都市と暴動の民衆史 東京・1905-1923年

著者 :
  • 有志舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903426983

作品紹介・あらすじ

1905年9月5日、日比谷公園に発した暴力の波は東京の街頭を激しく駆けめぐった。この日比谷焼打事件から米騒動にいたるまでの間、大都市では民衆暴動が次々と発生し、やがて関東大震災での朝鮮人虐殺という悲劇を迎える。日本社会が民主化・大衆化の方向に大きく転換するなかで、なぜ数々の暴力が湧きあがったのか。「男らしさ」というジェンダー規範にも注目しながら、20世紀初頭の日本社会の大転換を民衆史の視点から読み解き、民衆による暴力行使の文化とそれをめぐって変容する日本社会秩序との相互関係を明らかにする。

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  • 【書誌情報】
    『都市と暴動の民衆史――東京・1905-1923年』
    著者:藤野 裕子
    発行:有志舎
    A5判 320ページ 上製
    定価 3,600円+税
    ISBN978-4-903426-98-3
    出版者記号903426
    CコードC3021
    初版年月日2015年10月
    NDC:210.6 日本史

     1905年9月5日、日比谷公園に発した暴力の波は東京の街頭を激しく駆けめぐった。この日比谷焼打事件から米騒動にいたるまでの間、大都市では民衆暴動が次々と発生し、やがて関東大震災での朝鮮人虐殺という悲劇を迎える。日本社会が民主化・大衆化の方向に大きく転換するなかで、なぜ数々の暴力が湧きあがったのか。「男らしさ」というジェンダー規範にも注目しながら、20世紀初頭の日本社会の大転換を民衆史の視点から読み解き、民衆による暴力行使の文化とそれをめぐって変容する日本社会秩序との相互関係を明らかにする。
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784903426983

    【簡易目次】
    序 章 都市暴動から何が見えるか
    第一章 日比谷焼打事件の発生と展開
    第二章 近代都市暴動の全体像
    第三章 屋外集会の変転――日比谷焼打事件後から一九二〇年代普選運動まで
    第四章 労働における親分子分関係と都市暴動
    第五章 男性労働者の対抗文化――遊蕩的生活実践をめぐって
    第六章 都市暴動と学歴社会――苦学生・高学歴者・不良学生グループ
    第七章 米騒動とその後の社会
    第八章 朝鮮人虐殺の論理
    終 章 都市暴動とそのゆくえ

  • 近代日本史は、日比谷焼き討ち事件大正政変米騒動などどちらかというと民主化のすすんだという文脈で比較的肯定的に語られがちであるがその一方で朝鮮人虐殺事件は否定的に扱う。しかし、それらはともに暴力の発動を伴うものであったこと、そして女性はほぼ参加していなかったという著者の提起はとても重要だと思った。この視角をうけ、さらに学びを深めたい。親分子分とか、不良学生とか、そういったいわばごろつきめいた人々の、<政治化>の局面は、これから如何に語ることができるのだろうか。

  • これはめちゃくちゃ面白い。都市民衆暴動はデモクラシーの前史ではなく、その背後に、若年独身男性の対抗文化、つまり飲む、打つ、買う・・・があることを明らかにする。さらにその「対抗」は、階級的な対抗でもあり、また「通俗道徳」でもあるという。

    さらに、この対抗文化は、女性や在日朝鮮人を抑圧することで成立している、という点もとても興味深かった。面白いのはわかっていたので、なんとなく悔しくて読むのを遠ざけていたけれど、これはもう参りました、と言わざるをえない。脱帽です。

  • (後で書きます。大正期の土木・荷役従事者の親分・子分関係や対応文化、「男らしさ」の観点を導入した都市暴動の分析、関東大震災時の朝鮮人虐殺の裁判記録による分析は大変示唆に富む)

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著者プロフィール

1976年生まれ、東京女子大学現代教養学部准教授

「2015年 『都市と暴動の民衆史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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