- Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
- / ISBN・EAN: 9784895002295
感想・レビュー・書評
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現在の日本社会で公立図書館の役割や存在意義がほとんど理解されず、図書館関係者が生き残りに奔走している最大の原因が、関係者による戦後図書館史を巡る事実誤認と理解不足にあると断じて、解き明かそうとする本。
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http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00606494
いま、公共図書館の真の目的と存在意義が失われようとしています。
公共に開かれた図書館を持たない先進国など一つもありません。
しかし、現在日本ではその姿が大きく変貌してきています。
戦後の占領軍指導の設立過程から近来の混迷状況にいたる過程をつぶさに描き、図書館問題の本質を論じます。
(出版社HPより) -
『中小レポート』や『市民の図書館』によって図書館は発展した、という通説を見直し、現在にもつながる図書館の問題点を指摘する図書。けっこう辛辣な感じ。
戦後、大図書館、中央図書館をもって、図書館サービスを総括し、末端にまで行きわたらせるという図書館運営が考えられた。しかし図書館業界からは中央集権的という批判が出る。それではと『中小レポート』や『市民の図書館』のように中小図書館を図書館業界の中心に置き、図書館を発展させ、ゆくゆくは大図書館までつなげて図書館サービスを末端にまで広げようと考えられた。ところが『中小レポート』や『市民の図書館』に出ている中小図書館が理想とされてしまう。結局、今に至るまでこれらに代わる図書館の指標は現れていない。さらに農村部の小図書館などは『小図書館の運営』で指摘されているとおり、中枢図書館が必須とされてるにも関わらず、図書館業界はこれを黙殺してしまう。今の図書館は国の予算制度や大図書館に頼らない、小図書館を切り捨てた、各図書館の自助努力を要請される状況下で成立してきたということだった。それはきつい…
悪書追放運動と図書館の貸出重視によって図書館が貸本業者を衰退においやった、という点もあまり意識していなかったので覚えておきたい。
公共図書館は今後ナショナルプランが必要だろう、ということだったがその具体的な内容は言及されてはいなかった。