シン・フォーメーション論 (footballista)

著者 :
  • ソル・メディア
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905349587

作品紹介・あらすじ

“数字の羅列"の先にある深渕
現代サッカーに適応した新しいフォーメーション論


吉田達磨(シンガポール代表監督)
五百蔵容(サッカー分析家/シナリオライター)

感想・レビュー・書評

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  • サッカーをフォーメーションを切り口にして読み解く。
    ベースとなる配置から、ミクロに調整される動的な展開までを階層別に捉える見方が面白い。
    2章の配置論の基礎では、現在頻繁に用いられるフォーメーションに何故行き着いているかを、サッカーというゲームのメカニズムから解説したところも、上手く言語化されていて分かりやすかった。

  • そもそもサッカーとはどういう競技か、フォーメーションは何のためにあるのか、各フォーメーションの解説などが書かれているが、内容が結構難しかった。
    複数回読み込むと完全に理解できるかなという感覚。
    ただ、一回読んだだけでも最近のサッカーのフォーメーションのトレンドについて大枠は分かるので、よりサッカーを楽しく見れるのは間違いない。
    自分の好きなクラブが、なぜこのフォーメーションを採用していて、なぜこの選手を使うのか。
    そういったことを考えるようになると思う。

  • サッカーが将棋やポーカーその他と同じくゲームであると著者は喝破する。すなわち前提条件とルールの下で勝利を追求するものだ、ということのようだが、著者にはこだわりがあってゲームとは何であるかについては保留しつつ。五百蔵さんに言わせるととナポレオンの戦術、いつでも集中運用できる範囲に半自律的な戦力を分散配置して云々となる。
    サッカーに引き戻せば、これが所謂システム、442とか443とか、とその運用であって、現代サッカーでは初期配置のベースシステムが攻撃時守備時で可変するのが当然で、だからシステムには初期配置以上の意味はない。にもかかわらず、可変するための基礎構造としての重要性は大きい。
    ネットワーク理論もしくはグラフ理論でシステムを見ていくと、4141と433の構造的なもしくは動学的な違いが見えて来るあたりは大変興味深い。計測ツールやデータ蓄積が不足して予備的な解析しかできないと著者は言うが、既に大いに説得力ある理論の片鱗を見た気がする。一点だけ、データ収集にGPSを選手につける必要がある点は、多方向から動画を撮って画像解析するほうが良いのではないか。
    グアルディオラやトゥヘルのサッカーがわかるようになる(かもしれない)名著である。

  • いつ 誰が どこで どこを向いて ボールを受けるか(または受け刺さないか)

    戦術のみならず、さまざまな角度からフットボールの本質を語る良著。

  • 学術論文を読んでいるかのような理論化されたフォーメーション論が解説されている。他のスポーツと比べ自由度が高いサッカーでは、事象の定義づけが大事なのだと思った。

    本書では、まずはじめにゲームとは何か?というイントロから始まる。戦力数や陣地取りといったサッカーと共通した要素を持つゲームとしてチェスなどが挙げられているが、これらとの最大の違いは個々の戦力が異なるところである。そのため同じようなフォーメーションでも、各々のプレーヤーのタスクが変わるため、羅列として捉えるだけでは本質を見抜くことはできない。ただし数字としての羅列に必ずしも意味がないのではなく、動的配置構造を読み解く上で場面ごとに何を意味しているのか理解する必要もある。4・5章ではポジション/フォーメーションごとにその構造が説明されいてすごくわかりやすい。

    個人的にはアンカーがいるかどうか、また枚数は何枚いるのかによって噛み合わせの良い/悪いシステムが出てくるのは興味深い点だった。この点は今後注目していみたいところ。

  • この年齢でここまでわかりやすく
    「サッカーというゲーム」
    の構造について伝えられること、自分の頭の中で整理できていることが本当にすごいと思った。
    ただ単純に今のサッカーの戦術的なトレンドの解説だけでなく、これまでのサッカーの歴史を踏まえた上でというのがさらに深みを増している。
    すごい。

  • 「フォーメーションはただの数字の羅列」
    最近よく聞かれる言葉だけど、著書の言う「そうだけど、そうじゃない」というのが凄くしっくり来た。それが全てではないが、スタート地点としての意味はあるというか。
    1、2章の「ゲームとしてのサッカー」の基礎と、3章のネットワーク構造(繋がり)が面白すぎた。これまでサッカーをそういう視点で見たことがなかったから。
    まだまだ難しくて全部を理解できた訳じゃないし、こういう本を読むたびに「こうやってサッカー観れたら楽しいだろうな」と毎回思うけど実現できてないから、少しずつ理解を深めたい。
    それにしても奥深くて難解な書き方。これが東大か、、笑

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著者プロフィール

山口 遼 / Ryo Yamaguchi
1995年11月23日、茨城県つくば市出身。鹿島アントラーズつくばJY、鹿島アントラーズユースを経て、東京大学ア式蹴球部へ。2018年シーズンから指導者へ転身し、同部ヘッドコーチに就任。2020年シーズンからは同部監督に昇格し、同時に関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドのコーチを兼任する。戦術的ピリオダイゼーションを実践した指導法で注目を集める。

「2020年 『「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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