ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョン、 そしてぼく (ele-king books)
- Pヴァイン (2015年9月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784907276409
感想・レビュー・書評
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ニュー・オーダーのフロントマン、バーナード・サムナーの自叙伝。
夜毎パーティで飲んだくれた挙げ句、
二日酔いに苦しみ、トイレで吐きまくって云々……といった、
若気の至りのバカさ加減も微笑ましく思えるくらい、
真面目で一生懸命で、周囲の人たちやファンにも気を遣って、
音楽と誠実に向き合い続けてきた好人物だと確認できて、
とても嬉しくなった。
自己表現の手段として音楽を選び、
イアン・カーティスなる稀有な才能を取り込んで人気を博したものの、
イアンは主に自身の病を苦にして自殺、
残されたメンバーは演奏技術が今イチであるのを逆手に取って(!)
エレクトロニック・ミュージックにシフトし、世界的な成功を収めたが、
その後も決して愉快な出来事ばかりではなかった――という、
バンド活動の歴史が、忌憚なく本音を交えつつ、
冷静に、客観的に綴られている。
p.155(CHAPTER 10)イアンの早過ぎる死を踏まえての感懐、
> 大抵の場合、感情的な成熟は身体的成熟とは足並みが揃わない。
> 二十代はとくに難しい時期だ。
> 感情的にはタフではなく、まだかなり脆く傷つきやすいのに、
> 人との関係で感情的な嵐に巻き込まれることが多い。
> 人生で次々投げつけられるくそに対処する用意が
> まだできていないのだ。
> 二十代を無事に越えられれば、
> ほぼ何にでも対処できるようになるんじゃないだろうか。
などは、時に苦汁を舐めながらも悲観し過ぎず前進してきた
人生の先輩からの温かいメッセージとして読み取れる。
もし、私が今、中学生または高校生だったら、
この本で夏休みの読書感想文を書いたに違いない、なんちゃって(笑)。
かつてクルト・ワイルは
「この世にはいい音楽と悪い音楽しかないのだ」と言ったそうだが、
私がニュー・オーダーを好んで聴くのは、
彼らの作品が私にとって紛れもなく「いい音楽」だからだ。
メロディの美しさと、バーナードの――
歌い手としては下手な部類に違いないが(苦笑)――
彼以外には有り得ない「声」のよさ故である。
楽器が巧く弾けなくてもコンピュータを使えば演奏は可能で、
他でもない彼ら自身がそれを証してきたわけだが、
何を表現したいのか、どんな旋律に乗せて、
どういう声質を披露するのか……で、良し悪しを判断できるだろう。
今、世の中には、テクニックはあっても
中身が空っぽの「悪い音楽」が溢れ返っている気がする。
そんなワケで、私は今夜もニュー・オーダー、
そして、ジョイ・ディヴィジョン(更にはエレクトロニック)を
しみじみ堪能するのであった。 -
New Orderとの出会いは17歳のとき、近所のCDショップの視聴機で当時出たばかりの新譜「Get Ready」を聞いたのがきっかけだった。1曲目の「Crystal」の煌びやかなシンセの音が聞こえた瞬間のワクワクは未だに覚えている。
それからJoy Divisionも含めた過去作品を聴くようになり、New Orderは僕にとって極めて特別なバンドの一つとなる。そんなNew Orderのフロントマンであるバーナード・サムナーが自伝的に自身の半生、そしてJoy Division~New Orderにまつわる歴史を語る一冊。
かなり壮絶な幼年期の家庭環境、ピーター・フックとの出会いとバンド活動の開始、イアン・カーティスをボーカルに据えたJoy Divisionの活動と彼の自殺、恐る恐る自身がボーカルで活動を始めたNew Orderの歴史、出生地
であるマンチェスターでのトニー・ウィルソンやピーター・サヴィルとの活動、そしてピーター・フックとの決別まで、Joy Division~New Orderファン必読。
名シーンは幾つもあるけれど、やはりイアン・カーティスの自殺を知ったときの描写は本当に刺さってくる。
ピーター・フックがもうNew Orderに戻ってくることはないかもしれないけど、ジリアン・ギルバートも戻ってきた新制5人体制となったNew Orderの末永い活躍をファンとして祈りたい。 -
気づいたら和訳が出ていた。予約しておき、届いた。
優しく静かに淡々と書かれている一冊。いい本だったよ。バーニー。その筋のみんなは、みんな読みましょう。 -
ジョイ・ディヴィジョン~ニュー・オーダーのメンバー、バーナード・サムナーが書いた自伝。
