公共図書館が消滅する日

  • 牧野出版
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本棚登録 : 117
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784895002295

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、近年問題となっている公立図書館の過剰なまでのサービスや、商業化についてそうなった経緯を論じた書物である。図書館学というものに明るくない私にとって初めて知ることばかりであったが、戦後体制の構築の中で図書館関係者が自ら発展の道を閉ざし、わずかな成功例にすがり幻想を抱き続け自滅していった、と論じている。論旨は明快で非常にわかりやすかった。一方で同じ内容を繰り返し何度も語っている節もありやや読みにくい、冗長に感じる部分もあった。

    私の出身地はいわゆる「町村」であり公民館の一角に図書室があり、小学生の頃に町立図書館ができたのは記憶しているが、2000年代でも町村立図書館の設置率が低いという事実には驚いた。恵まれていた地域だったのだと認識した。

  • 現在の日本社会で公立図書館の役割や存在意義がほとんど理解されず、図書館関係者が生き残りに奔走している最大の原因が、関係者による戦後図書館史を巡る事実誤認と理解不足にあると断じて、解き明かそうとする本。

  • http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00606494

    いま、公共図書館の真の目的と存在意義が失われようとしています。
    公共に開かれた図書館を持たない先進国など一つもありません。
    しかし、現在日本ではその姿が大きく変貌してきています。
    戦後の占領軍指導の設立過程から近来の混迷状況にいたる過程をつぶさに描き、図書館問題の本質を論じます。
    (出版社HPより)

  • 『中小レポート』や『市民の図書館』によって図書館は発展した、という通説を見直し、現在にもつながる図書館の問題点を指摘する図書。けっこう辛辣な感じ。
    戦後、大図書館、中央図書館をもって、図書館サービスを総括し、末端にまで行きわたらせるという図書館運営が考えられた。しかし図書館業界からは中央集権的という批判が出る。それではと『中小レポート』や『市民の図書館』のように中小図書館を図書館業界の中心に置き、図書館を発展させ、ゆくゆくは大図書館までつなげて図書館サービスを末端にまで広げようと考えられた。ところが『中小レポート』や『市民の図書館』に出ている中小図書館が理想とされてしまう。結局、今に至るまでこれらに代わる図書館の指標は現れていない。さらに農村部の小図書館などは『小図書館の運営』で指摘されているとおり、中枢図書館が必須とされてるにも関わらず、図書館業界はこれを黙殺してしまう。今の図書館は国の予算制度や大図書館に頼らない、小図書館を切り捨てた、各図書館の自助努力を要請される状況下で成立してきたということだった。それはきつい…
    悪書追放運動と図書館の貸出重視によって図書館が貸本業者を衰退においやった、という点もあまり意識していなかったので覚えておきたい。
    公共図書館は今後ナショナルプランが必要だろう、ということだったがその具体的な内容は言及されてはいなかった。

  • ↓備忘録として貼(張)っておく
    中之島図書館~橋下市長「あんなところに図書館を置く必要はない」 - ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫
    https://blog.goo.ne.jp/bellavoce3594/e/9dd8e5e34502d8ce86201107d08ff8d6


    公共図書館が消滅する日 - 株式会社牧野出版ホームページ
    https://www.makinopb.com/%E8%87%AA%E7%A4%BE%E5%88%8A%E8%A1%8C%E6%9B%B8%E7%B1%8D/2020%E5%B9%B4/5%E6%9C%88%E5%88%8A-%E5%85%AC%E5%85%B1%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E3%81%8C%E6%B6%88%E6%BB%85%E3%81%99%E3%82%8B%E6%97%A5/

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著者プロフィール

1961年大阪市生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程中退(教育社会学)。京都大学教育学部助手を経て現在帝塚山学院大学教授(社会学)。主な専攻分野は、社会学理論、現代社会論、民主主義研究。主な著書に『禁断の思考:社会学という非常識な世界』(八千代出版)、『民主主義という錯覚』(PHP研究所)、『社会主義の誤解を解く』『日本語の宿命』『日本とフランス 二つの民主主義』(以上、光文社新書)、『政治家・橋下徹に成果なし。』(牧野出版)、『ブラック・デモクラシー』(共著、晶文社)など。

「2017年 『「文明の衝突」はなぜ起きたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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