東京湾諸島

著者 :
  • 駒草出版
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本棚登録 : 87
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905447726

作品紹介・あらすじ

物流島、発電基地、海上要塞、ごみ埋立地……増殖する人工島群「東京湾諸島」。
そこには東京の栄光と負の歴史が埋め込まれている。
膨張する首都を支える島々の“知られざる内部”へ。

「東京湾諸島」……地図上に正式にこの名称はありませんが、次々に造成されていく人工島は東京湾の岸辺を埋め、湾内全体を狭くするほどの島の集合、諸島となっています。その数はゆうに70島を超えます。しかし、それらの島は何のために造成され、内部はどうなっているのかほとんど知られていないのが実情です。
一企業が占有する島、米軍が占有する島、24時間眠らない島、都心の下水を引き受ける島、人工島に湧く天然温泉、立入厳禁の海上要塞、人工島に祀られた神々……。
著者の加藤庸二氏は『マツコの知らない世界』にも登場した“島のスペシャリスト”。
「なぜこんな人工島が?」という疑問を解き明かし、ひいては東京という都市の不思議さ、面白さ、深遠性を「人工島」という観点から描きます。

感想・レビュー・書評

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  • 徳川家康が江戸城の場所に来たばかりの
    頃は、現在の日比谷あたりは海であり、
    入り江だったことはよく知られています。

    それから400年余りの間、東京の海は埋
    め立てられ、人工的に作られた島は現在
    なんと70くらいあるそうです。

    公園やキャンプ場になっていて、誰でも
    訪れることができる島もあれば、企業が
    管理をしていて、工場や発電、さらには
    物流に特化した島もあり、その内部を一
    般の人が伺い知ることができない島もあ
    ります。

    そんな知られざる魅力に溢れた「東京の
    島々」をめぐる一冊です。

  • 江戸時代から始まる埋立地の歴史。灌漑、水路、漁場、国防、工場、ゴミ捨て場、高度成長、公害…。
    それぞれの土地の成り立ちが様々な切り口で語られる。
    島と意識することがあまりない東京湾の島々を自転車で巡りたくなった。

  • ☆江戸時から続く人工島造成
    (著書)日本百名島の旅 けあし、原色日本島図鑑 し、50歳からはじめるハイキングの教科書 あしろ、絶対行きたい! 日本の島旅 あしろ、原色 ニッポン《南の島》大図鑑 けあしろ、原色 日本島図鑑 済、滝と水のある風景の撮り方 けあ、「島」へ。―日本を縁取る別天地 け、日本の島 (ポケット図鑑シリーズ) し、

  • 日本の島を写真と文章で著す「島スペシャリスト」の著者による、公式には「島」にカウントされない東京湾に浮かぶ人工の島々を様々な切り口から紹介する一冊。徳川が江戸を拠点に据えたときから始まる埋め立ての歴史、明治から昭和、平成と時代を経て変わっていく島々を、時代や場所を行ったり来たりしながら紹介していく。時にノスタルジックだったり、時にサイエンスティックだったり。間に挟まれる写真も美しい。

  • (後で書きます。バランスが取れていて面白い)

  • 東京湾には自然の島ではない、埋め立てられた人工島が70強もあるという。本書はそんな東京湾の人工島をテーマにしたルポ。
    家康が移住したしたときには湿地帯であった江戸。城下町の整備から始まり、明治以降の工業用地・港湾整備、現代のごみ処理まで、島々を巡る物語は様々。地形や土地の歴史について、東京に住んでいても全く知らない、気が付かないことの連続だった。
    地図や写真が豊富なのも素晴らしい。

  • 【Entertainment】東京湾諸島/加藤庸二/20161202/(159/585) <255/63970>
    ◆きっかけ
    ・日経広告

    ◆感想
    ・まさか夢の島に空港計画があったとは。。。そして、海水浴場があって、3年で終わりになり、その名前が地名になったとは。
    ・江戸時代の土木技師の砂村某が開発したのが、江東区南砂周辺。村の規模が大きくなって、砂町になり、そこから派生して、南砂、北砂、新砂等々になったとは。。。

    ◆引用
    ・なし

    ===qte===
    東京湾諸島 加藤庸二著 多様な顔持つ人工島を歩く
    2016/10/30付日本経済新聞 朝刊

     月島、お台場など東京湾に浮かぶ人工島は70超もあるという。この数を知って仰天したのが写真家の著者。19歳から島巡りを続け、日本の島については熟知していると思い込んでいたから、興味津々で調査を開始。片っ端から湾内の「島」を歩き、造成の経緯や今につながる歴史の痕跡をつぶさに調べ上げてゆく。







     徳川家康が江戸に幕府を開いたころ、海沿いはヨシの茂る遠浅の湿地帯だった。幕府は氾濫を起こす利根川の流れを変え、田を開き水路を張り巡らす。「東京とは人間の意思によって生まれ形成され、彼らの排出するごみによって増殖した都市なのだ」と著者は記す。ごみや土砂などの不要物が海に次々と移された。


     結果、生まれた人工島は様々に活用される。貿易埠頭、車両基地など多くの顔を持つ「埠頭の優等生」大井埠頭、エネルギー基地からタワーマンションまで変幻自在にその姿を変えてきた豊洲、下水処理を担う昭和島……と、その奥深さに圧倒される。一方で、ひっそりと残る神社やほこら。生活の安寧を願う人々のひそやかな祈りの痕跡が、人工の島にも確かにあることを著者は見逃さない。


     さらに面白いのは、本書を読み進めるうち、湾岸方面から東京を見る視点が得られることだ。豊富な写真や図版も理解を助けてくれる。(駒草出版・1800円)
    ===unqte===

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著者プロフィール

写真家、フォトエッセイスト。
日本の人の住む島々を45年間歩き、写真と文章で著す“島スペシャリスト"。
愛知県出生で東京育ち。

「2016年 『東京湾諸島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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