地獄から来た青年

著者 : アルカージィ・ストルガツキィ ボリス・ストルガツキィ 深見弾

• 群像社 (1994年11月1日発売)

感想・レビュー・書評

[diver0620さんの感想 · 2014年3月2日]

冬はやっぱりロシアSF！この寒々しく煤けた感じ最高です。ロシアSF翻訳者で名高い深見弾氏の遺作となってしまった作品。

ストルガツキイ兄弟には珍しく暴力的なシーンの多い作品。戦争状態が続く地獄のギガンダ星で負傷しつれてこられた天国のように平和な地球。でも主人公は過酷な故郷に帰りたがる。

生きているということはどういうことなのか、考えさせられてしまうこの作品。地獄のような環境でも明確な目標があるほうがいいのか、争いのない平和な国でボーっとしているのが生きているということなのか？

明確な目標があって命令されるがままに行動するけれども自分の頭では考える必要のない世界、平和であれこれ考えるけれどもまったく自由にならない世界。どちらも地獄のようです。