- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784901654555
作品紹介・あらすじ
「風の吹くまま気の向くまま、寅さんのように自由に生きられたらなあ、でも寅さんってなぜか切ないんだよな」。国民的アイドルともいえる寅さん。27年間で全48作品におよんだ「男はつらいよ」シリーズはギネスブックにものる世界でも稀な長寿作品である。単純な筋立て、マドンナにいつも振られる寅さんに、なぜ多くの日本人が魅せられ、正月とお盆には200万を超える人々が映画館に足を運んだのか。この魅力の謎に挑むため、4人の社会学者が6年間にわたり全作品を分析、その秘密を明らかにする。寅さんの中に写し取られた日本人のパーソナリティーや人間関係とそこから浮かび上がる社会心理を通して、人々が高度経済成長を背景に漠然とした不安の中で何を求め、寅さんに思いを重ねていったのか、その秘密に迫る。最終作品の公開から10年、寅さんファンはもとより、普通の日本人にとっても必見の書。
感想・レビュー・書評
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寅さんの解説本かと思ったら寅さんを通して社会学を語るものでした。社会的な発見はなかったけれど、寅さんって後半からどんどん良い人になっていくってことを知りました。前半から中盤の寅さんってほとんどサイコパスだもんな。あたしが子供の頃に見た義理と人情の寅さんは後半の寅さんだったんですね。
そして人気とともに「寅さんを我がまちへ」という誘致合戦が盛んになるという。行政が絡んで『ゆるキャラ』になっちゃうんだ寅さん。そうなると毒も吐けんわね。寅さんから毒を抜いてそうすんだ? まぁそういうことなんでしょう。
我が家では29作まで見たのですが、この本の中で寅さんを知らない大学生に寅さんを見せるという特別授業があって、それが29作目の『寅次郎 あじさいの恋』でタイムリーでした。しかしなんでこれにしたんだろう? あたしとしては17作目をおすすめしたいな。
山田洋次監督は寅さんを悲劇の主人公にしたんだとか。だからちょっと切ないんでしょうね。また他の国に寅さんみたいな映画があるのかという疑問が投げかけられていて、ないとしたら日本は独特の国なのかということになるんだけれどどうですか? みたいな終わり方してるんですが、あたしおととい寅さんみたいなアメリカ映画を見ました。それは映画の感想コーナーで。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大学の教授達が人文学的見地から、映画「男はつらいよ」が何故長年人気が続いたのか、人々は映画に何を求めたのか、を考えた。
そこには“日本人らしさ“があった。人間関係とそこから浮かび上がる社会心理。
高度経済成長を通して人々が抱えた漠然とした不安。
映画「男はつらいよ」には、日本人が失おうとしていた日本らしさがあり、
人々はアメリカ型豊かな生活を得る一方で失う何かを映画の中に見付け癒されていた。
現代の大学生は「男をつらいよ」を知ってはいても見た事ない者が多い。喰わず嫌い。
だが一度観ると、全員ではないが多くの学生が、「ほっとする」と言ったそうだ。
そこには親から聞かされた、昔は良かったじゃないけども、日本人が民族として感じる郷愁があるのではないだろうか。いい部分も悪い部分もひっくるめて。 -
渥美清さんの死亡で『男はつらいよ」は終わったが、映画に見る心理学面白かった
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日本橋図書館
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試論に留まってはいるが。別にええやん。寅さんが何であんなに懐かしさを感じさせるというか、「ええもの」を感じさせるというか。大事な気がする。