死ぬまで生きる日記

著者 :
  • 生きのびるブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910790091

作品紹介・あらすじ

日常生活はほとんど支障なく送れる。「楽しい」や「嬉しい」、「おもしろい」といった感情もちゃんと味わえる。それなのに、ほぼ毎日「死にたい」と思うのはなぜだろう? カウンセラーや周囲との対話を通して、ままならない自己を掘り進めた約2年間の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 【言葉のちからを集めよう #02】文筆家 土門蘭さん「言葉を生み出すことで、生きてこれた」 | 京都で読みものをつくっています。編集・ライター【文と編集の杜】
    https://bhnomori.com/column/3954/

    土門蘭 「死ぬまで生きる日記」 第12回 (最終回)『書いて、読むことで、私たちは何度でも出会えます』 | 生きのびるブックス
    https://ikinobirubooks.jp/series/domon-ran/961/

    土門蘭|note
    https://note.com/yorusube/

    生きのびるブックスの本 - 生きのびるブックス株式会社
    https://www.ikinobirubooks.co.jp/bookshelf/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      【GQ読書案内】心と体をねぎらおう。「自分に寄り添うための本」3冊 | GQ JAPAN
      https://www.gqjapan.jp/ar...
      【GQ読書案内】心と体をねぎらおう。「自分に寄り添うための本」3冊 | GQ JAPAN
      https://www.gqjapan.jp/article/20230530-gq-books-guide-may
      2023/06/07
  • どうしてだか突発的に「死にたい」と思ってしまう土門さんが、どうして自分はそう思ってしまうのかを考えるために、カウンセラーの本田さんと一緒に、自分と向き合った2年間の記録

    「死にたい」とまではいかないけれど、実は、大型連休が苦手だとか、どうにもこうにも暇をだらだら過ごすことが苦手で何故か日々タスクを設けて頑張り続けてしまう自分に、疲労困憊な人。
    理想的なお母さんが欲しかったと、思ったことがある人、在日二世や三世など出自の葛藤がある人、とかで、自分について考えたい人は、土門さんとカウンセラーさんとのやり取り(全12回)を通して、カウンセリングを追体験したような気持ちになる、かもしれない本。 

    『自分が自分のお母さんになれるように練習する日記』

    予約してからなかなか長かった。
    それだけ需要があるということだ。

    自傷の古傷を、突然、これ見せたっけと、ある人から言われた経験があり、こういう気持ちになってしまう、なってしまうに至る人の気持ちが、少しはわかるかなと思って読んでみた本
    (土門さんは自傷はしないと決めている)

    お友達が言ってあげている言葉もとてもよかったし、息子の言葉もよかった。
    もちろん、土門さんと本田さんのやり取りも。

    誰かに相談するには、その人のことを信頼していないとまずできない。相談できないと、悩みを一人で抱えることになって、苦しくなる。誰かに聞いてほしい。でも、相談するのも怖い。
    誰かを信じて、傷つきたくないからだ。

    どんな自分を出しても、受け止めて、聞き続けてくれる人、一緒に悩みを考え続けてくれる人がいてくれた時、ようやく人は、少しずつ人を信じられるようになるんだと思う。

    なかなかそういう人を、相性もよく、タイミングよく見つけるのは、とても難しい。大変な時は、そもそも探すパワーが時すでに、おそらく無い。

    この本は、まずは誰でも手が届き、手に取ることができる相棒になり得るのではと思う。

    少しでも、自分に似ている人が、本の中にいるかもしれない。

  • タイトルに惹かれてふと手に取ったのだけど、この本に出会えてよかった。
    何か理由があるわけでもないのに、ふとしたときに「死にたい」って思うことがあって(深刻なものではないし、もちろん実行しないけど…)、なんでこういう風に思ってしまうんだろうと自分自身が不思議だった。
    自分以外にこんな発想をする人を見つけたのは土門さんが初めてで、ビックリ。
    身近な人には口に出来ないことを、見事に代弁してもらったような気分。
    そして、カウンセリングを疑似体験したようで、新たな気付きがたくさんあった。
    「自己満足リスト」「マザーリング」「認知行動療法」は、是非取り入れていきたい。
    よくある「生き方」やカウンセリングの本より、ずっと心に響いた。

  • 「死にたい」という気持ちに対して、真摯に向き合った作者だからこその、実の言葉で書かれた作品だった。

    死にたいと思ったことのある人であれば、共感できることや新しいものの見方を得ることができるかもしれない。
    私は死にたいと思うことはほとんどないので、その心の動きについて知ることができてよかったと思う。ものの見方や感情の捉え方を広げてくれた。

    考えて深めてそれを言語化することの意味についても考えさせられた。読みながら、確実に変化している作者に希望を見た。得体の知れないものに対する恐怖を克服するには、そのものに向き合ってしっかり考えて言語化していくことは本当に大事だと思った。

