奇妙なものとぞっとするもの──小説・映画・音楽、文化論集 (ele-king books)
- Pヴァイン (2022年12月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784910511313
作品紹介・あらすじ
なぜそれが「怪奇的に」見えるのか?
なぜそれが「ぞっとするもの」として認識されるのか?
彼らは何かの間違いなのか?
マーク・フィッシャー生前最後の著作、ついに邦訳刊行!
H・P・ラヴクラフトやH・G・ウェルズ、フィリップ・K・ディックのような作家、映画監督のデヴィッド・リンチ、スタンリー・キューブリック、クリストファー・ノーラン、ポスト・パンク・バンドのザ・フォール、ブライアン・イーノ、彼ら「怪奇的」で「ぞっとする」表現者たちに、私たちがいままで世界を理解するために使ってきたカテゴリーが有効ではないとしたら、では、彼らから導き出せる思想とは……
優雅な文体で紡がれる思想家マーク・フィッシャーのもう一冊の代表作、冴えわたる考察がスリリングに展開する文化エッセイ。
感想・レビュー・書評
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何にも属さないものは確かに奇妙
何かを見るときに無意識に何かに当てはめてるのも事実詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小説・映画・音楽における「奇妙なもの(the weird)」と「ぞっとするもの(the eerie)」という二つの情動を論じた本。そもそもweirdとeerieのニュアンスの違い(それ以外にもstrangeやuncannyという似たような言葉もある)がわかっていなかったので読み始めるに当たって少々面食らったのだが、それは読んでいく内にわかるようになっているので心配はいらない。奇妙なものとは何にも属していないものでありラブクラフトの小説に代表される。ぞっとするものとは行為主体の問題でありその不在であったり正体不明性の問題である。その著者の意見には納得させられる部分も多く、良い読書体験であった。ただし小説や映画の評論である以上、元ネタを多く知っていれば知っているだけさらに楽しめるのは自明の理であり、私の楽しめ度は50%くらいかもしれない。