- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896943337
作品紹介・あらすじ
北欧の神話・伝説に印象的に登場し、今も各地に謎めいた碑文が遺る文字「ルーン」。ゲルマン人がラテン文字に先立って用いていたというこの「幻の文字」をめぐって、「読み書き」の基本から、その起源、歴史的変遷、具体的用例、さらには文化史的背景や研究史にいたるまで、豊富な実例と図版を用いて語り尽くした本格的入門書。『エッダ』の邦訳をはじめとして、北欧古典の翻訳を中心に厖大な業績を遺した著者(2021年没)若かりし日の、確かな足跡を示す幻の名著、気鋭の研究者により編み直され、初の書籍化。図版300点超、また編者による最新の研究動向を踏まえた解説「半世紀の孤独」を添える。
感想・レビュー・書評
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そうです。「ルーン」という文字に釣られてホイホイ手にとってしまいました。後悔はありません。呪いや加護としての、言葉が現代よりもより強く「意味」を持っていたものを紐解く古典資料としてとても優れているものなのではないかと感じます。
様々な出土・発見されているものから意味を読み取り「この様な意味が込められている」というのを読んでいるだけで賢くなった気がします。
乗っている図説資料を眺めるだけでもファンタジーや不思議な世界を垣間見ている気持ちになれるので充分楽しいです。
ただ、これを全て読んでもルーン文字がスラスラと使えるわけではない(全ての言語にいえることだが)のが心残りですね...。
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Twitterで見かけてホイホイされた。著者の名前は見たことあるなと思ったら書棚にあった。『エッダ』の訳者なら間違いないと確信していざ冒険。
約2000年前のルーン石碑が発見されたとのニュースが最近あった。胸熱。
著者が研究し過去にまとめた成果を日本におけるルーン文字研究の古典として復活させたもの。後世の研究がこれを基礎においていても、あるいはそうでなかったとしても、古典にアクセスしやすくなったのには大きな意味があると思う。何しろ門外漢が気軽に手を伸ばせる。神話や伝説、歴史小説、ファンタジー小説、ゲーム等々に現れるルーン文字(の概念)の解像度がきっと上がってさらに楽しめるはず。
図版が豊富で軽くめくって眺めるだけでも面白い。石碑、櫛、武器、ブラクテアト(メダル)はもとより、十字架どころかローマ帝国やエルサレムを描いた美術品まで登場する。貨物の管理札や裁判記録のような、時代の下った使用シーンに繋がるものも興味深い。
ドイツで行われたナチス影響下の胡乱なものも含めて、研究の歩みといったところが一番気になる。ドイツ語の文献をいつか覗いてみたい。 -
・街角の書店の入り口近くの書棚に目をやれば、さまざまな占い師によるルーン文字占いの解説やマニュアルが並んでいる。西洋風ファンタジーを謳った昨今のゲーム、ラノベ、マンガ、アニメなどをひもとけば、魔法陣や呪文の詠唱でルーン文字が重要な役割を果たしている。言語学や歴史学といったアカデミックな場でも、ルーン文字に対する言及や研究を目にすることが多くなった。ここで触れたルーン文字とは、2世紀ごろからゲルマン人が利用していた、24もしくは16文字から構成される線刻文字である。