全固体電池の入門書 -次世代リチウムイオン電池- (エンジニア入門シリーズ83)

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  • 科学情報出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904774878

作品紹介・あらすじ

地球温暖化により異常気象の問題が顕在化している中で、二酸化炭素の発生を削減することが急務となっている。二酸化炭素の削減には化石燃料から自然エネルギー (再生可能エネルギー) への転換が必要である。
また、内燃機関を用いた移動体に関しても電動化する必要がある。もちろんこの場合にも電気エネルギーは再生可能エネルギーでなければならない。すなわち、新しいエネルギー社会を構築することが求められる。未来のエネルギー社会を構築するためには高いエネルギー変換効率で電気エネルギーを貯蔵するエネルギーデバイスが必要である。蓄電池はこの目的に適合するエネルギーデバイスの一つである。蓄電池を用いて自然エネルギーを安定化することでより多くの自然エネルギーを導入できる。蓄電池を用いてモーター駆動で自動車を走行させれば二酸化炭素の排出はゼロになる。蓄電池は今後のエネルギー社会を考える上でキーテクノロジーとなっている。現在使用されている電池の中でこの目的に応用可能な電池はリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池のエネ
ルギー密度は従来の蓄電池の数倍あり、自然エネルギーの安定化用の定置用蓄電池や電気自動車用の蓄電池に適している。
しかし、リチウムイオン電池もいくつかの問題を抱えている。その一つはエネルギー密度である。より高いエネルギー密度を有する蓄電池が今後のエネルギー社会には求めらる。蓄電池の安全性や寿命も重要な課題である。高いエネルギー密度、絶対的な安全性、超長寿命などの特性を可能とする電池として全固体電池が考えられている。電解質を固体にすることで、これまで使用できなかったリチウム金属負極などの高容量材料を使用できるようになる。固体であるため電池が何らかの原因で高温になったとしても発火することはない。固体は液体に比べて安定な材料系であり電池の長寿命化に貢献する。全固体電池はリチウムイオン電池の欠点をすべて解決できる電池系である。しかし、電池をすべて固体で作製するには、新しい電解質材料や電池の正極や負極を作製するための新しい技術が必要である。一方、リチウムイオン電池の場合には液体電解質を使用するためこのような問題はない。
本書では、革新電池の一つである全固体電池の意義について述べる。そして、全固体電池を作製するための方法、プロセス技術について解説する。ここで、取り扱う電解質系は硫化物系の固体電解質と酸化物系の固体電解質である。また、現実的なセル設計を考えたセラミックと高分子のコンポジットタイプの電解質についても述べる。これまでの研究で達成できている材料開発や電池の作製方法、今後解決するべき問題点などを中心に解説する。

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