- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784908407222
作品紹介・あらすじ
世界的な規模で格差と不平等が拡大し、社会の上層と下層の対立が深刻化している現代。資本主義の最終的危機か、地球規模の環境危機か。いま、無秩序と混乱が世界を支配する波乱に満ちた時代の幕が開けた。資本主義崩壊論をより深く理解する重要な書!
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/727387詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
未来を考えようシリーズ。歴史学者、社会学者による「資本主義に未来はあるか」という検証。経済学者とは異なるアプローチが興味深いし新鮮。資本主義の終焉は経済的観点の故障からではなく、「戦争」や「環境問題」という外部の制約によって終わるという考え方や、不適切な政治介入や税制の改悪による格差の固定化、「神の見えざる手」の排除が独占を助長するという指摘はとても納得。GAFAなんかまさにそれ。グローバルなマーケットでプラットフォーム化を図るという現代の成功とされる基準や価値観は、数年後には諸悪の根源と非難される可能性があると感じる。
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図書館の新着コーナーにあった本書を手に取った。
5人の社会科学者による論説である。世界的に資本主義化が進んでいるが、近い将来、特に米国やヨーロッパにおける資本主義は減速する一方、アフリカ、生活水準の向上や人口増により、コスト低減のための労働力の搾取の場がなくなり、生産の利幅が恒常的に減り、資本主義自体が今の姿を保てないという問題が生ずる。
第1世界である先進国は、これまで、グローバルゼーションと呼ばれる賃金が安く生産コストを低く抑えられる国々や地域に依存してきたが、第3世界の資本主義化等により行き場を失う。
併せて、食料危機と環境破壊への対応が求められる。資本主義の未来と謳うが、まさに人類の未来を考えなければならないと言葉を選びながら慎重に論説されている。