遊牧夫婦

著者 :
  • ミシマ社
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908205

作品紹介・あらすじ

無職、結婚、そのまま海外!

バンバリーでイルカ三昧、アマガエル色のバンで北へドライブ、東ティモール、捕鯨の村……二人の新婚生活はどこへ行く!?

「旅の中を生き続けたい。そう思い、結婚直後に仕事はないまま、ぼくらは二人で旅に出た。旅をしながら、住んで、学んで、働いて。五年におよんだそんな「遊牧」の日々の中で、ぼくらは確信した。そう、いまは、旅が暮らしになる時代なんだ、と――」

本書は、その五年間の最初の一年を記録した作品であり、「旅が暮らしになる時代」の<新しい夫婦の形>を描いた、異色の脱力系ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • この本は不思議だ・・・・というより
    この本を書いた人が 不思議だ というべきなのだろう。
    というか 『遊牧夫婦』という存在が 不思議である。

    旅をしながら生きていく、
    いままでの聞いたことがある言葉は 
    『人生は旅みたいなものだ』ということだったが
    『旅の中に人生を見つける』『旅が人生だ』
    という 生き方なのである。
    松尾芭蕉の 夫婦版というべきか。
    そして 旅する相手は 地球である。

    遊牧しているのは 自分たちで 
    羊や牛を飼っているわけではない。
    学生時代に シドニーで ストーカーまがいのことをして
    ゲットした 嫁さんと 一緒に 旅をするのである。

    それは 長い長い 新婚旅行のようなもので、
    べつに 新婚旅行は 6泊7日でなければならない。
    という 憲法で 決められているわけではない。
    いつ終わるかわからない 新婚旅行もあっていい。
    二人の珍道中は オーストラリアから始まるのである。

    私も オーストラリアには 何度も行ったので
    この本を読みながら 思い出すことが多かった。
    私も新婚旅行が シドニーだったのでよけい。

    それから 私は タスマニア ブリスベン メルボルン
    というところに いったが、一番多くいったのが 
    西オーストラリアのパース周辺だった。
    私の場合は いわゆるプラントハンターとしていったのであるが、
    見る植物の多くが奇妙なので感激していた。

    この本の新婚旅行の目的は
    イルカと ゆっくりと戯れることだった。
    なにか 読みながら 身体がリラックスして
    こんな生き方もあったんだ。
    という風に思わせるところが 意外な本である。

    オーストラリアはひろい。
    南極に近いほうのバンバリーから
    赤道に近い ダーウィンまで 
    900ドルのクルマで 駆け抜けるのである。
    走行した距離が 7000キロ。

    そして 用のなくなったクルマを 1500ドルで売って
    小商い まで行うのである。

    途中 オーストラリアないにある独立国である 
    ハットリバー公国の プリンスに会ったり
    バッタの大群にぶつかったり、
    サイクロンにであったりする。

    ロードムービーのような軽快なタッチで
    文字がつむがれていく、
    そして ダーウィンから
    東ティモール の独立記念日をみて、
    最後は クジラ捕りの村 ラマレラ で
    たくさんのイルかを見て おわる。

    イルカで始まり イルカ でおわる。
    遊牧夫婦の飼っているのは イルカ だった
    世界の海を 自分のもののようにして、

    著者は 確実に ライターとして成長していく
    姿もその中にある。
    読みやすくて たのしい 本である。

    雲南にもいたというから その旅行記はないのだろうか?

  • 彼らの「遊牧」を見ていると、自由であり、旅とは楽しむべきものであって、制約されるべきものではないことを再確認させられた。
    普段の生活に追われて閉塞感を感じている人はぜひ読んでほしい。
    文章は飾らずに軽快感があり読みやすく、とても心地よい。

  • 結婚後に世界一周の旅に出た夫婦の旅行記。
    私も世界一周したいなと読んでて羨ましくなる。
    この本では、オーストラリア→東ティモール→インドネシアまでの旅の最初の1年の軌跡が書かれています。
    私もイルカが好きだからバンバリーでのイルカボランティアは興味あるな。
    面白い文章を書きたいという思いは伝わったけど、ちょっと無理している印象を受けてしまうのが残念。
    でも全体的に読みやすくて続編も読みたくなります。

