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- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909819086
作品紹介・あらすじ
末期がんを宣告された父は、何もせずに死を待つという道を選んだ。もう、充分生きたと言って。著者は、父親に残された時間をつぶさに記録しようと決意する。市井の片隅で生きる無名の人間のひとりとしての父の最期を見届け、その父を最後まで支えた母の生きざまをも記録することで、生きる意味とは何かを自問する。両親の生活を接写し、言葉を書きとめてまとめた、ごくプライベートな写真文集でありながら、結果的に、「死をめぐる人々のありのままの姿」を普遍的に描いた一冊となった。
感想・レビュー・書評
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緩やかに死に向かう夫と、ともに生きる妻の姿が、その息子さんの目を通して描かれています。
老夫婦の静かで穏やかな日常と、次第に近づいてくる死の存在。
老年期を過ごすということ。
夫婦のどちらかが先に逝くということ。
死が、日常の中に静かに溶け込んできて、それは分断ではなく、生の延長線上にあるものとしてそこに存在していくこと、日常から意識がどんどん拡大して、そしてある一点に還ってゆくこと。
そのことが、肌感覚で伝わってくるような言葉で描かれています。
心の柔らかな部分にふれてくる描写、それが苦しみではなく、あたたかさとして、私の心には残りました。
世の中がギスギスしているように感じる今だからこそ、多くの方に手にとっていただきたい内容でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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