- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784898311905
感想・レビュー・書評
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先の大戦の敗北から、今なお米帝の支配が続く日本。この精神汚染から抜け出す術はあるのか?
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東京裁判とは名前は知っているのですが、昭和以降の現代史を勉強してこなかったせいもあり、よくわかりません。今までに東京裁判について解説されている本を読もう努力したことはあるのですが、いずれも研究論文を本にしたような難解なモノが多く途中で諦めてしまうことが多かったのが実情です。
この本の著者である若狭氏は、東京裁判の意義や、巷でよく言われているA,B,C級戦犯の意味、東京裁判の前に行われた、ドイツでのニュルンベルク裁判で最も厳しいC級戦犯が、日本には該当せずに困ったこと、判決が急がれた理由(翌月には国連総会で事後法禁止が採択される、p108)等が解説してあり興味深かったです。
日本人ならもっと重い罪だと思っている「A級戦犯」が、東京裁判の前にされたニュルンベルク裁判では最も「軽い」罪であった(p125)のは驚きでした。
また、日露戦争の位置づけとして、日露戦争は、ロシア側には清国・ドイツ・フランスがついて、日本側には、イギリス・アメリカがつくという国際関係で行われた、まさに第ゼロ次世界大戦である(p99)という考え方は私にとっては新鮮でした。
以下は気になったポイントです。
・スペイン帝国の衰滅は、1588年の無敵艦隊の敗北ではなく、スペイン人自身のスペイン嫌悪(イスパノフォビア)とともに進行した(p16)
・大帝国スペインに対抗しようとした秀吉の自信は鉄砲に支えられていた、鉄砲伝来以来40年で日本は最大の鉄砲保有国、ローマ法王にあてたバテレンたちからの報告書にも、日本への武力侵略は無謀だとある(p17)
・裁判では国の代理人は政府の見解と異なる見解を主張できない、主張を裏付ける証拠があっても反論できない、これが国の代理人ということ(p20)
・2003.1、米国連邦高裁はサンフランシスコ講和条約により賠償問題は解決済としてカリフォルニア州地裁判決を破棄した、連邦最高裁でも棄却確定(2006.7)した(p23)
・日露戦争の勝利により日本は誤りをした、1)桂ハリマン協定の破棄、2)ロシアと結んで米英を排除(p29)
・コロンブスがアメリカを発見しながら、コロンブス大陸とならなかったのは、彼がスペインのユダヤ人だから(p33)
・マレー沖で英艦隊がやられ、日本艦隊にペルシア湾・紅海を制せられたらドイツ軍が勝つと考えた、米英軍はドーリットルの東京奇襲と、東洋艦隊の再編を企画した(p48)
・日露戦争では、世界のユダヤ人社会が日本を応援してくれた、歳入2.3億の日本が18億円借りれたので(p70)
・日露戦争後、ロシアは購入した南満州を去って行ったので、ロシアにすれば賠償金支払いも領土割譲も承知したという意思表示であった(p98)
・東京裁判の判決が急がれた(S23.11.12)のは、12.10に国連総会で「世界人権宣言」が予定されていたから、中には、事後法禁止等が謳われていたので(p109)
・東条英機の遺言において、米英側指導者の失敗を3点あげている、1)日本という赤化の防壁を破壊した、2)満州を赤化の根拠地にした、3)朝鮮を二分した(p115)
・東京裁判当時には、イギリスは、インド・ビルマにて、フランスはベトナムで、蒋介石は共産党軍と戦い、アメリカは全てに関わっていた、これは「A級:平和に対する罪」に該当する(p117)
・C級:人道に対する罪について、日本にはホロコーストがなかったので、南京大虐殺のウソが必要だった、アメリカ人のブレイクニー弁護士は、「原爆こそホロコーストだ」と弁論した途端に、同時通訳の電源が切られた(p118)
・マッカーサーたちは、ドイツのナチスを裁いたニュルンベルク法廷の「国際軍事裁判事例」を持ちこんだが、調査するほどに困った、日本には、ニュルンベルクで最も重い罪とされたC項にいう「人道に対する罪」に該当する罪状が見つからない、日本はユダヤ人保護を閣議決定していたほど(p124)
・GHQは方針転換をして、a項を一番重いA級、以下B,C級とした(p125)
・日本人の検閲官は、月給3万円という高給、当時の東条英機の資産が15万円(p125)
・推計では日本列島の住人の合計は5-6億人、先祖は20代前で100万人、30代前で14億人という計算になる、天皇が120代を超えていることから、膨大な数の先祖は一転して共通の先祖となる(p134)
2013年5月4日作成