リヤ王と白鳥になった子どもたち

  • 冨山房インターナショナル
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902385922

作品紹介・あらすじ

魔女に呪いをかけられ、白鳥になった王子たち。呪いをとくクジラとの愛の物語。アイルランド伝説の3大悲劇の1つ『リヤ王の子どもたち』をもとにした作品です。アメリカで、1993年度のイラスト部門ゴールドメダルを受賞。

感想・レビュー・書評

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  • ハロウィンにちなんで、先日中学生向けに読んだ本。
    お話の舞台がアイルランドであり、ケルトの伝説がもとであるということと、絵の美しさとストーリーの重厚さで選択した。

    タイトルになっている「リヤ王」は、古代アイルランドの神話では海の神であり、シェイクスピアの「リア王」の原型でもあるらしい。
    ケルトの人たちの「魂の不滅」や「輪廻転生」を希求する精神がこのような物語を生み、ハロウィンの伝統にも繋がっているかと思うと、とても興味深い。

    美しい絵は、「ヤコブと七人の悪党」を手掛けたガナディ・スピリンで、米国のソサエティ・オブ・イラストレーターズのイラスト部門でゴールドメダルを受賞している。
    そんなわけで、いくつかの見開きのページではとっくりと開いて見てもらった。一同「ほぉぉぉ・・」と嘆息。
    ちなみにアイルランドの地図も持参した。お話の舞台はこの辺ですよということで。

    母を失った4人の子どもたち。
    子どもたちのためにとリヤ王は、亡くなった母王妃の妹・イーファを新しい妻にむかえるが、どうしても子どもに恵まれない。
    やがてイーファの心に、子どもたちへの妬みと憎しみが生まれる。
    実は恐ろしい魔女であるイーファが子どもたちにしたことは、彼らを白鳥に変えることだった。。
    子どもたちの運命は?失墜したリヤ王のその後は?イーファの悪政は続くのか?

    日本にはない壮大でドラマチックな話は、息をのむような展開になっていく。
    嫉妬というものは、こんなにもひとを変えてしまうのか。
    最後にイーファの魔法が解ける場面もあっと驚くほど見事で、納得のいくもの。
    長い歳月の間に成長した子どもたちが、ギリシャ彫刻のように美しい。

    絵本の挿絵というより絵画のようなスピリンの絵を見るだけでも価値がある一冊。
    大人が自分用に買っても良いし、プレゼント用にもなるだろう。
    惜しむらくは絵があまりに精密で大人数には不向きなこと。
    かつテキストも長くて25分かかる。そこにご注意あれ。
    後書きもまた重要なので、出来ればそこまで読みたいかな。
    絵本の域を超えた優美な物語の世界に、白鳥のようにとは行かなくても(笑)翼を広げて楽しみたい。

  • 絵がとても繊細で綺麗。
    昔話なファンタジーだなと思う。本編ではないけれど、後ろの説明を読むと面白い。

  • 息を呑む美しさで癒されました。

    絵葉書があったら欲しいです。

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