もうひとつのモンテレッジォの物語

  • 方丈社
3.92
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本棚登録 : 163
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908925559

作品紹介・あらすじ

1冊の本の中に2冊の本をカップリング!
写真とカラフルなイラストが満載!
著者とモンテレッジォ村の人々との心温まる交流と、村の子供たちが自分たちの村の歴史と向き合っていく姿を描き出すエッセイに、村の子供たちが作った絵本、『かごの中の本』の全訳をカップリングした1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語」を読みたいと思っていて見つけた本です。

    右扉からめくると内田洋子さんのカラー写真満載のエッセイ、128ページ。
    左扉からめくるとモンテレッジォの子供たちが描いた絵本「かごの中の本」、95ページ。

    内田洋子さんが撮ったカラー写真がきれいで人と景色が素敵ですが、子どもたちの絵も色使いのセンスが良くてとてもいい感じです。
    最初にパラパラと写真と絵だけ見てしまいましたが、それだけでもこの村の様子が伝わってきます。

    イタリア人に聞いても知らない人が多いモンテレッジォは、ほとんど何もない村だそうです。
    学校も店も病院も銀行もない。産物は野生の栗の実だけしかない。栗だけの単一植生の山に囲まれた村。
    子どもたちは「大きくなったら何になりたいですか?」と聞かれて返事につまる。
    世の中にどんな職業があるのか知らないし自分に何ができるか考えたことがない。

    週に二回村の広場に小型トラックがやってきて食料品と日用品の商店になるらしいが、残念ながら本は売っていない。
    品揃えを見れば村の暮らしがわかる。

    「かごの中の本」の途中にあるQRコードを読み取りモンテレッジォの動画を見ました。
    ほぼ山頂にある細長い街並み。何でこんな場所に街があるのだろうと思うに違いないです。

    このような街を内田洋子さんが訪ねたことで、本の行商の歴史を自分たちの手で調べ、学ぼうという課外活動が立ち上げられることとなります。
    普段なら休みの土曜日を課外授業として合計20回、モンテレッジォ村の本屋について調べたことを絵にし、つたない語彙しかない言葉を駆使して文字にまとめます。
    そして23人(2年生19人、3年生3人、4年生1人)の子供達による物語は一冊の本になりました。
    絵は全部で60枚くらいあるから、一人3枚ほどを描いたのだと思いましたが、何人かで協力してそれぞれの絵を描いていました。

    すまし顔で得意満面な表情の子供たち、力を合わせて本を作った充実感に溢れていて楽しそうです(^^♪

    • nejidonさん
      kazuさん、こんばんは(^^♪
      ああ、いいですねぇ。この本大好きです。
      内田洋子さんの情熱もすごいですが、子どもたちがなんといっても可...
      kazuさん、こんばんは(^^♪
      ああ、いいですねぇ。この本大好きです。
      内田洋子さんの情熱もすごいですが、子どもたちがなんといっても可愛い。
      これも本の力のなせる技でしょうか。
      こういう本だったらいくらでも読みたいです。
      ありがとうございます!
      2020/09/05
    • Kazuさん
      nejidonさん、こんにちは。
      前作「モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語」を読みたいと思ったきっかけは、nejidonさん(や皆さ...
      nejidonさん、こんにちは。
      前作「モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語」を読みたいと思ったきっかけは、nejidonさん(や皆さん)のレビューに引き付けられたからです。
      これは続編になりますが、十分に堪能できました。
      何より子供たちのキラキラ輝いている瞳がいいです!
      2020/09/06
  • 内田洋子には、「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」という著作がある。イタリアはトスカーナの山深いモンテレッジオの村には、昔、本の行商で身を立てる人が多かった。
    それがどんな感じかは、下記の私の想像(「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」について、ブグログに書いた感想)をご覧ください。
    【引用】
    本の目利きとして、人々に受け入れられる本を仕入れ、知らない土地に行き、その街の広場に露店を出して、本を売る。客と会話を交わすようになり、その人に合った本を見立ててあげる。夜は、貴重な商品である本を見張るためにも、広場に野宿する。
    持って行った本が、だいたい売れたら、新しい本を仕入れるために、故郷に帰る。そうやって何年も、真面目に行商を続け、ある程度のお金を貯めることができたら、これまで露店を出したことがあるなかから、お気に入りの街を選んで、広場に近い場所に書店を出す。
    それでも、旅売りが忘れられず、時々は、書店は妻と息子に任せて、自分は、行商に出かける。
    【引用終わり】

    内田洋子は「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」を書くために実際に村に取材に出かける。そこで知り合った教師と相談し、村の小学生と日本の小学生の交流を企画すると同時に、村の子どもたちに、モンテレッジォの歴史に関しての絵本を作成してもらう。本書は、その過程を描いた内田洋子のエッセイと共に、実際に子供たちが作成した絵本がカップリングされた本である。
    村の人たちのうち子どもを含めた10人が「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」の発売に合わせて、日本を訪問する。その時の様子も内田洋子のエッセイ部分に描かれており、本書の名場面の一つだと思う。
    「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」を読んだ人の方が本書を楽しめると思う。

