大平正芳の中国・東アジア外交 経済から環太平洋連帯構想まで

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  • Amazon.co.jp ・本 (516ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910739502

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  •  『大平正芳とその政治 再論』は政治中心でしたが、こちらは外交編で、13名の先生方の論文集となっています。編纂はその中のお二人で、一人はいまや中国と言えばこの方、東京大学大学院・川島真教授。もう一人は外交がご専門の慶應義塾大学・井上正也教授です。

     『すべては1979年から始まった』(クリスチャン・カリル著)という本があります。1979年には、ソ連のアフガン侵攻、中東でホメイニがイラン・イスラム共和国を樹立、第二次オイルショック、鄧小平が改革開放政策を開始、英サッチャー首相就任で新自由主義が台頭、とその後に影響を及ぼした事象が相次いで発生したとあります。大平正芳の総理としての在任期間は、1978年12月から急逝する1980年6月までの554日と短いものでしたが、こうした「歴史の転換点」の渦中にありました。

    国内では政治不信の渦中にありますが、ロシアによるウクライナ侵略、イスラエル・ガザ戦争、緊迫する東アジア情勢など、内容は異なれど緊迫した外交環境は続いています。このようななか、大平時代の「中国・東アジア外交」を振り返ることで、後世から見れば「歴史の転換点」となる現在に、何らかの示唆になればと先生方入魂の出来に仕上がっています(特に井上先生の「日中航空協定と大平正芳」は圧巻)。

     総ページ数500頁超でお値段もそこそこなのですが、多くの人に手に取ってもらいたい一冊です。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。92年、立教大学法学部を卒業後、96年までNHK記者。2001年、一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在は上智大学教授。著書に『バンドン会議と日本のアジア復帰』(草思社、2001年)、『戦後アジア秩序の模索と日本』(創文社、2004年、サントリー学芸賞・中曽根康弘賞受賞)、『現代日本外交史』(中公新書、2016年)、共編著として『戦後日本のアジア外交』(ミネルヴァ書房、2015年、国際開発研究大来賞受賞)、『普天間・辺野古 歪められた二〇年』(集英社新書、2016年)などがある。

「2017年 『増補 海洋国家日本の戦後史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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