けっこう重めの生い立ち~幼少期について書かれたりもして、人間バーナード・サムナーの生き様が克明に記されている。障害を持っていた母親に虐待されてたりとか、けっこう重いです。
学校の先生が言ったありえないようなヒドイ言葉など、誰もが持ってるであろう幼き日々の心の傷についても描写なんかもある。
文章を読んでみると、彼の内省的な人柄が感じられます。読書も好きなようで、読みやすくてユーモアのある文章です。
ジョイ・ディヴィジョンでの活動の様子や、イアン・カーティスについても部分は勿論興味深いし、作曲方法やレコーディングの様子などは、ロック好きとしてはとても楽しめた。
イアン・カーティスが21歳で自ら命を絶った後、バンド名を変え、クラフトワーク的な音を取り入れて成功に導いたのもバーニーのようです。
ジョニー・マーとの活動や彼の人柄についての描写もすごく面白くて、ジョニー・マーがさらに好きになりました。彼は饒舌で、四六時中音楽のついて語ってる人らしいです。ジョニー・マーは、真の天才ギタリストだと思います。
ピーター・フックとの確執についても冷静に記載されていて、フッキーのイカレっぷりが痛々しい。人間関係はいつも難しいものです。
フッキーが書いた『ハシエンダ』もすごく面白いので、これと併せて読むと、ニュー・オーダーと80年代のマンチェスターの様子がなんとなくわかると思います。
80年代のUKのバンドが好きな人には是非読んで頂きたい作品です。ちなみにモリッシーの自伝も和訳してほしいです。 -
2018.2.20
バーナードって割と静かな冷静な人と思ってたけど、結構なパーティピープルですね。ピーターフックほどじゃないんだろうけど。
フッキーの書いたハシエンダや映画24hour Party Peopleも見たけど、ハシエンダのくだりとイビサでのベズの話しが大変面白い。
そしていつも思う、バンドって大変だな。 -
New orderファンなら絶対に読むべき一冊!
ここまで赤裸々にフッキーとの確執を話しているとは予想外だった。
とにかく、フッキーに対する嫌味がちくちく出てくる。
アシッド・ハウス全盛期、フッキーはエレクトロニックミュージックに興味がなく、「ハシエンダ」にも顔を出さなかったなどを余すことなく暴露。
結局、バーニー自体はNew orderのトラブルの元だったフッキーが居なくなった事でバンドに対する活力や続ける事の意義を見出したとのこと。
これからもNew orderが見られることが素直に嬉しい。 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784907276409
ニューオーダー、エレクトロニック、という私の大好きな名前をキーワードで拝見して、すみません、唐突ですがコメントさ...
ニューオーダー、エレクトロニック、という私の大好きな名前をキーワードで拝見して、すみません、唐突ですがコメントさせていただきました。
彼らの音楽は相当聴きましたが、バーナード・サムナーが自叙伝を出しているとは知りませんでした。深川夏眠さん書かれているとおり、彼らの音楽は演奏技術は今イチなんだと思いますが不思議と取り憑かれるような魅力を感じます。一週間の中で一度は何かしら聞いています。彼らの音楽をとにかく聞こうと思ってピーター・フックのプロジェクト、リヴェンジ、モナコまでは入手したんですが、フリーベース、そしてジ・アザー・トゥーは未だ手に出来ずです。彼らも60代に入って、もうアルバムも出ないのかなあと寂しい思いです。
そんなところにバーニーの自叙伝があると知れたのはとても嬉しいニュースでした。
レビューありがとうございます!
この本は恐らく、アルバム『Music Complete』と
タイミングを合わせて出...
この本は恐らく、アルバム『Music Complete』と
タイミングを合わせて出版されたのではないかと思いますが、
私は二年ぐらい遅れて購入しました。
全然熱心なファンではないですね(苦笑)。
元々 The Cure が好きで、
大昔の何かのインタビューで、好きなアーティストは?
と問われたロバート・スミスたちが
New Order とか Joy division とか答えているなぁ……
と思ったことが、
愛聴に至る取っ掛かりだったと記憶しています。
全然きちんと網羅していないので、
まったく詳しいヒトでも何でもないのですが。
ともかく、この本はバーニーと周辺の歴史が綴られていて
非常に興味深いです。
深川夏眠さん、返信いただきありがとうございました。
補足いただきさらにこの本の位置付けがよくわかりました。
色々と勢いで書いてしまっ...
深川夏眠さん、返信いただきありがとうございました。
補足いただきさらにこの本の位置付けがよくわかりました。
色々と勢いで書いてしまってすみませんでした。情報ありがとうございます!