- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896017885
作品紹介・あらすじ
ホテルのロビーで自分を見つめ、涙を零す美貌の男に、一瞬で心を奪われたヤクザの海江田。逃がしてはならない-本能の命じるまま、その男・篠原に声をかけた海江田は、素性は訊かないという条件付きながらも、彼と逢瀬の約束を取りつける。遊びの恋とは違う。生真面目で凛とした篠原に海江田は指一本触れず、少しずつ近づく時間を大切にしていた。だが、互いが敵対する立場にあると知った篠原から、もう会わないと告げられ海江田は彼を凌辱してしまい…。
感想・レビュー・書評
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肉食男子が恋しくなったら、こちらの「さよなら優しい男」で堪能してください。
典型的肉食系で、フロント企業の不動産会社社長を名乗っていますが、実は893。金にも女にも不自由していない、傲岸不遜な海江田が、一目ぼれの恋に落ちる話。人生で初めての運命の相手に、並々ならぬ忍耐と我慢と執着をみせる海江田に、男の色気をそこはかとなく感じます。
海江田は、ホテルのロビーで自分を見つめ涙を流した篠原に心を奪われてしまいます。見ず知らずの相手とどうにかして付き合いたいと切望した海江田は、ガラにもなく「ホテルでお茶」だけという条件をのんで清い交際をすることに漕ぎつけます。
普段なら、SEXだけの付き合いというのも当たり前な海江田が、篠原に嫌われたくない一心で、下心を押し隠しひたすら「優しい男」に徹するのです。
この話の元ネタは某ホテルのバリケード騒動だなとピンときます。それに地上げ屋と弁護士を絡ませてきて、かなり生々しく興味引かれる仕上がり。
海江田は893なので世間から見れば悪役で、弱者を踏みにじる部分もあって嫌な男なのですが、そんな非道が恋心ゆえに篠原に対してはとても健気なのがせつなくてキュンとさせられます。
篠原が頼むなら全てを捨ててもいいなんて、情熱的というかメロメロというか、すごい入れ込みようです。そういう気持ちに引いてしまい懐疑的になる受の気持ちがよくわかる。
そして、篠原が彼に対してどんな感情を抱いているのかがなかなかつかめないところに海江田ともども焦れ焦れさせられるんですね。
女に贈るような甘い言葉やプレゼントでは通用しない相手です。
しかし、これであきらめないのが肉食系の貪欲さ。欲しいのは心だったけど、手に入らないのなら全てを奪ってやる、という本領発揮の俺様に豹変。野獣とうさぎです。酷い気もしますが、なびかない相手に内心悩みまくって強引になれなかった俺様のことを考えると不憫だったので容認。
でも、ちゃんと両想いになれるので、この先はもの凄くラブラブcpになること確定な二人です。
攻が肉食893だったのに、清い付き合いをしていたせいでエロは控えめ。その分狼になるまでの前半を占める、俺様な海江田の我慢プレイ?にツボります。