- Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
- / ISBN・EAN: 9784895901628
感想・レビュー・書評
-
大西巨人が敬愛する歌人、氏の書物からの多くの引用(特に『神聖喜劇』第三部運命の章)に惹かれ購入したものの、読める自信なくずっと積んでいた齋藤史の歌集。七百首収録。この頃少しずつ短歌に馴染み始めて漸く手にとる。若き頃の2・26事件との関わりで受けた心の傷手を生涯負い続け、その背景を鑑みずに史の歌を読むことはできない。奥深い機微にまで読み至るには私はまだまだ浅い、だが歌から滲み出る生への刹那の寂寥はひしひしと感応を呼び覚ます。鋭く毒めく言葉の刃に息を呑み。
「せめて苦惱の美しくあれ爪に染む煙草の脂を幾度ぬぐふ」
「しなやかに熱きからだのけだものを我の中に馴らすかなしみふかき」
「まだ落ちてゆく凶凶しき空間のあるといふことがわれの明日ぞ」
収録の七百首全てが五行詩という定型に収めたシンプルで渾身の英訳付き。語学すごい苦手な私にもすっと入ってきた。(こちらは掻い摘み読みしかできなかったけれど)。それよりなにより、私の拙い感想は斜めに読んでおしまいにして、正剛さんの素晴らしいレビューを読んでいただきたい。http://1000ya.isis.ne.jp/0692.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
692夜
-
先生の引越のとき、本の山からこれを見つけた。「ください!」それ以来、この本は大切に読んでいる。そして、種々の短歌に毎度まいどココロもカラダも撃たれまくる。