    生きづらさを感じている人に、そして苦しんでいる人を理解したいと考えている人に薦めたい作品。

  • 「死にたい」と思う感情に対して、カウンセラーとのやりとをし、自分なりの解釈を辿っていく。
    読み出して、自分と重なるどころもありしんどく、途中で読めなくなるかもと思った。もう少し・・と読み進めると内容的に少し光がみえてきたり、興味深くなり読了出来た。
    とにかく、カウンセラーてすごいと思った。資格も持ち勉強もされているだろうけど、死にたいと思う人を深堀りしたり、生きていくという・・しかもその方にあったアプローチをするということができることに感動した。
    こういう風に考えればよいのかとも思い参考になった。
    土門さんの感覚が少しわかるように思った。「帰りたい」。私もこの感情が常にあり。早くこの生活をおわらせて帰りたい・・・と思う。

  • 子どもの頃から25年間、「死にたい」気持ちを抱え続けてきた著者がカウンセリングを通じて自分に向き合い、感じたこと、考えたことをありのままに綴ったエッセイ。
    不自由なく生活しているのにふと「死にたい」と思ってしまうこと、身体は疲れきっているのに頭は不安でいっぱいで眠れない夜、幸せを怖いと感じることーー ああ、これ自分もそうだと思う箇所がいくつもあり、読んでいて心が揺さぶられた。著者の土門さんとカウンセラーの本田さんの対話が、そのまま読者にとってもカウンセリングを受けているかのような読書体験だった。
    やがて本田さんとのカウンセリングは最終回を迎えるが、人と人の関係が終わるとはどういうことか?を考える場面で、たとえ会えなくなっても心の中にその人がいる限り、一人でいるときも一人ではない「お守り」のような存在になるという言葉がじんわりと染みた。
    生きている限りいつか人との別れは訪れるし、自分もいつか必ず死ぬ。いつか死ぬそのときまで生きづらさを抱えるすべての人に、この本は寄り添ってくれる「お守り」のような存在だ。

  • 「死にたい」と毎日位思ってしまい、生きるのが苦しい作者が、認知行動療法をベースにしたカウンセリングを受けて、死にたい気持ちがどういうものなのか自分の中で理解して整理していく記録。カウンセリングをこうしましたという事例の本はよくあるけど、受けた方が自分のことを書いた本は初めて読んだので興味深かった。

  • 希死念慮がちょうど私にとってタイムリーな話題だったので、興味を惹かれて読んだ。私も楽しさや嬉しさがいくらあっても唐突にいきなり希死念慮が訪れて飲み込まれる時がある。この苦しみは何なのだろうとずっと思いながら文章を書くことで気持ちをまぎらせてきたからこそ、このエッセイは私も経験する事を作者がカウンセラーとの会話を通して言語化して解きほぐしていっていて面白かった。
    「死にたい」が「帰りたい」で「書きたい」という言い換えになること。
    私も、社会一般の規範に押しつぶされてしまいそうに感じるとき、「ここは自分の居場所じゃない」と感じて、ここを自分の居場所にしたいから、自分がいられる居場所を増やしたいからこそ、気持ちを言語化して精神的に「場所を増やして」いるという感覚がある。文章を書くことは、私の延命に繋がるし、私を希死念慮を引き起こす孤独感から救う手段なのだ。という事がこの本を呼んではっきりとわかってスッキリした。
    言葉にすることは私を救う。

    たまに読み返したいと思った。

  • 著者がカウンセリングを受けながら自己の「死にたい」思いを考え、書き、また考え、という日々のエッセイ。「死にたい」を「帰りたい」と表現できるようになる瞬間にものすごくグッときた。私も、そのように思ってきた人間だから。

  •  死にたいという思いを抱えながら生きている蘭さんが、その思いと向き合いながらつづった本。本田さんとのオンラインカウンセリングで感じたことも細やかに言語化されている。家や社会への安心感がなかったこと、ミックスルーツでみんなと違うという感覚、みんなを騙しているような感覚を持っていたこと、死にたい気持ちと向き合って別の言葉での表現を見つけたことなどなど。
     私は死にたい人に関わる仕事をしていて、その人たちの想いに寄り添う立場だけれど、共感を言語化する語彙力が足りないなって思うことがよくある。蘭さんのように、よくわからないけど突然死にたくなるという人を理解して一緒にいるために、蘭さんが自分の想いを言語化してくださることがとてもありがたい。
     そして、カウンセラーの本田さん、この書籍化を許可されたところがすごい勇気だなと思う。カウンセリングや支援っていろいろ理論はあるものの、正解がない仕事。だからこそ、自分の支援のありかた、クライエントとやり取りした言葉やそれによってクライエントがどう思ったかが文字になって残ってしまうのって怖いところはあると思うし、だれがどう読むかどんな反応があるかわからないと考えると、守秘義務のある専門職の間で事例検討に出すのとは違った緊張感があると思う。にもかかわらず書籍化を許可された背景には、プロとしての自信もあるだろうし、蘭さんとのセッションを通じて蘭さんにとって生きることは書くことだということを感じ取られたこともあるんだろうなとも思う。
     支援者としても蘭さんと本田さんの言葉から学ぶことは多かったありがたい本。お2人と、おすすめしてくれた友人に感謝。

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著者プロフィール

1985年広島県生まれ。小説・短歌などの文芸作品や、インタビュー記事の執筆を行う。著書に歌画集『100年後あなたもわたしもいない日に』(寺田マユミとの共著)、インタビュー集『経営者の孤独。』、小説『戦争と五人の女』、エッセイ『そもそも交換日記』(桜林直子との共著)がある。

「2023年 『死ぬまで生きる日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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