ベーシック英語史

著者 :
  • ひつじ書房
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本棚登録 : 64
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (124ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894763494

作品紹介・あらすじ

過去に起こった、あるいは今起こりつつある、そしてこれから起こるであろう英語の変化を15の異なる側面からたどることで、英語の歴史的変容の姿を概観する。

感想・レビュー・書評

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  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90182319

    著者は歴史統語論の第一人者です。英語史の入門書はたくさんありますが、浩瀚で難解なものが多いことも事実です。
    本書ほど平易・簡明に日本語で書かれたものは他にありません。英語の基礎的・背景的知識習得のために最適の入門書です。

    (推薦者:人間発達文化学類 衛藤 安治先生)

  •  久しぶりに読んだ英語史の入門書。同じひつじ書房からの『ファンダメンタル英語史』と同じように大学での授業が元になった本で、厚さも同じくらいだが、『ファンダメンタル~』の方は約半分を占める統語論や構文の話に樹形図があったりして、法を認めるかどうか、とか外置構文、話題化構文など、言語学的に話題になるトピックを扱っているのが特徴的なのに対し、『ベーシック~』の方はその名の通りベーシックな、形態論・統語論ともに「昔はこうでした、こうこうこう変遷していきました」、というわりとオーソドックスな内容。時代別に並べるのではなく、品詞別、構文の発達など「それぞれの発達史を古英語から現代英語まで通して外観する」(p.iii)構成で、内面史の基本をさらうにはちょうどよい分量、内容になっている。
     基本はそれなりに理解しているつもりの内容でも、発見があって、それなりに楽しんで読めた。そのうちいくつかのメモ。「最近は、英語に雄けるケルト語の影響を見直そうとする動きもあり、学習者向けの英語史でも、ケルト語の影響をこれまで以上に詳しく扱うものが出てきている」(p.12)そうだ。ケルト民族は端っこに追いやられて、せいぜい地名くらいにしか残っていません、というのがおれの理解だったので、これは新鮮。北海道のアイヌ語の日本語への影響、とかはどうなんだろうか。あとは、sadの意味変化。「本来は『満足した』という意味で使用された。『満たされた』状況は、ある意味で、明日への希望が感じられない状況であるともいえる。ここから、sadに『悲しい』という意味が生じてくる」(p.20)らしい。後半部分が本当なのかどうかは分からないけど、満たされた状態はsadなんだそうだ。昔の人も意識が高いということなんだろうか。あと当たり前のように「意味の向上と堕落」というのを習った気がするが、何を「向上」、「堕落」と言うかは「社会の価値観と大きくかかわっている」(p.22)、ということで、その例も紹介されている。複眼的思考、というのだろうか、そういうのを感じた。アメリカ英語のrの発音について、「合衆国では、特に第二次世界大戦以降に、/r/を発音することの社会的評価が高まった」(p.31)ということだそうだ。第二次世界大戦以降、らしい。関係代名詞はthatが最初で、その後がwhich、whoの進出が最も遅い、しかもwhatの属格がwhoseだったし、だから無生物にwhoseを使用するのも「何ら問題ないはず」(p.54)というのは歴史を知って分かる面白さの1つだ。あとは古英語が総合的、現代英語は分析的、という一般化があまりに頭にこびりついていて、「もっとも古英語の文献を読んでいて気づくことは、すでに前置詞がたくさん使用されている」(p.60)といった話を聞くと、ちょっと目を覚まさせられる感じがする。「前置詞の使用の拡大は、そもそも徐々に進行していたのであり、語形変化の衰退によって、いっそうその役割を明確にしたのだと考えることもできる。いわば、語形変化の衰退を補うものとしての『自覚』をもつようになった」(p.60)というのは、ちゃんと知っておこうと思った。あとは仮定法がなくなった話で、古英語の仮定法の語尾が-e, -enであった時点で、「もはや消失の前夜ともいえる状態」(p.74)というのが面白いと思った。副詞的対格、副詞的属格、非人称動詞、過去現在動詞、とか英語史でよく出てくるトピックもこうやって定期的に復習しておかないと何がなんだったかうろ覚えになっていて、やっぱり英語史の本を定期的に読んでおかないとなあ、と思った。(19/02/11)

  • 読みやすそう。英語史の勉強に、読まなきゃということで積ん読。課題図書に(131208)。

  • 文法ごとに区切った章立ても珍しくてよいと思った。さっと読めて大枠を把握する感じ。参考文献が充実。

  • もっかいちゃんと読んでまとめたい。

  • 英語の変遷が品詞ごとに記述されていて面白いが、他言語、特にフランス語の影響についてもう少し詳しく知りたい向きには不向きな本。
    英語史を語るにはフランス語の記述抜きにはあり得ないと思うので。

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著者プロフィール

京都大学教授

「2022年 『Variational Studies on Pronominal Forms in the History of English』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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