- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896918427
作品紹介・あらすじ
本当のピアノの音を響かせたい!それが職人たる調律師の意地であり、腕の見せどころだ!そうして始まったのが「持ち込みコンサート」だった。ところが、突然、横槍が入る。ファイトが湧いた。「芸術」を隠れ蓑にするピアノ音楽界の汚れた体質、暴利をむさぼる楽器輸入総代理店の横暴、その代理店にすり寄るピアニスト、コンサート関係者、調律師、音楽評論家、そして、音楽出版社の馴れ合い、もたれ合い。それこそが日本のピアノ音楽界をだめにした元凶である。ひとり敢然として戦いを挑んだ、ピアノに魅せられた男の物語。
感想・レビュー・書評
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ハンブルクスタンウェイとニューヨークスタンウェイは各々別のピアノ工場で作られ、販路も別である。
ハンブルクの販路は欧州と日本、ニューヨークの販路は北米と棲み分けされ、製造もハンブルクはデジタル機器を用いた近代的な生産に転換されているが、ニューヨークは未だに職人達の手作りで一台毎に個性あるピアノが作られていると言う。
そこで、日本では代理店間で、けっこう揉めたりしている。その内幕はこちらの本に詳しい。
<その他の書籍紹介>
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音楽は人々の心を豊かにしてくれるが、その音楽を単なるビジネスの一手段としか考えない魑魅魍魎たちが、クラシック音楽界に影を落とす。そんな中、ピアノ調律師高木は、アーティストやピアノの持つ音楽性を常に一番に考え、様々な抗争に巻き込まれながらも確固たる地位と信頼を築き上げていく。
一人の調律師の目を通して描いた、20世紀末の日本のピアノ界のドキュメンタリー。読み応えがあった。 -
借りて読了。当直開け約90分で通読。調律師についてもピアノについても殆ど知識のなかった自分にとってはやや不親切な物語の進め方に、疎外感を感じながら読み終えました。調律師って麻酔科医みたいだなー。
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なかなか刺激的な内容でした。
ただ、少しドラマチックに描きすぎなきがして、本当にそうならすごい怖い世界だなぁと思いました。
高木裕さんの本はまた読んでみたいと思います。
http://booklook.jp -
ニュースにもなったスタインウェイを巡る事件の真相がここに(´ω`)
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赤裸々すぎ。生々しい。
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代理店の弊害がこんな分野にも。
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ピアノ調律業界の内幕ものだが、全く知らない世界なので興味深い。スタインウェイにニューヨークとハンブルグの二系統あることなどはじめて知った。本書の中心は、著者の一人である高木氏と当時のスタインウェイの総代理店である松尾楽器商会(本書中では「松葉楽器(仮称)」とされている)の軋轢の顛末。一方当事者の立場からだけ書かれているので、松尾楽器側の言い分もあるだろうが、松尾楽器が96年に公取委から不公正取引で勧告を受けているのは事実なので、本書の内容にはそれなりの信憑性はある。本書の直接の執筆はノンフィクションライターの大山氏だが、かなり週刊誌的な仕上がり。リーダビリティという点ではこういう書き方もあるのかもしれないが、やや品がない。高木氏のピアノ調律に取り組む姿勢が真摯なものに思われるだけに、もう少し厚みのある取材と冷静な筆致の仕立てのほうが、高木氏のためにもよかったのではないかと感じる。