- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903281155
作品紹介・あらすじ
アメリカという鏡に映して、仏教を、宗教を、見つめなおす力作。
感想・レビュー・書評
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アメリカでの仏教の広がりを感じることができる。
実際に、仏教人口だけで見ると、かなり少数派ではある。しかし、キリスト教やユダヤ教に疑問をいただいていた人が改宗したり、たとえ改宗しなくても、生活の一部に仏教を活かしている人が多くいることが興味深い。
個人的に、日本はアメリカを追って、同じような歴史を辿っていくのだと考えてる。生活スタイルも、少子化も、仕事観も。
そう思うと、アメリカで求められてる仏教の要素が、そのまま日本にも当てはまっていく部分が、これから増えるのではないだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【版元の紹介文】
アメリカで仏教徒として育ち、仏教学者にして僧侶でもある著者は、1960年代前半の中学・高校時代、「宗教は?」との質問に「アイ・アム・ア・ブディスト」というかわりに「アイ・ゴウ・トゥ・ア・ブディスト・チャーチ」と答えていたという。著者が仏教徒であることに引け目を感じるほど、当時仏教はアメリカ社会で認知されていなかった。しかし、仏教はその後アメリカで著しい伸びを示し、今では多くの有名人が仏教への傾倒を公然と表明する。本書はアメリカに浸透する過程での仏教の変容と、仏教を受容したアメリカの人と社会の変化をとらえて、アメリカを通して宗教、特に仏教がもたらす平安や、社会における宗教(仏教)の意義を問い直す。
【メモ】
・著者のHP。
http://kenneth-tanaka.life.coocan.jp/index_j.html
・(武蔵野大学)仏教文化研究所
http://www.musashino-u.ac.jp/bukken/gaiyou.html
【目次】
目次 [003-010]
序章 伸びるアメリカ仏教 011
三百万以上の仏教人口
ローマ法王の警戒心
劇的な変化
目的と姿勢
日本仏教との関わり――アメリカへの影響、アメリカからの影響
第一章 現状 仏教人口と種類 021
[一]仏教人口 023
1)仏教徒
2)仏教同調者――ナイトスタンド・ブディスト
3)仏教に影響されている人びと
[二]仏教徒の種類 029
1)プレビシュ説―― 三種類
2)ナティア説―― 三種類
3)田中説―― 四種類
[三]主な団体・寺院・センター 035
1)旧アジア系仏教徒
2)新アジア系仏教徒
3)瞑想中心の改宗者
4)題目中心の改宗者
第二章 浸透 一般社会 057
[一]マスコミの注目 059
[二]著名人 062
1)リチャード・ギア
2)ティナ・ターナー
3)フィル・ジャクソン
4)アダム・ヤウタ
[三]映画・テレビ番組 074
[四]書物 078
[五]大学の仏教教育 083
第三章 歴史 十大出来事 089
[一]1844年 学会での仏教の紹介――知識人による導入 091
[二]1853年 中国人による仏教寺院の建立――アジアの生きた仏教の渡来 094
日本人
[三]1880年 白人仏教徒の誕生――日本やアジアとの交流 098
日本仏教徒白人仏教徒
[四]1893年 万国宗教大会――キリスト教と肩並べ 103
ポール・ケーラス
仏教の低下
[五]1942年 僧侶の逮捕――移民社会と仏教の役割 103
[六]1958年 『ザ・ダーマ・バムス』の刊行―― 一般社会に影響するビート仏教 114
[七]1962年 サンフランシスコ禅センターの開始――実践道場の誕生 118
1960年代の伝道者と実践道場
[八]1974年 インサイト・メディテーション・ソサイティ――新しい形の仏教 125
伝統軽視の傾向
[九]1976年 創価学会の建国二百年祝典――アジア宗教のアメリカ化 130
[十]1996年 米国副大統領の仏教寺院への訪問――移民仏教の社会同化 133
第四章 特徴 アジアの仏教と比較して 141
[一]平等化 144
1)在家者中心
2)女性の地位向上
3)同性愛者
[二]メディテーション中心 156
1)メディテーションの魅力
2)仏教徒の実態
3)カトリック・シスターの評価
4)プラクティス重視
5)体験談
[三]参加仏教 エンゲイジド・ブディズム 167
1)日本仏教の社会性
2)「エンゲイジド・ブディズム」の由来
3)参加仏教の専門団体
4)ホームレスの街頭リトリート
5)プロジェクト・ダーナ
6)理由
[四]超宗派性 180
1)複数の宗派所属
2)JUBUs――他宗教にも所属
3)他宗派の教師の参加
4)超宗派連合会
5)全米仏教教師会議
[五]個人化宗教 190
1)三つの要素
2)参加単位は家族ではなく個人
3)実践場は団体よりも個人
4)伝統より個人
5)懸念の声
第五章 解釈 アメリカへの同化 203
[一]科学 205
1)ポール・ケーラス氏
2)アジアの仏教宣教師
3)アインシュタインの見解
4)『物理学の道』の影響
5)科学者仏教徒
6)マインド・アンド・ライフ研究所
7)ダライ・ラマとアメリカ神経学科学会
[二]心理学 220
1)心理学が仏教の窓口
2)精神分析と仏教
3)トランスパーソナル心理学
4)精神医師の仏教徒
5)「目覚め」と「実現」の融合
[三]環境 235
1)詩人仏教徒ゲイリー・スナイダー
2)社会活動家ジョアンナ・メイシー
[四]「この世・今」の重視 243
1)大会での風刺漫画
2)「無常」のとらえ方
3)「この世」の強調
4)修行での「今」の重視
[五]仏教ユーモア 251
1)電気掃除機
2)出家僧とホットドッグ
3)誕生日プレゼント
4)ブルーズ演奏バンド
5)ダライ・ラマと前世
第六章 原因 全体の伸び 265
[一]宗教の重要性 268
1)東大生の意見
2)宗教の社会性
3)「宗教は子供のためになる」
[二]宗教上性の変化 275
1)社会全体の変動
2)ウェイド・ルーフ教授の考察
3)新しい多元性
4)新しい選択
5)新しい形態
6)新しいスピリチュアリティ
[三]東洋宗教の魅力 288
1)友情
2)直観的な体験
3)権威の探求
4)西洋の腐敗
5)男性支配への反発
6)健康と環境への関心
[四]仏教特有の原因 299
1)アメリカ自由近代主義の類似性
2)ダライ・ラマが象徴する良いイメージ
結び 仏教も変わる、アメリカも変わる 311
キリスト教会でのできごと
副題の「仏教も変わる」
副題の「アメリカも変わる」
あとがき(二〇一〇年 春 ケネス・タナカ) [319-320]
参考文献 [321-327]
索引 [328-335] -
拾い読み。知らないことばかりで教科書のように勉強になる。
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この本があって良かった。言い方は悪いけれど、これを叩き台に、この本がテーマとしてきた問題を深め、人類学的にミクロなレベルで分析することが今後の課題。願わくばその成果が今を生きるためのテクノロジーとして誰かを助けられたらいい。