ランチパックの本

著者 :
  • アストラ
4.31
  • (9)
  • (4)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 73
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901203456

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ヴィレバンで、一冊だけ置いてあって(しかもヴィレバンの黄色いPOP付き!!)買おうか迷ってその時は買わずに、1ヶ月後再び行ったらPOPは付いてなかったけど、購入しました。ランチパック好きには、たまらない一冊だと思います♪私もその一人です(笑)小さい頃から、馴染みのあるパン(°С°)イラストもパッケージも可愛い♪著者の方の感想的な本だけど、すっごく楽しめる本です。最近は、いろいろなバリエーションの味があって、お店で見つけると、テンションが上がります(°ε°)

  •  素敵な具材をオリジナル食パンで包んだヤマザキの大ヒット食品。スーパーで、コンビニで、キオスクで。いつも身近に、手の届くところで、みんなの口に運ばれるのを常温保存で待っているランチパックだが、実はその数、全800種類以上にものぼるらしい。その中から、漫画家であり、ゲーム作家であり、そして何より幼少時からランチパックを食してやまない愛好家・香山哲が、あくまで一ファンとして、50種のパックを選定。その味、イラストのデザイン等について、1種見開き2ページで記したのが本書だ。

     イラストはすべて著者自らの手で模写再現。「忠実にマネてこそ、わかる原作精神がある」。って、お前は夏目房之介か、トッド・ラングレンかって感じだが、夏目やトッドと違い、香山哲がコピーするランチパック、あれ中身やイラストは違っても形状は同じだから。表紙で展開されるランチパック曼荼羅に、各ページで繰り返されるランチパックイラスト。獄中写経か。あ、一応念のため、誤解のないように急いで書き加えておくと、香山哲先生は「刑務所の前」にいる方の漫画家です。・・・って、そんなエクスキューズをする方が大きな誤解を生みそうだ。反省。

     通常、この手のコレクト本は、できるだけ多種のバリエーションを紹介する、抜けなく漏れなくの「カタログ大全」形式や、販売期間や開発経緯などの詳細満載の「データブック」形式が多いような気がするが、本書では、瑣末な情報類の記載はほとんど一切ない。著者が好きなようにランチパックを食いちらかし(と言っても汚れず汚さず、片手で食べられるのがランチパックの売りの1つ!)、独断と偏見で、関係ないこと、心配せんでもええことを、独りトツトツ、食べ、描き、喋り続ける!

     読んでいると、ランチパックに対する好奇心、食欲が刺激されるのはもちろんなんだが、それと同時に非常に気になるのは、香山哲の「対象への愛」のあり方だ。もう、とにかく誰もそんなこと思わねーよ!ってツッコミを、自ら想像、立論し不安がっては、さらにその先まで論理を敷衍し、「やっぱりランチパックは大丈夫だった」と確認し、安心するを繰り返す。

     たとえば、「たまご」味のランチパックを紹介するくだり。ランチパックのイラストには女の子と男の子の「妖精」(それぞれランチちゃん、パックくんという名前がついている)が毎回登場するのだが、女の子が卵の殻を桃太郎よろしくパカーン!と持ち上げている絵について、

    「食べ物で遊んじゃいけないけど、ゆで卵のむいた後の殻は食べ物じゃないからいくら遊んでもよし!元気が一番。」(p.23)

     「チョコクリーム」味を紹介する箇所では、

    「男の子が一生懸命混ぜているのに女の子の方はつまみ食いかよ!って思った人は悪い方に考えすぎ。これは味見という立派な仕事だよ。女の子のヒジが器の中のチョコに付きそうだけど、こういう時は、ついてから注意するようにしようね。もし付いてしまう前に言ってしまうと、「付きそうだよ」「大丈夫、わかってたから」「でも今にも付きそうだったけど?」「そんな事ないもん!」・・・・・とケンカに発展してしまうから、もしも付く前に言う場合は攻める感じではなく「気をつけてね」っていう感じでね。世の中平和が一番だよ。」(p.25)

     食事マナーや労働に対する評価が、特に気になるようで、たとえ妖精が食べ物で遊んでいるように見えても、絶対にこれを肯定しないし、仮に一切働いてないように見えても、絶対に妖精に感謝する。

    「おいおい、今日はあんまり料理したり働いてないじゃないの・・・・・と思ったけど、そもそも彼らが見知らぬ僕らのために真面目に働いてくれてる方が珍しいっていうかね。それに栗を集めるのも立派な仕事だしね」(マロン&マロンホイップ p.71)

    「女の子がピョンピョン跳ねて【チョコを】踏み潰しているようにも見えるけど、そんな事はないね! そんな事はしないはず!」(ザクザク食感チョコクリーム p.109)。

    いや、しないはずとか言われても。それ、お前の願望だろう。

     妖精の大きさについても、香山哲先生の心配は尋常ではないようで、先手を打って読者に注意を促している。

    「ちなみに、マヨネーズの大きさから2人の大きさを考えても無駄だよ。妖精ってのはいつも同じ大きさだとは限らないし、このマヨネーズが僕らの知ってるあのマヨネーズだとは限らないからね。自由な気持ちで彼らを見守ろう! そういう気持ちが大切だ!」(p.21)

     とか言いつつ、「関東・栃木レモンクリーム&ホイップ」味の箇所では、

    「今回ほど彼らの体の大きさがわかりやすいイラストも珍しいかもしね。ちょうど500mlのパックと同じくらいの大きさ。スズメとかネズミよりは一回り大きいね。わかったから何だって言われても困るけど。」(p.93)

    などと手近な物体で妖精の大きさを推測している。いや、その500mlパックが、僕らの知ってるあの500mlパックとは限らじゃないか!

