- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898311646
作品紹介・あらすじ
"日本で最も悲劇の島"沖縄の本当の姿とは。
感想・レビュー・書評
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純朴で心優しい沖縄の人たちに、本土の人間が負担を強いているという図式。
だがこれは真実なのだろうか。私は長年疑問に思っていた。
と言うのは、沖縄に住む親類・友人・知人たちは決して基地建設反対などと言わないからだ。
「基地のおかげでどれほど豊かに暮らしていけるか。なくなるなんて考えられない」と言う。
年配のひとたちほどかつての極貧の時代を味わっているから、よけいにそうである。
だが、そんな住民の本音の部分は決して報じられることはない。
驚くことに沖縄県内では強い言論統制があり、滅多なことでは本音など吐けないと言う。
沖縄に米軍基地があるおかげで、日本人はどれほど助かっているか。
私のようなガイジンでもこんな簡単なことはすぐ分かるのに、何故日本人は分からないのか。
…そう私に教えたのは日本語教室で知り合ったタイ人の女性。それも20年前の話(!)。
メディアが報じない内容とは何か。そうなった時の流れとは何か。
思い込みや願望ではなく、事実を丹念に積み重ねてこの本で語られる。
沖縄生まれの著者が「「殴り殺される覚悟で本当の沖縄を書いた!」と言われるが、決して大げさな表現ではないだろう。
特に第3章の「歴史の中に見る沖縄の姿」と4章の「米軍政下で味わった贅沢」は読み応えがある。琉球王国民衆の凄惨を極めていた暮らしぶりや、沖縄の教育水準の低さ、「沖縄ノート」の欺瞞などは県民が読んだらさぞかし反発することだろう。だが、これが事実だ。
私の見聞きしてきたことと、見事に符号する。
沖縄を正しく理解する、これが急務であって、右だ左だと責め合っている場合ではない。。
メディアの報道は鵜呑みにせず、自分で読んで調べること。私たちにはこれしかない。
新たに知ったこと。辺野古移設の際、海岸線を160ha埋め立てなければならないが、県民が戦後行ってきた埋め立て面積は合計2590ha以上あり、まだ県内各市町村には着手していない埋め立て計画が2000ha以上もあるという事実。
更に、ジュゴンなどかの地の漁師は見たこともないと言うし、名護市民の名物料理にイルカ料理があるということ。この2つの事柄だけでも他県の人間が叫ぶ「自然保護」の愚かしさがよく分かる。
また、中国には「国防動員法」という恐ろしい法律があることも忘れてはならない。
文章の流れが時折読みにくい部分もあるが、良書である。すべての方におすすめ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本復帰前の沖縄生まれである恵隆之介だからこそ、語れた部分があるのだろう。史実は事実に基づき、願望で語るべからず。琉球新報や沖縄タイムスが作り上げた米軍基地イコール悪という図式は正しいのか。戦後、米国に沖縄統治を任せた判断は、当時、中国やソ連が覇権を広げんとする渦中においては、それしかなかっただろう。その基地についても、沖縄ばかりが日本の基地受け入れを背負っているに非ず、明らかに虚偽の報道が飛び交う。沖縄人批判も遠慮なく示しながら、冷静に分析された本著は、大江健三郎の沖縄ノートに対して、正しき反証になるだろう。沖縄問題ばかりではなく、戦後日本の立ち上がりを通した米国との関係を見直すにも良書。読むべき、である。
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沖縄で本当に起こってること。
全然わからないな。
イデオロギーは、本当に起こったこととは関係ない。 -
かなり偏った論調だが、報道で知る沖縄とは別の側面が分かったので、頭の中が整理できた。
今後、中国の暴走に向けて、沖縄のプレゼンスがより高くなっていくと思われるが、そこで著者の言うように軍備増強するのでは、あまりに芸がない。
米中以外の国々を巻き込んだ中国への内政干渉圧力と、それと平行した安保依存からの脱却を、段階的に実現できれば良いですね。その為にできることがまだまだあるのでは。 -
沖縄県民,左派の方々にこそ読んで頂きたい一冊(当然納得しないと思うけど。)。もう少し現実を見たほうがいい。
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最近の外交問題やらを知っていくうちに恵さんのことを知った。
日本は、沖縄も本土も関係なくもっと教育をきちんとしなきゃ行けないと思う。
自分の国のこともっと知らないと。 -
旅行に際して沖縄を知る為に購読。中国と左翼と軍用地主によって、普天間問題は深刻化していると主張。沖縄県の歴史と県民性を背景に描いた。
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知らなかった沖縄の歴史について書かれていて興味深かった。著者の主観が多く入っていることは差し引いたとしても。
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書いてある内容はもしかしたら極端な意見なのかもしれないけど、今の報道からは全く聞く事の出来ない内容。公平な判断をするためには両方の意見を見たり聞いたりすることが重要だよね。どんな問題でも。
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世の中いろいろな「真実」が転がっているのです。
それぞれの「真実」はそれぞれにずれているのですから、その様子はまるでパラレルワールドを鑑賞するようなものですね。
情緒が先にあって、そこに理論や説明を付すってのは、まあアリだと思います。
この本の場合、著者の情緒に理論が追いついていない印象が残ってしまいました。
廃藩置県がおこなわれるまで住民は琉球王府の圧政に苦しんでいた(悪政の指摘)と言った次の章で、明治政府の恩恵にあずかるまで中国や薩摩藩に長年支配されていたとくる。…ん? 悪政圧政の主体はどこにあるのか見えなくなる。
そんな記述がなされるので、ちょくちょく混乱しました。
数字を出してきて説明もするのですが、その典拠がイマイチはっきりしません。
加えて、他の文献からの引用も著者による要約翻案の上に記載されているようで、もしかして超訳や強引な我田引水的な解釈もおこなわれているんじゃないかとの印象を導きまして、せっかくの主張に説得力を持たせきれていないように感じました。
左翼を非難しながら、左翼の言説で説明しているように見えたのも、なんだかもったいない気がしました。
マスメディアのマインドコントロールの危険性の指摘も、もっともだと思いながら読みました。
一方的な、一面的な情報だけで判断するのはよろしくないと思いますので、本書以外の資料もいろいろ読んでみようという気持ちになりました。