- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784901769563
作品紹介・あらすじ
世界でただ一人のショートショート専業作家・江坂遊がベールに覆われていた創作の秘密をついに明かします。弟子になり設問を解いていけば、何と!いつのまにか実力アップ、巻末記載のコンテストに応募したくなるはずです!新作ショートショート12編も特別収録。
感想・レビュー・書評
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星新一に教えを受けた筆者が、星式ショートショートのつくり方を伝授。
筆者はショートショートの作者は理系が向いているというだけあって、SF的で、謎解きの面白さが肝という考え方。
話のつくり方のテクニックの伝授も理系っぽく分析的。
アイデアの考え方のテクニックとしてはメカニカルだし誰でもできそうな方法なので、汎用的で良いとおもう。
創作プロセスは3段階「序破急」
序 キラキラ光って=光る素材を見つける
破 メラメラ燃えて=ビジュアルシーンを組み立てる
急 パッと爆ぜる=どんでん返しでサゲをつける。
それぞれのテクニックを本文から引用します。
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【序】
『A表』
修飾語と名詞をランダムに組み合わせて普段考え付かないフレーズを考える。
海鳴りが聞こえる 絵本
蘇生する 雨
etc
『要素分解共鳴結合』
ア まず、ものにこだわる。
イ 異質なものを見つける。
ウ 二つを結びつけるために、ものを要素分解していく。
→ ブロンの要素分解共鳴結合
エ 共鳴しあってくれるまで止めずに続け関連したつながりを見つける。
『B表』
ブロンの要素分解共鳴結合の発展
表側に名詞、表頭に関係分類軸をマトリックスで表を作る。
『C表』
B表の二項を関係性を関連付ける。
【破】
①光る素材に執着し発火点を見つける。
②緊張を緩和するユーモラスな言動の挿入個所を検討する。
③場所、仕種などの事前設定済み環境記述データベースから使用が予定されるものの見当をつけておく。
④独自世界のルールを補強する。
⑤機能、歴史、比較の三要素でストーリー展開を補完する。
【急】
サゲのつけ方
①地口落ちで終わらせる。
「慣用句でしゃれて落とし前をつける」
②見立て落ちで終わらせる
「酷似しているものを連想させて、その異様さを余韻に織り込む」
③まぬけ落ちで終わらせる。
「おとぼけ、スカタン、ズレ、遊びを見せる」
④考え落ちで終わらせる。
「皮肉な逆転敗北や、入れ子構造の暗示、悲劇循環でその異常さを長く印象付ける:
⑤離れ落ちで終わらせる。
「スピリチュアル、ナンセンス、うっちゃりの後にさっと場面転換をさせて潔い終わり方にする」
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アイデア、方法としては役に立ちそうだけど、実際に物語にする部分はこのテクニックだけでは難しいだろう。物語世界をリアリティーをもって感じさせるのは文学的表現、文章表現の部分な気がする。
あと、この本はおじいさんキャラが語るという形式なのですが、少しそれが読みにくかったかな。
あと模範事例として出ている物語もショートショートではあるけど、結構長くて、テクニックのサンプルとしても理解するの時間がかかるなと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アイデア創出法とか体系的で新鮮。
ベストセレクトは読みたくなる。
良い作品のみを産出するには、「ダメなものは発表しない」と星先生らしい矜持だなあ。
参考ページ、40p、50p、91p、141p
特に役に立つ!
人に読んでもらう前のクリアチェック表
・時間をおいて三度読み直しても人に読んでもらいたいという考えが変わらないか?
・ここが新しいと言い切れるとことがあるか?
・ロジカルに話は進められているのに妙な世界に読む者を引き込んでいるか?
・洒落っ気とサービス精神にあふれているか?
