- Amazon.co.jp ・本 (648ページ)
- / ISBN・EAN: 9784908184468
作品紹介・あらすじ
【内容紹介】
「ミス上海の死」を描いた、中国文学の記念碑的作品、待望の邦訳!
茅盾文学賞受賞
上海の街を舞台に、美しき主人公・王琦瑶(ワン・チーヤオ)の青春から死に至る四十年を描く長編小説。1940年代の虚栄の繁華、50〜60年代の困窮と苦難、そして80 年代のロマン的悲劇まで、恋多き主人公の人生を通して、上海という街の繁栄と虚栄が描かれる傑作。
【作者の言葉】
『長恨歌』は、とてもとても写実的な作品です。
その中で私は、一人の女性の運命を描きましたが、
事実上、この女性は都市の代弁者にすぎません。
私が描いたのは、実のところ、
「上海」という都市の物語なのです。
――― 王 安憶
【推薦文】
ずっと読みたかった傑作小説の邦訳がついに!
王安憶のカメラアイが弄堂(ロンタン)を、路地を、旧フランス租界のアパートをくまなく旋回し、
わたしたちは「上海の淑女」の生きた四十年の虜(とりこ)になる
――― 中島京子(小説家)
感想・レビュー・書評
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上海への愛が、"ミス上海"の恋多き40年の物語で綴られる。3部の構成は、時代と歳の重なりを巧妙に描きヒロインの心理が掴める。半ばまで読み込むと生命力が際立ち、最後のシーンで全ての観念をひっくり返したくなる面白さを得た。
1部では情景描写の緻密さに入り込めない気持ちに読むのを諦めかけては読むを繰り返した。しかし、2部になると輪郭も心理もくっきりと見えて読み耽った。ここが最も活き活きしているからだろう。3部は、褪せる色の世界で上海もヒロインも抗うように生きている。そして終幕。最初から塗り返すかのような終幕があってこそ、この物語だと感慨一入だった。
読み終えられてよかった。