『奥の細道』の再構築

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  • 文学通信
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  • Amazon.co.jp ・本 (606ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909658623

作品紹介・あらすじ

本文批判を通して芭蕉『奥の細道』の再構築を試みる。
中尾松泉堂現蔵『おくの細道』は「書き癖から芭蕉の真蹟である」と本当にいえるのであろうか。まず「書き癖」とはあくまでも文字の外形、それはしかも「癖」である限り、容易に真似られるものである。また「夥しい推敲跡」を有すると中尾本は説明されるが、その「推敲」は他者の手になる「添削」を想定されていない。したがって、中尾本は「書き癖から芭蕉の真蹟であることが明らかにされた」などとは到底言えるものではない。
本書は、貼紙などによって添削される以前の中尾本の本文の全体を、『奥の細道』の新出の一異本として読解し、芭蕉の『奥の細道』の復元を企図するものである。

【平成八年十一月、はじめて世に紹介された、中尾松泉堂現蔵『おくの細道』は、貼紙などの添削が施された下から、従来まったく知られなかった本文が出現したところに、その画期的な意義があるであろう。わたくしはそう考えて、岩波書店から刊行された複製版(上野洋三・櫻井武次郎氏編『芭蕉自筆奥の細道』平成九年)の写真と、苦心解読された注とをたよりに、貼紙などによって添削される以前の本文の全體を、『奥の細道』の新出の一異本として読解することを試みた。すると、この異本の本文は、従来、主として、素龍清書本〔西村本〕『おくのほそ道』と曾良本〔天理本〕『おくのほそ道』とに依拠してなされてきた、この作品の本文の校訂に再考を促すもののように思われたので、その結果の一部を、ここに報告する。】

感想・レビュー・書評

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  • 井口洋「悪戦苦闘のドキュメント」●『『奥の細道』の再構築』刊行に寄せて - 文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社
    https://bungaku-report.com/blog/2021/11/post-1044.html

    井口洋『『奥の細道』の再構築』(文学通信) - 文学通信
    https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-62-3.html

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著者プロフィール

1942年、和歌山市生まれ。1965年、京都大学文学部国語学国文学専攻卒、1971年、同大学院文学研究科博士課程修了。1996年、『西鶴試論』で京都大学博士(文学)。帝塚山短期大学講師、奈良女子大学助教授、教授を経て、2006年、奈良女子大学名誉教授。2023年2月26日逝去。享年80歳。
著書に『近松世話浄瑠璃論』(和泉書院、1986年)、『近松への招待』(共著、岩波書店、1989年)『西鶴試論』(和泉書院、1991年)、『『奥の細道』の再構築』(文学通信、2021年)、編著書に『近松全集』全17巻(共編、岩波書店、1985~94年)、『新日本古典文学大系 近松浄瑠璃集 上・下』(共編、岩波書店、1995年)などがある。

「2023年 『西鶴解析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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