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- Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894891166
感想・レビュー・書評
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本書で述べる「モンゴル」とは、現在のモンゴル国(外蒙古)および中華人民共和国内蒙古自治区の双方ですが、「イスラーム的中国」との関わりから、やはり内蒙古に主眼を置いています。
そして「イスラーム的中国」とは、寧夏回族自治区や新疆ウイグル自治区の他、中国西北各省のイスラム系少数民族の自治州です。
一般にモンゴル族はチベット仏教を信仰していると認識されていますが、実際には内蒙古にはイスラム教を信仰するトゥメト族もおり、更には西北各省に東郷族(ドンシャン族)や保安族(ポーナン族)などのモンゴル系言語を話すイスラム教民族もいます。
かれらモンゴル系(と言われる)イスラム民族の成立の歴史を詳述し、現代中国において彼らが受けた苦難の歴史を綴っています。
また「中国人(漢族)による少数民族への圧迫」という単純な図式ではなく、少数民族同士の対立をも描いています。
著者は内モンゴル・アラシャン盟(阿拉善盟)出身の蒙古族で、現在は日本で活動する人類学者です。
書中の随所に著者の現地調査の実体験も載せており、少数民族の視点からの現中国を描いています。
少数民族に対する中国の仕打ちには厳しい批判を向けていますが、単純に中国の統治を否定してはおらず、あくまでも過去の過ちを念頭に置きつつ、未来における改善を願っています。
最近日中関係の険悪化により反中意識の高まる日本では、少数民族の独立を支援して現中国政府の打倒を唱える人たちが増えていますが、そういう過激な思想を持つ人たちに対しても厳しい警告を発しているのが興味深いです。
ニン、トン♪詳細をみるコメント0件をすべて表示
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