クコツキイの症例 上: ある医師の家族の物語 (群像社ライブラリー 30)
- 群像社 (2013年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903619422
作品紹介・あらすじ
古くからの医師の家系に生まれ産婦人科医となったパーヴェル・クコツキイが結婚の相手に選んだのは疎開先の病院で手術をした患者のエレーナだった。エレーナを娘のターニャと共に家族としてむかえたパーヴェルは、堕胎が違法だったソ連で女性を救う中絶手術に賛成で、いつ逮捕されるか分からなかった。夫婦の関係は少しずつゆがんでいき、思春期に入ったターニャは冷徹な科学の世界に反発して家を出ていく…。恐怖政治といわれたスターリン時代を背景に、いくつもの傷をもつひとつの家族が人間の生と死の問題をつきつけられる。女性作家ではじめてロシア・ブッカー賞を受賞した話題の長編。
感想・レビュー・書評
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他のどこにもない小説。
出会えてよかった本の一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「通訳ダニエル・・」で感銘を受けたリュドミラ「ソーネチカ」もかなり衝撃的な流れを持った作品だった。
インタビューに答えている場でのウリツカヤの顔を思い浮かべつつ読んだのだが、なんという硬質、ち密な文章と構成。ず~っと読み続ける息苦しさに耐えられず、あえて他の人気作家モノを並行して読み、下巻へ。
ロシアが持つ独特の空気感、革命前後でまたそこに深みが増す。上流階級、インテリゲンチャも他国のそれとは一線を画し パーヴェルと子連れ結婚をしたエレーナ、娘のターニャ・・お手伝いのワシリーサ(のちに養女のトーマも加わる)が歩んでいく人生の軌跡が恐ろしく丁寧に一言一句迄張り詰めた神経で綴られて行く -
上流階級のエリート産婦人科医パーヴェルと美しい母エレーナとお手伝いのワシリーサ。3人のそれぞれの全く違う生い立ちがロシア革命から戦争の時代に翻弄されつつ丁寧に描かれている。パーヴェルの不思議な力や第二部のエレーナのノートが超越していて楽しい。一見唐突な感じですがエレーナのその話は下巻にもつながっていますよ。
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「通訳ダニエル・シュタイン」「女が嘘をつくとき」と新潮クレスト・ブックスだったけど、今回は群像社から
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「古くからの医師の家系に生まれ産婦人科医となったパーヴェル・クコツキイが結婚の相手に選んだのは疎開先の病院で手術をした患者のエレーナだった。エレーナを娘のターニャと共に家族としてむかえたパーヴェルは、堕胎が違法だったソ連で女性を救う中絶手術に賛成で、いつ逮捕されるか分からなかった。夫婦の関係は少しずつゆがんでいき、思春期に入ったターニャは冷徹な科学の世界に反発して家を出ていく…。(下巻につづく)
恐怖政治といわれたスターリン時代を背景に、いくつもの傷をもつひとつの家族が人間の生と死の問題をつきつけられる。女性で初めてロシア・ブッカー賞を受賞した作家の長編。 」