- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894566262
感想・レビュー・書評
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発見、疑問、推測、試行錯誤、また発見…一つが判明するごとにまた一つ謎が増えを繰り返し、そのたびにグイグイ読ませる。まるで研究の醍醐味を一緒に味わっているような気分になれる小説。延々と生物の研究をする話でエンターテイメント性を出すなんて、本当に石黒氏くらいしかできないのではと思わせる面白さ。生命の同一性というテーマはそのほかの作品でも見られるが、どれも違った切り口でこちらからの視点も興味深い。
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「平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士、並びに、」とその後日談「新化」とをあわせて二部構成にして、全体を「新化」と改題。文庫版でも報告書の体裁をとっているものの、文庫化によって縦書きになったし図表も一部省略されたりと本来の報告書っぽさが薄まってしまった(タイトルも地味になったし)。
なにより、第2部が第1部に比べて格段に劣ることが残念。第1分は報告書形式でいながら(というより、報告書形式だからこそ)、非常に美しい作品として成立していた。生命をめぐる物語としての神々しささえ備えていた。第2部でも第1部を引き継いでハネネズミをめぐる生と死の考察が繰り広げられはするものの、第1部のような美しさをはない。第1部が奇跡的な調和を得てしまったわけだけど、それを再び得ることはやはり難しかった。 -
(収録作品)新化/カミラ蜂との七十三日
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2009/3/10購入