- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784904816035
感想・レビュー・書評
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センター試験の出題で、初めて上林暁を知りました。試験中、あまりに優しい心情と背景の描写に泣きそうになったので、これはちゃんと読みたいなと思い、翌日にこの本を購入しました。(上林さんの本はなかなか手に入りづらいですね)
忙しい時期の話でも、寂しい時期の話でも、上林さんの繊細な心がちゃんと日々の生活を丁寧に感じている感じがして、それは優しさであり強さだなと思いました。
「聖ヨハネ病院にて」も読みたくて探しているのですが図書館や本屋にないので、今は「ツェッペリン飛行船と黙想録」を図書館で借りて読んでいます。 -
日常を描いた私小説。読んでいてとても心地の良い、温かさを感じた。作者は本当に人が好きなんだろうなという印象。人に興味を持ち、交流するシーン、そのやりとりがとても微笑ましくて好き。なので『和日庵』『諷詠詩人』『星を撒いた街』が心に残る。そして情景を描く表現がとても美しい。また読み直したい。
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装丁がすごく素敵な本。
上林暁、実はこの本を読むまでは詳しく知らなかった方でした。
淡々とした文章の中に感情の機微が見え隠れする素敵な文章を書く方でした。
特に心に残ったのは「病める魂」と「晩春日記」。
妻を想い、さまざまな思いを巡らす流れがすごく沁みました。 -
作者の周囲に暮らし、あるいは通り過ぎていった、とうの昔にこの世を去っている人々の街での暮らしぶりが、夜空の星々を慈しむような文体で描かれています。
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ガケ書房の平積みから手にとった一冊。
私小説というジャンルの本はあまり好きではないと思っていたけれど、この人の私小説はとてもよい。「私」小説だけに、作家との相性が肝になるということか(つまり、誰にでもおススメしようとは思わない)。書く人の息づかいや暮らしの色合いが目に映る文章に、肌のぬくもりのようなものを感じるここちよい読書でした。 -
夏葉社の本。
これもまた、美しい。
佇まいが静か。
「上林暁」など、名前は知ってても(ふりがな無しで読めますか?)入手し難いもののひとつだった。
今般出版されたこれが、星が撒かれるように散らばって、そして「30年後」、それぞれしかるべき人の手の中にあることを思う。
きっとそのはずだ、と信じることができる。 -
表題作の他に「花の精」・「和日庵」・「青春自画像」・「病める魂」・「晩春日記」・「諷詠詩人」を収録。
いずれも妻の闘病・己や周囲の生活苦・文学界における交遊を素材とした私小説。劇的なエンターテイメント要素や社会に訴えるテーマといった“華”は無いが、ずっと読んでいたい、終わってほしくないと思わせる何かを湛えている。ささやかだが、夢中にさせ感嘆させる美しさ、とでも言うべきものか。
上林曉という作家だけでなく撰者の山本善行さんや、素敵な装釘で世に送り出してくれた夏葉社さんまでも一気に好きになった。純粋に小説を読みたい、文学を味わいたいという願望が形になった一冊。 -
久々に私小説を読みました。文章が本当に美しい。
上林さん初めて読んだのですが、読みやすくてすらすら進むんですけど表現の美しさに立ち止まることも多くて、独特の空気感がありますよね。
タイトルにもなっている「星を撒いた街」の、時間とともに表情を変える富士山の描写がとても好きです。風景をこんなふうに切り取って文章にできるんだ、って、美しさにびっくりしてしまった。
他の本も読みたくなってしまったので、手に取れそうなものから読んでいきたいなと思います。