  • 先祖代々本の行商で生計をたてていた謎の多いイタリアの村・モンテレッジォを内田さんが調べる中で出会った人々の姿を、文と写真で綴った紀行文。

    裏表紙にあたる反対側からは、モンテレッジォ地区の小学校に通う子どもたちが地区の歴史を調べて作った絵本が掲載されていて、二冊で一つの仕様となっている。

    内田さんの随筆「モンテレッジォ小さな村の旅する本屋」が日本で刊行された際、村から10人程の人々が、「本が店頭に並ぶ」のを見るためにわざわざ来日したエピソードが特に好き。
    遠い異国の本屋に、歴史の波に飲まれかけている自分達の大事な村に関する本が並ぶなんて、それほど特別なことだったのだろう。

    そして、それぐらい、内田さんは村の人と縁を結んだのだと思うと、なんだか不思議と感慨深い。
    しかも、彼らが何も知らず偶然自分達で選んだ旅の起点となるホテルのある場所が、あの日本一の本の街で。
    これには内田さんも、「さすが本の行商人の子孫」とその嗅覚にびっくり。

    「モンテレッジォ小さな村の旅する本屋」を読んでから、追加資料として読むのがおすすめ。

  • 前作「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」の関連本。
    表からは、モンテレッジォ関連の人々との交流のエッセイ。
    裏からは、現地の小学生が作ったモンテレッジォの
    歴史絵本「かごの中の本」の全訳。
    カラー画像多数。写真と子どもたちの描いた絵も。
    参考文献一覧、受賞歴一覧、協力、写真クレジット有り。
    前作が作られるまでの過程と、協力者、村の人々、そして
    学校や子どもたちとの交流をエッセイで綴っています。
    そっと背中を押してくれる人たちとの出会い。
    村の歴史を学び、絵本を作成する子どもたちの真摯な眼差し。
    やがて絵本は出版され、日本では・・・モンテレッジォの人々が
    来日して宿泊したのが、本の街神田神保町とは!
    なんという本の縁!
    そして子どもたちが作った絵本の素晴らしいこと(^^♪
    多くの笑顔が散りばめられた、画像の数々の素晴らしさにも、感嘆。

  • 以前に読んだ「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」。Yahooのノンフィクション本大賞で数年前にノミネートしていて読んだ作品。
    栗の木に囲まれたイタリアの小さな村の歴史。その昔本の行商を行い、イタリア中に本を広めていた村人たちの話。とてもよかったという感想だった本ですが、その後日談?の本を見つけたので借りて読みました。

    小さな村の旅する本屋の物語の取材でモンテレッジォを訪れていた著者が、現地と日本の交流のために始めた地元の小学生に絵本を作ってもらうというプラン。その経緯が表面からの著者のエッセイ。出来上がった絵本が裏面から読めるようになっています。子供たちの鮮やかな色に溢れた絵と頑張って調べた自分達の村の歴史が綴られています。
    偶然見つけたけれど、読めてよかった。
    モンテレッジオの様子が見られる短い動画のQRコードが付いていたので見てみました。山や自然に囲まれた小さな外国の村、石造のシンプルな教会や家が眺められてとても良かったです。

  • 「モンテレッジョ 小さな村の旅する本屋の物語」が書かれたときのもうひとつの話。子どもたちが生き生きと学ぶ様子が微笑ましい。挿絵もとても味があって魅力的で、文章は端的でユーモアもあって、子どもたちにこんな能力があるのかと驚かされた。子どもたちが自分らの出身地に誇りと自信を持ち、村の人々もあらためて魅力を再認識する。そして村のことを国内外に広く紹介する。こんな取り組みが世界のたくさんの町や村でなされるといいなと思った。

  • モンテレッジォの子供たちとの交流ドキュメントも素晴らしいし、子供たちの作った本、そしてあとがきにあたる彼らの感想にうたれた。
    自分たちの成し遂げたことを正当に評価すること、誇らしく思うこと。
    著者たちの写真はみんな額に入れて飾ってるんだろうな。

  • 『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』とセットで読むと、より味わいが深くなる。栗のニョッキ食べたい。

  • 本のモトが芽生えて育っていく過程が感じられて良かったです。本を媒介に人と人が繋がっていくところも。初めて内田さんご自身の姿も写真で見られました。

  • 昨年、モンテレッジョの物語を読んだが、今回のエッセイは前著の取材の裏側で行った現地の人達との交流をまとめたもの。前著のサイドストーリー。著者の提案による交流の一環として、現地の小学生が自分たちの地域の歴史についての絵本を作成して東京の小学校に贈る活動を行った。本の取材活動から交流の経緯まで、著者によるスナップ写真と共に紹介している。
    この本を読んで、現地との交流、美しい写真を見ていると行ってみたくなった。この子供達もいずれは、学業、仕事の都合で、他の場所に住むことになると思うけれど、たとえ小さな町であっても、いつでも暖かく迎えてくれる故郷があるのは人生の支えになると思う。
    自分自身を振り返ると、生まれ故郷はほとんど記憶にないし、その後は親の転勤で(奄美から埼玉まで)色々な場所で暮らしたので、心の故郷という場所はない。
    自分達の祖先の仕事に敬意を持ち、誇りに思える場所に住めるのは羨ましい気がする。

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