- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784902269482
感想・レビュー・書評
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地元の反対運動。結果的に減災。反対する方はとても大変。ずっと反対するのは精神的にくる。結局、身内同士も溝が出来たり・・・。
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和歌山の原発論争を人、言説から探った作品。
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この本の存在を知るまでは、
和歌山にここまでに壮絶な原発を巡る闘いがあったとは、
露ほども知らなかったというのが正直なところであった。
(原水禁の存在は知っていたが、原発とのつながりはピンと来てなかった)
原発を拒み続けた壮絶なる記録が、
読み手にとって淡々と整理され記録されているのと、
いろんな執筆者がいろんな角度で記録しているので、
その当時のようすがリアルに伝わってくる。
この本を読んで、和歌山のことがちょっぴり好きになったかなと。
たくさんの印象に残ったフレーズがあるが、1つだけ。
「学ぶ、ということは、知識を詰め込むことではなく、自ら変わることである。
竹中さんこそいろいろな人に出会い、
そこからさまざまなことを学び、変わり続けた人であった」
竹中さんに限らず、この本に登場する人たち(執筆者も含め)みんなが、
このフレーズにぴったりとあてはまると思う。
そして、最後に。
やはり私はいい先輩に恵まれているなとしみじみと実感。
(執筆者の中のおふたりが、組合(日教組)の大先輩でもある) -
日本の原発54基は海岸線に沿って日本列島を囲んでいる。しかし紀伊半島には原発が無い。「原発のない県」がどのように作られたのか?本書はかつて和歌山県の4町5カ所に起きた原発建設計画を止めた経緯を、絡み合った糸を丁寧に梳くように読ませる。国の政策の上に胡坐(あぐら)をかき、地域経済や個人の暮らしまでも支配してきた電力会社。強大な資本と国の後押し、そして個人や組織に向けて膨大なおカネの攻勢。日本中の原発立地県で行われてきた手法に、原発に反対する個人、個人がどのように立ち向かったのか。なぜ和歌山では執拗な電力会社との20年を超える激しい攻防に立ちく向かえたのか?その答えは特別な方法でもなければ奇想天外な手段でもない。愚直なまでの原発を止めたい思い、そのものがここにあった。脱原発が叫ばれる現在、札束をチラつかせ、人の土地へ土足で上がり込み、健全な人々をシャブ漬けにしてしまう、電力会社の悪行と、それをしなくてはならない彼らの本当の姿を描いた貴重な本である。