  • 飾らない文章で、読みやすかった。
    著者も自身をストーカーと呼んでいますが、あそこまでやれるってスゴイですよね!!結果、夫婦におさまってるし。
    中国編も読みたいです。

  • 結婚してすぐに夫婦で旅へ。

    一番強く感じた事は、"等身大"。著者が飾らずに、自分の旅や思いを語ってくれている。
    生きてきた時代背景がほとんど自分と同じで、30前っていう年齢も自分と同じ。とても共感しやすかった。

    イルカのボランティアも、オーストラリアの中の独立国も、オーストラリアをバンで縦断する事も、東ティモールも、バリのイルカ漁も、途中に出てくる旅で出逢った人達の話も、すべて知らない事ばかりで、わくわくしながら読んだ。


    5年の旅の1年だけなので、続きも知りたい。

    おもしろい本なのだが、非常に残念だった事が一つ。

    「---でった。が、----」という型の文を多用しすぎていて、とても鬱陶しく感じた。僕は、正しい日本語はこうあるべきである、なんていうつもりはない。話し言葉で書かれている文章も読みやすくて良いと思う。 ただ、この文章にはイライラした。1ページに2回くらいこの型が出てくる時もあった気がする。「が,--」で始まる文が次の段落の頭に来ていると、さらに鬱陶しい。これが多用されている事に気がついてからは、何だかそっちに気がいってしまった。

    そのためか、本を読んでいる、というよりは、友達のブログをささっと読んでいる、くらいの感じになってしまった。

  • オーストラリア旅行時に、ガイドブックじゃなくて紀行文が読みたくて発見。実際、行き先とは全然違うところのことが書かれてたので、旅行後に読みました笑

    旅行では、なかなか行かないマイナーな場所、国のことが書かれてて、次の自分の旅行プランの参考になりました!

    バンバリーはいってみたい!

  • つまらない

  • モラトリアム期間を、自ら踏み出して延長してみちゃいました!な旅のエッセイ。

    なかなかできないだろう試みと実践と体験は興味深いけど、文章との相性が悪かったため感慨は浅め…残念…

  • ちょっと辛口です;


    日記のよう。
    「深夜特急」を読んで物書きとして生きていきたい、ルポタージュを書きたいと思ったわりには無駄な描写が多い!

    ex)○○は「(映画名)」に出てくる△△のようだ男だった。
    とはいっても、もちろん△△のように~~のようなことはしない。

    などなど、読者にその例えが通じないかもしれないということはおかまいなしな印象。
    いやいや、その映画観たことないし。
    そしてその人物が深く物語に関わるのかと言うとそうでもない。
    5年間の旅を1冊で1年分しか書いていないというのも、こういった必要か?という部分が多いからではないでしょうか。
    後半には自身のライター活動への励みとなった、友人のメジャーデビューの件が書かれていますが、これも友人が誰か明かしてまで書くことかな?
    友達に有名人がいるんだぜ自慢に感じてしまいました・・・

    石田ゆうすけさんの「行かずに死ねるか!」のようにドラマチックな旅描写を求めている人、「深夜特急」のような自分が旅に出ているような細やかな描写を求めている人には合わないと思います。
    時間軸もあっちこっちするし。
    でも、上記2冊にはあまりない、世界情勢や歴史などが本作には書かれているのでその点は勉強になりました。
    2巻を読むかは微妙なところです…

    2012/10/08-09

  • オーストラリアからインドネシアまで若い夫婦の貧乏旅行記。
    世界は広い、広い世界を見てやろうって出かけていく。そこに待っているのは異文化、日本と異なった環境・・。
    他人の足跡記録なのにとても面白かった。何でも出来そうな時代なのに、やはり百聞は一見にしかず・・でもあり、しかし部分しか見えない(感じられない、受けとめられない)けれど、でも一端は自分たちの血肉になっているんだ。元気をもらったよ。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院修了後、旅をしながら文章を書いていこうと決意し、2003年に妻とともに日本をたつ。オーストラリアでのイルカ・ボランティアに始まり、東南アジア縦断(2004)、中国雲南省で中国語の勉強(2005)、上海で腰をすえたライター活動(2006-2007)、その後ユーラシア大陸を横断して、ヨーロッパ、アフリカへ。2008年秋に帰国し、現在京都在住。著書に『旅に出よう』(岩波ジュニア新書)がある。

「2010年 『遊牧夫婦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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