- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784902593150
作品紹介・あらすじ
世界中で評価されている坂茂は、紙管、竹、エンジニアド・ウッドといった有機的な素材を用いて優美な構造物を設計し、それらを実現してきた。地震被災者のためのワンルーム仮設住宅から、海辺に立つ個人用の都会的なヴィラまで、両極端の立場にあるクライアントのいずれのためにも設計するいっぽう、人道主義的な貢献、リサイクル可能で低価格な素材、詩的な建築スタイルで広く賞賛されている。本書は、坂茂本人の協力を得て、作品のテーマを浮き彫りにする紙、木、竹、プレハブ、スキンという素材とテーマごとのセクションに分け、プロジェクトを紹介するもので、坂の先駆的な素材試験を記録する技術的な情報も併蔵している。
感想・レビュー・書評
-
我々が思う紙のイメージを払拭した建築家。耐久性、耐水性にも優れた建材を開発した。坂茂の活動で印象に残ったのはハノーバーでのパビリオンと紙の住宅、救済活動だ。
ハノーバー国際博覧会日本館にて作られた3次元曲線のグリッドシェルのパビリオンの構造材には再生紙で作られた紙管を使っており、博覧会の終了と共にほぼ100%のリサイクルとリユースが可能だった。また屋根材には紙とラミネート加工されたポリエチレン製の不粘膜を使い、必要な強度を保ちつつ、美しい外観となっている。
パビリオンは展示作品のようなものであり、一定期間建てられたら閉幕と同時に撤去しなければいけないという問題がある。その問題に対してパビリオンとしての役割を果たしつつ、環境にも優しい設計ができていた。これは建築上非常に大きな功績と言える。
紙の家は山梨に建てられた住宅、紙管を恒久建築物の構造材として初めて認定を受けた作品。身近にある紙が構造材としての認可を得られるとは思わなかった。
ルワンダの難民キャンプに作られた緊急シェルターでは紙管フレームで骨組みを作り、上から布で覆ったもので簡易的に作ることができ、輸送にかかる費用を抑え、ゴミの排出量を減らすこともできる。被災を受けた地にとっては大変助かっただろう。他にも神戸地震の紙のログハウスやインド地震の仮設住宅ユニット、災害による救済活動を多く行なっている。
建築家としてではなく、一人の人間として尊敬する。
これからの活動にも注目しておきたい詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いや〜なんかもうすごい。すごい。