よいひかり

著者 :
  • ナナロク社
4.24
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本棚登録 : 125
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904292693

作品紹介・あらすじ

デビュー作で中原中也賞を受賞。萩原朔太郎賞を史上最年少受賞。詩人・三角みづ紀、待望の第7詩集。詩人と旅と生活。

感想・レビュー・書評

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  • 衝撃を受けた第一作目の詩集に出会ってから、十年以上が過ぎてしまった。久々に手に取った三角さんの詩集は既に七作目!柔らかく瑞々しく、時々切なく心を刺してくる言葉たち。ベルリンでの1ヶ月の滞在で書かれた詩は、その情景が、心模様が鮮やかに目に浮かぶよう。あっさり読み終えてしまうのが勿体なくて、ゆっくりじっくり言葉を噛み締めた。
    澄んだ空気を吸い込み、おいしい水をごくごく飲んで…体の中がきれいになったような、細胞が生まれ変わったような気持ちになれた。
    今更ながら、一作目を読んでからしばらくブランクを置いてしまったのが悔やまれる。今からでも、他の詩集も読んでいきたいな。

  • 詩の中の場の空気に、ページに触れている指先が浸るのを感じるような詩集。
    難解な言葉遣いはなく、するすると読める。
    細部まで描き込まれた詩で、私はもっと余白の多い詩が好みなのだけど、まさにそこは好みの問題なので、この丁寧さが好き、という方も多いだろう。
    四元康祐さんの登場が嬉しかった。

  • ブックショップトラベラーで購入した詩集。
    ベルリンを舞台に(著者ご本人が1か月の滞在期間に書かれたものだそう)好きな人と暮らし、その生活が終わる短い季節を切り取った作品。

    大好きな人がいる家から見る窓辺のキラキラする感じも、出ていく時の重い空の色も、みずみずしく描かれるというのはこういうことを言うんだろうなと思うような、すっと昔に私の中にあった気持ちに捕まってしまうようなそんな作品。
    とても好き。

  • 良い悪いではなく、ただ、表紙の雰囲気と、詩の印象が、ちょっと違って感じました。
    好みの問題だと思いますが、あまり残らなかったかなぁ。

  • 誰かがいる という日常が 何て輝いていることだろう
    当たり前が 日常が こんなにも危ういというのに その感謝と 尊さと 祈りと

    どれだけ言葉にしても 埋められない
    悲しみと 喜びと

    何気ないその日常と 変化と 不変と その可能性と 普遍と

    どこかではない どこにでもある風景
    ここにある そこにしかない景色

    日常というだけで ありとあらゆるものに囲まれている
    溢れるほどの事実に埋もれて 息をしている

    その中で手にした たったひとつの物で たった一つの出来事で
    その出会いで こんなにも 揺れてしまう

    胸の高鳴り 聞こえない雲の呼吸
    うるさいくらいの鼓動 恐いくらいの静けさ

    どうしよう
    どうすればいいだろう
    何をしたいだろう

    針が 示すような 歩みと 行き先だけが 月明りのように 揺れている

    それしかない
    それだけでいい
    それでもいい

    こんな 日常という 時間を塗り重ねていく

    昨日と今日と 明日を 波のように 行ったり来たりして

    その物語の 続きのように 繰り返すように
    変わったものが 目に留まるのか 手から溢れるのか

    テーブルに置いた 何気ないものが そっと 語りかけている

  • ささやかで、あたたかい。やさしい語り口だなあと思いました。あっけなく読み終わってしまったのですが、それがまたよかったです。

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著者プロフィール

北海道札幌市在住。一九八一年鹿児島生まれ。大学在学中に現代詩手帖賞、第一詩集で中原中也賞を受賞。第二詩集で南日本文学賞を受賞。執筆の他、朗読活動も精力的に行い、多くの国際詩祭に招聘される。一カ月の間、欧州を旅して執筆した第五詩集『隣人のいない部屋』で萩原朔太郎賞を受賞。代表詩篇は翻訳されアメリカ、メキシコ、フランスをはじめ他国でも紹介されている。二〇二〇年に第八詩集『どこにでもあるケーキ』をナナロク社より刊行。

「2022年 『空気の日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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