「残された時間」を告げるとき

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  • 青海社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902249873

感想・レビュー・書評

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  • 家庭医でもあり緩和ケア医でもある西先生の著作。本書ではがん患者の終末期についての話し合い(End-of-Life Discussion;EOLd)について一貫して取り上げている。前半ではいわゆる余命告知に関する現状を豊富な緩和ケア分野の臨床研究や調査より明らかにするだけでなく、社会学的な日本人の死生観や、患者家族の選択としての行動経済学の視点からも考察している。後半では浮き上がったEOLdに関する課題に対して、筆者が8つの余名告知のパターンを提示し、その使い分けを表紙にあるようなマンガや図も用いてわかりやすく紹介している。そのように方法論も展開しながら、終章では”いちばんたいせつなこと”として話術に終始しない、医療者の佇まいや傾聴の姿勢を問いている。がんに罹患した患者に余名を告知し、方針を共同決定するという困難な状況を、学問で明らかにしながら臨床者としての矜持も提案してくれる一冊です。ぜひお勧めします。

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著者プロフィール

川崎市立井田病院かわさき総合ケアセンター、腫瘍内科/緩和ケア内科医長。
一般社団法人プラスケア代表理事。
2005年北海道大学卒。室蘭日鋼記念病院で家庭医療を中心に初期研修後、2007年から
川崎市立井田病院で総合内科/緩和ケアを研修。その後2009年から栃木県立がんセン
ターにて腫瘍内科を研修。2012年から現職。現在は抗がん剤治療を中心に、緩和ケア
チームや在宅診療にも関わる。また一方で、一般社団法人プラスケアを2017年に立ち
上げ代表理事に就任。「暮らしの保健室」「社会的処方研究所」の運営を中心に、地
域での活動に取り組む。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。
著書に『がんを抱えて、自分らしく生きたい――がんと共に生きた人が緩和ケア医に
伝えた10の言葉(PHP研究所)』、編著に『社会的処方:孤立という病を地域のつな
がりで治す方法』(学芸出版社)などがある。

「2020年 『だから、もう眠らせてほしい 安楽死と緩和ケアを巡る、私たちの物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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