哲学する〈父〉たちの語らい ダウン症・自閉症の〈娘〉との暮らし

  • 生活思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784916112255

作品紹介・あらすじ

誕生から親なき後まで、トイレ・入浴介助、ファッション・好きなことなど生活のエピソードから、障がいってなんなのか? 障がいの軽重って? この子の人生は? 福祉とはケアとは…を語り合う。母が語ることが多い、「障がいがある子の生活」を父親が語ることが、まずもって珍しい。ただただ「たいへん」、ただただ「がんばってます」話ではなく、日々の生活での互いの存在を、哲学する人がじっくりと、だけどやっぱりバタバタ・ちょっと首をかしげ、困ったなーと思って綴る。
娘と自分の関係、娘と社会との関係をじっくり眺めてみると、他者・社会とのかかわりがあれば、「障がい」が障がいでなくなっていく、個々の努力のみに障がいの「克服」をゆだねるのではなく、社会が「障がい」をみんなでどう取り込んでいくのかがカギなのだ、と思いいたる父たち。
障がいがある子どもをもつ親だけでなく、どう子どもとかかわったらいいか、悩んでいる人たちにも参考になる話題が満載。哲学はこむずかしいものではなく、「哲学ってこういうもんなんだ」と、哲学する楽しみも。父たちの素朴な語りに、耳を傾けてください。

感想・レビュー・書評

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  • 臨床用に購入。子育てや障害に対する父親たちの葛藤や戸惑い,期待と愛情がないまぜになった複雑な感情がすごく素直に語られている気がする。これを書くのには勇気がいっただろうなと想像する。一応その道の専門家のつもりなので,障害を持つ子どもの親の気持ちはそれなりに想像できていたつもりだったが,それは単なる思いあがりだったなと反省もしてしまった。著者たちは障害を持つ子どもの父親であり,哲学者でもあるので,「そんなところまで哲学的に考えるのか…」となかなか新鮮だった。

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著者プロフィール

1954年,神戸市生まれ。社会哲学・生命倫理学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会福祉法人いぶき福祉会評議員。現在,岐阜大学地域科学部教授(2020年3月31日定年退職)。
著書:『「弱者」の哲学』大月書店・1993年,『現代平等論ガイド』青木書店・1999年,『平等論哲学への道程』青木書店・2001年,『いのちの平等論――現代の優生思想に抗して』岩波書店・2005年,『哲学塾 新自由主義の嘘』岩波書店・2007年,『平等の哲学――新しい福祉思想の扉をひらく』大月書店・2010年,ほか。
共著・編著:『哲学する〈父〉(わたし)たちの語らい ダウン症・自閉症の〈娘〉(あなた)との暮らし』(藤谷秀との共著)生活思想社・2013年,『なぜ,市場化に違和感をいだくのか?――市場の「内」と「外」のせめぎ合い』晃洋書房・2014年(高橋弦との編著),『社会権――人権を実現するもの』大月書店・2017年(吉崎祥司との共著),ほか。

「2020年 『いのちと平等をめぐる13章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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