賢者の弟子を名乗る賢者 THE COMIC 4 (ライドコミックス)
- マイクロマガジン社 (2018年11月30日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (154ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896378405
感想・レビュー・書評
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まあ雑魚が出てきて掻き回すのはお約束だねぇぇぇぇ(^^;
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この世界を隣人と共に生き、そして学んでいこうという意志。
原作小説三巻の内容に突入する前に、まずは最新の市井の意見を取り入れることから。
準レギュラーとは言え、二話に渡って主人公以外の視点から(ほぼ)オリジナルの回想を挟んでの幕開け、相当思い切ったなという感想を抱くコミカライズ第四巻です。
それは、同郷の有名人であり朗らかな人格者「セロ」がいきなりゲーム(と思われる世界)に飛ばされたころの出来事です。
旅の中ですれ違う、何気ない村人も魂籠った人格ある個人であり、それぞれの事情を抱えている。
と、改めて強調された気がします。
現地人とプレイヤーのパワーバランスの釣り合いがかなり取れているこの作品の中で、真っ当に生きる庶民の可能性を教えてもらいました。
自衛の術だけでなく、「薬作り」という自活の手段を教えることで、同時に教える側も学び気づかされる。
よく聞く話ですが、発展途上国に魚を与えるのではなく魚を釣る手段と道具を教えるという話を思い出しました。命ある限り身につけた教育が奪われないって言葉も。
こういう身近なところから辺鄙な村が活気づくと考えると、これから主人公が堪能する技術革新にも説得力が生まれるようです。
また同時に、今できることに甘んじない、って前向きな姿勢は尊敬できるものであり、力を見せつけるだけが能ではない、という当たり前の事実を再認識させられた気がします。
教育者の立場からしても自分が学ぶことを止めたら途端に時代から取り残されてしまうという警鐘かもしれませんが、まぁその辺は追々。
で、途中経過の報告も兼ねてホームであるアルカイト王国に帰還。
道中会った出来事をきっかけに仲間の手がかりを確認すします。
ついでに、ここから長く相手をする結社「キメラクローゼン」の影をはじめて踏むという、原作通りのナイスな情報の流れを挟んでの新衣装ですね。
棒立ちガニ股だと流石に絵になりませんでしたが、動きが入ると映える映える。
機能性を重視したタイトでスタイリッシュな姿で、魔法をテーマにすれば必ず出てくるよね……と定番になった学園およびそこで行われていた競技会に乗り込みます。
で、やっぱりリアクションを盛大に繰り出してくれるキャラはすえみつぢっか先生の得意とするところなのだなと再確認しました。
熱意は有り余るほどあるけれど、同僚も教材も予算も生徒も何もかも足りていない召喚術教師「ヒナタ」先生の顔芸が、崩し過ぎなけど悲哀MAXで楽しいのです。
お互いフレンドリーだけど、自身の立場に無頓着な主人公とお約束な反応を繰り広げる姿も納得。
ところで本番の競技会では、視覚効果でわかりやすい七種の術が繰り広げられ、召喚術と無形術以外の魔法の差異と特徴が読者にもわかりやすくなっています。
そして、ラスト。
自信の技量と家柄を頼みに驕りまくっている典型的な貴族のボンボンを主人公のミラ様がいてこまします。
この辺、雑なテンプレって思わないでもないですが、ミラ様、上からではない教える側の目線から彼以外の評価する点はちゃんと評価しているので、まぁ違和感はないです。
学ぶ側にはそれ相応の謙虚さが必要だろうというのは、この巻の最初でも強調されていましたし。
競技会の経緯については原作の補完も多少は必要ですが、絵になることで逆に原作に説得力が移入しているところもあるのでその辺も相互補完で上手い。
競技会の現状を苦々しく思っていた審査席の学園長が全力で部外者であるミラ様を後押ししたのも、エルフなのに初老の苦労人という外見で描かれていることと無関係じゃないなと思いました。
総じて作中人物と作者の狙いを読者も共有できたいい構成だったと思います。
今後もオリジナル要素に大いに期待したいですね。