- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784905130031
感想・レビュー・書評
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リハビリテーション医療の第一人者である大田仁史医師による書。
リハビリテーション入門
とあるとおり、リハビリテーションに関わる思想から制度、現実までを幅広く総論的に解説してある。
そして、単なる解説本ではなくて、ご本人の経験と様々なエピソードを踏まえ、リハビリテーションの思想がおおく詰め込まれている。
総論として扱っているため内容の薄い部分があることは否めないが、
リハビリテーション専門書職種の人間にとって、やはり、自身の言葉・体験で「リハビリテーション」を語ることができることは大切だと思う。
時折引用される、箴言や著名人の言葉、そして著者自身の体験が、いまここにある
『地域リハビリ』を「地域におけるリハビリ活動」という狭義的なものとしてとらえず、その本質は「地域が障害者を抱えて疲弊することなく、力強く、すなわち誰をも包み込んで(inclusive)いけるように変わっていていくこと」とされている。そして、こう結んでおられる。『復興は復旧ではないのである。変わっていくことなのである。』
※各章末に註釈が載せられていて、本文で使用されている用語が紹介程度ではなく、詳細に述べられているのはありがたい。
【第1章 リハビリテーション】
第1章ではリハビリテーションとは何かと言うことについて語られている。
一般的な、運動や機能回復と言った意味合いで用いられる「リハビリ」としてではなく、理念としてのリハビリテーションについての解説が歴史的、そして思想的になされている。
【第2章 山手線の外回り、内回り】
第2章では医療機関とリハビリテーションの関わりについて、その視座・視野の広げ方を語られている。
【第3章 ほんとうのリハビリは退院してから始まる】
第3章はリハビリを受ける人の立場からの、その心情の理解
【第4章 川上から考えられたリハビリテーション医療の流れ】
第4章は医療の流れの中にあるリハビリテーションを、診療報酬体制上分割された、病気区分や、施設、そして、ご自身の提唱されている「終末期リハビリテーション」「介護期リハビリテーション」の解説とともになされている。ことさらに、あるべき姿、理想像が語られている。
【第5章 係る専門職と連携の課題】
第5章は総論的になっているものの、リハビリテーションに関わる各専門家と、そのチームの組み方、連携のあるべき姿が語られている。「Transdisciplinary-Team」「Interdisciplinary-Team」「Multidisciplinary-Team」については、もう少し頁を費やしてもらいたいとも思った。
【第6章 一生続く障害】
第6章は制度と、その中で展開される(せざるを得ない)リハビリテーションについての話。
【第7章 地域リハビリテーション】
第7章は、社会から変えていく必要のある事柄についての解説を実際にあった地域であった事例から紹介されている。また、それから「地域リハビリテーション」の定義とその話が展開されている。『なぜ、リハビリ関係者は病院外の仕事をするのか』は必見で、プロボノ(自分の専門的な仕事を、太の場所でボランティアとして生かす活動)のすすめが語られている。
【終 章 東日本大震災と日本のリハビリテーション】
終章は、これから予想しうる人口動態、つまり団塊の変動にたいして、必要な制度と心構えが語られている。詳細をみるコメント0件をすべて表示