     ささいなことは「クリアーしていること」が結構目に見えにくい。小さな課題を自ら拾ってきて、それをランチパックが乗り越えていることを示し、乗り越えたんだからランチパックに1ポイントプレゼント! これを何回も繰り返し、「これだけの課題に耐え、ポイントが加算され続けるランチパックってやっぱりすごい」という確信を強めていく。そんな香山哲の愛情確証作業の成功を、本書では毎ページ毎ページ確証できるのだ。

     皆もマネしてみるといいかもしれない。気に入らない人や、好きだけどついつい文句を言ってしまう相手だって、ランチパックだと思ってね。「矛盾してる!とか言うかもしれないけど、このマヨネーズが僕らの知ってるあのマヨネーズだとは限らないからね」。「もし世界が50種類のランチパックだったら・・・」。今よりよっぽど平和な世界になるかもね。世の中平和が一番だよ。

     基本的にはランチパックを肯定するための、乗り越えられるべきツッコミポイント集めなのだが、、ありうるランチパックへのツッコミを想定し、それに対し「いや、悪く捉えないことが大切」とか言いつつ、しかし、香山哲が紹介しなければ誰もそんな脳内ツッコミに気付かず、平和に楽しく暮らしていけるのに・・・と思う瞬間もあったりする(「幽霊型けむり」に対する考察など)。コミュニケーション崩壊を過度に心配しすぎて身動きがとれず、逆に不審な言動となり、結果コミュニケーションが崩壊する経緯を展開・・・みたいなところが、意外と町田康的だったりもするのだ。香山哲はあくまで脇役。だけど、ときどき香山哲が「やりすぎ」て、ランチパックを食っちゃってる瞬間も生じてるんだよね。いや、ランチパック、食ってるんだけど。

     巻末にはランチパックを使った料理のレシピも掲載している。「材料:ランチパック2パック」という同語反復表記や、「お弁当」という料理名のカテゴリー不一致(だいこん、にんじん、ピーマン、やさいって並ぶ感じ)はスルーさせていただくとして、しかし、一番の「なるほど」レシピは本書の表紙にある文句に尽きる。「ヤマザキの人気シリーズを、とことん食べて本にしました」。とことん食べたら食べ物じゃないものも作れる! ランチパックの中に閉じ込められた無限の宇宙が解放される瞬間を、感じつつ、読了。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • ランチパックの集大成な本。
    画期的な内容!
    よくぞここまで~ですね。
    イラストが秀逸。

  • ランチパック大好きだし、こういう図鑑?ビジュアル本?も大好物。ランチバックを愛する作者が、独断と偏見で評価し、味のあるイラストを添えてくれてます。読むと、時間に関係なくランチパック食べたくなる。

  • ランチパック!
    君は全国各地で活躍する様々なランチパックを知っているか?

  • そのものずばり、ヤマザキの「ランチパック」を紹介する本。
    といってもオフィシャル本というより、著者の個人的な紹介。

    ランチパックはとにかく種類が多くて、本の中でも書かれているが、
    累計800種類とか。さらにどんどん新しくなるので、
    この本では、著者が出会った中でのベストセレクションとして50を紹介している。

    味はもちろん、パッケージやタイトルのイメージと食べた感じのギャップなど、
    率直な印象を、素直な気持ちで書いている文章が読みやすい。
    また、特徴の一つとして、パッケージに係れている男の子、女の子の
    「妖精」について、そのバックボーンを勝手に妄想して書いているところも、
    読み物として面白い。

    確かにそうかも、とか、私の好みは違うかな、などと思いながら
    読むと、自分と違う感性に触れられていい感じでした。

    個人的には、「マヨネーズさえ入れとけば何とかなる」的な話し
    (確か、中の人との対談で出ていた)が印象に残りました。

  • 2012/12/21

    Osaka Municipal Library

  • 「おいしさ独断」が全て☆5の所に感じる作者のランチパック愛。
    こういう本は読んだら期間限定のものまで食べたくなるので、いかんですね。

  • ランチパック携帯ストラップかわえ~('∀`)この本、1つ1つの紹介がぎっしり載ってました!ちなみに私一番食べるのは、たまごかな?食べてみたいのはみかんかな(@^▽^@)

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1982年兵庫県生まれ。漫画家、イラストレーター、ゲームクリエイター、ライター。信州大学理学部生物科学科卒、神戸大学大学院医学系研究科中退。2017年、フランス・アングレーム国際漫画祭オルタナティブ部門ノミネート。『ベルリンうわの空』(プリント版はイースト・プレスより刊行)にて第24回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に入選。ドイツ、ベルリン在住。

「2022年 『香山哲のプロジェクト発酵記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

香山哲の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
米澤 穂信
クラフト・エヴィ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×