに存在した。
長尾和宏氏、父を鬱病による自死で亡くしているらしい。自身の生き方の哲学のようなエッセイが時折混じる。感情移入しながら読むと、何か底の見えない悲しみに抗っているように見えなくもない。 -
日本のコロナ対応について考えさせられた一冊。
町医者の著者が肌で感じたコロナ対応の真実。著者の日記のようなノンフィクションの話で本音で語られています。訪問診療や看取り医の多忙な毎日が記され、現場に行かなくても本書を読めばどんなに医療や介護の現場が苦しんでいるか、批判にさらされやすいかがよくわかります。あまり報道されていないことが多く書かれているように思います。
●著者の管轄ではこの1年でコロナで亡くなった方はいない
がんや老衰などで亡くなった方しかいないとのこと。このことから、がん検診をコロナを理由にして受診控えすることはリスクが大きいと主張されています。
●おひとりさまの認知症の方のコロナ対応という視点
「感染しているから歩きまわらないで」の指示を3分後に忘れ徘徊する認知症の方。街のひとからしたら「勘弁してくれ!!」と感じると思います。でもそれはコロナが2類感染症扱いだから。著者は5類になればもっと柔軟な対応ができるとしています。おひとりさまの認知症の方の対応という視点考えたこともなく、現場の声を世論に届けることの難しさも感じました。
●自宅療養を基本にというけれど
自宅療養?急変したらどうするの?と感じていましたが、それは著者のようなもしものときに往診してくれるような医療体制のネットワークを感じられていないから。わたしの地域は何が足りないんだろうと考えさせられました。 -
今では懐かしい響きとなった「町医者」の矜持を感じさせてくれる魂の1冊。
日本の誇る「現場力」と対象的な医療行政•医療会、政治の惨状をあからさまに語ってくれた事に敬意と感謝をしたい。と同時に周りの人間にそれらを伝えていきたい。
巻末に載ってたアルフレッド•アドラーの【「誰かが始めなくてはいけない。見返りが一切なくても、誰も認めてくれなくても「あなたから」始めるのだ】を胸に秘めて… -
長尾先生の本は今までも「平穏死」など読んでいるが、今回コロナに携わる町医者として日記というかたちで本にしている
こんな目が回るほどの忙しさのな中よく記録してあったものだ
「保健所」のあり方が長尾先生の患者さんを助けたいという気持ちがあるのにうまく機能しないもどかしさがヒシヒシと伝わってくる
先生が「今に自分が死ぬだろう」と決死の覚悟で在宅医療を続けているのが本当に頭が下がる
「ヤイヤイ言って」やっと受け入れてくれたという記載がかなりあって「ヤイヤイ」言わないと動かないのかなぁとモヤモヤする
ワクチン後の死亡がニュースにならないのはおかしいし人数も曖昧だし、そもそもワクチンによる死亡というのは一件も認められていないとは。
こんな医師が近くにいる町に住みたい
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すごい、というしかない。
2も読む予定。 -
●レビュー省略