・脳裏に焼き付くビジュアルシーンがあるか? -
名前の知っている作家さんの創作技法との事で、興味を持った。文章を作るとき本文を考えて最後にタイトルをつけるというイメージがあるので、タイトル作成からの着想方法は新鮮だった。
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「ショートショート」を作る上での流れは、
1キラキラ光って、(異素材で共鳴する要素を見つける)
2メラメラ燃えて、(ビジュアルシーンを組み立てる)
3パッと爆ぜる。(オチをつける)
である。
この中で一番大切なのは「1.異素材で共鳴する要素」である。
星氏も「異常なシチュエーション」が大切と宣っていた。
1.をみつけだすために、雑誌や作品を分化したシートを作り、ずらしたり、*13の拡張センサーを使ったりする。
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人間化 月⇒満ち欠け女
形態特化 オオカミ⇒たてがみ
ルール 蛇⇒グニャ法
引き寄せ お守り⇒運寄せ磁石
反発離反 酒⇒酒嫌い
歪曲化 記念日⇒結婚
冗談化 光線⇒蟹光線
超能力化 オオカミ⇒爪と牙
薬剤化 蛇⇒ヌルヌル化
マシン化 風見鶏⇒指名マシン
食品化 手帳⇒たべられるページ
売る 人魂⇒たま屋
果実化 砂⇒サンド豆 -
星新一式ショートショートの作り方。
オチから考えるのではなく、異常なシチュエーションができればそれにふさわしいストーリーは考えつく。
異質なものを組み合わせる。突飛な問答、恥、笑い。
アシモフ「空想天文学入門」のとほうもない思いつき。
きらきら光る素材を見つける、ビジュアルシーンを思い浮かべる、どんでん返しでサゲをつける。
モノにこだわる。異質なものを見つける。それらを結び付けるために因数分解する。似た点、関連した部分が見えてくる。
どんでん返しでサゲをつける。
1、修飾語+名詞の塊を作る。それらの順番を入れ替えて考える。
2、名詞を並べる。それらを
人間化したら、形態特化したら、ルール化したら、引き寄せたら、反発離反したら、歪曲化したら、冗談化したら、超能力化したら、薬剤化したら、マシン化したら、食品化したら、売ったら、果実化したら、
と考えて、題材を見つける。
3、素材を歪曲、暗示、相似、擬態、象徴、したらどうなるか。
4、単語をランダムに並べる。それらをマッチングさせて共通点、類似、相似点を探す。
オチの見つけ方
慣用句でシャレ落とし、見立て落ちで読者の創造に任せる、まぬけ落ち、考え落ち=皮肉な結末、入れ子構造の暗示、悲劇循環、離れ落ち、サゲを体で表す
ショートショートは数学=いかに問題を作るか。
まず問題が提示される。解が用意される。解が提示されれば、なんだ当たり前じゃないか、と思われる。名前や場所は記号化される。エヌ氏、エフ博士、エム町、など。解法にパターンがある。ありそうでなさそうなルールを作ると変わった世界ができる。問題も解答も短い。机上で極大極小の世界を語る。 -
落語のオチに基づく話作り、練習問題、発想法など。
「〜じゃ」とお爺さん調で語るため、読みにくくなっているのが残念。 -
ショートショートで有名な星新一の一番弟子が書いた本。
ショート・ショートの作り方が非常にわかりやすくまとまっていた。
①素材を見つけて、②ビジュアルシーンを組み立て、③どんでん返しを作る
基本的にはこの3ステップで物語はできる。
本書ではこの3ステップについて更に踏み込んで解説しているが、その説明が非常にわかりやすい。
来年はこれを応用してショートショートを作ってみようと思う -
「最初に結論めいたことを言いますが、面白い話というのは、常識をひっくり返した話ということになります」 ー 104-105ページ
面白いかどうかはともかく、インパクトを与えるための一つの手法として常識をひっくり返すというのはとても大事なのだろうなとは思う。
ただ、単純に常識を裏切るだけではだめで、それは誰も読まない。親和性のないものには人間は近づきたがらない。
だから最初に詐称する必要がある。「これはあなたの知っている物語ですよ、あなたの知り合いですよ」と――。
ただ、あんまりにも凡庸な内容の場合でも手に取られないわけで、この辺りのさじ加減は難しい。おそらく一番良さそうのは、「ドンデン返しを期待させるような凡庸な小説」というところだろうか。
例えばまどか☆マギカでものすごい有名になった虚淵氏とかは個人のキャラでこれを体現してしまっていて、ずるいというか羨ましい。こういうのが個性で出せる人はすごいですね。