- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784924831957
感想・レビュー・書評
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・「アメリカの市民生活には一つのリズムがある。そして学生生活も何のてらいもなくその一部分でしかない。月曜から金曜までは先進仕事や学業に集中し,土曜は男女関係を契機とした動的な娯楽の日であり,日曜は家族関係を契機とした静的な憩いの日となる」(都留重人)
・「商売がうまく行って一息つけるようになると,休む暇なく政治の世界に飛び込む。もし忙しく働いた一年が終わり休みが取れようものなら好奇心にかられ広大な合衆国の旅に出かける。そして休暇と称しながら,数日のうちに五百マイルも制覇するのである」(トクヴィル)
・ブローバという著名な企業が十万個という大量の注文をくれたとき,同社の商標をつけるという条件を拒否してトランジスタラジオの商談が成立しなかったという話はいまや伝説となっている。ブローバの担当者は,「我が社は五十年も続いた有名な会社なんですよ。あなたの会社のブランドなんてアメリカでは誰も知らない」と言ったが,盛田は「五十年後にはきっと現在のあなたの会社に負けないくらい,我が社を有名にしてご覧に入れます」と啖呵を切った。その後ソニーがブローバを追い越すのに,五十年はおろか十年もかからなかったのは言うまでもない。(盛田昭夫)
・「考えてみればアメリカの画一性というのは日常生活を大量生産による物資(家屋,自動車,家具,衣類,食料等)でまかなっていることからくるもので,全アメリカ人が同じ印の缶詰を食っているからといって,必ずしも全アメリカ人が同じことを考えているわけではない。それどころか,州により,地域により,実に千差万別の慣習があり,法律があり,各個人の自由は精一杯尊重されている。」(安岡章太郎)
・「語学というのは,実は相手の顔を身覚えることから始まるのだということを,この滞在で初めて知った。顔の特色は最初,自分と相手の違いを感じさせるが,見慣れるうちに,その顔はやがて自分の中に入ってくる。いま私はP婦人を見ても彼女がアメリカ人であるとは思わず,自分の顔のことをもまた忘れてしまっている。」(安岡章太郎)
・「椎名さん,どうしてアメリカに留学した人の中から,大勢反米の人が出るんでしょうか」「ううん,アメリカに英語を勉強しに行ったからじゃないか。英語の勉強はねえ,君,いくら努力したってかなわないからねえ,そりゃあ劣等感を抱きますよ」(椎名素夫)
・「アメリカは,何年住んでも分からない国です。この国に人間がわたってきて住むようになると,かつての自分を忘れて,別の自分になろうとするんでしょうね。それは,人間にとってたまらない魅力です(中略)戦前の日本人は本当にひどい排斥を受けた。(中略)でも,差別がいかにひどくても。自分の願望がどこかで認められている。そういう気持ちが会ったからこそ,人々はアメリカに残り,生活しているんでしょう」(石川好が出会った日本人牧師の言葉)
・「豊かさと貧しさが,幸福と不幸とが,成功と没落が,いつもピッタリ背中合わせになった,板子一枚下は地獄といった感じの社会でアメリカ人は生きている」(桐島洋子『淋しいアメリカ人』)
・「夢に破れつつも理想を探してさまよい歩くアメリカ人,淋しさに歯を食いしばりながらもさまようアメリカ人,皆,私と同じ人々であった。(中略)彼らの人生が孤独な旅であること。そのことは彼らが意識をしようとしまいと私には確かなことと思われた。そしてそれは人生を旅とみなす西行や芭蕉を代表とする日本人の人生観と一致していた。この点において私は,彼らとの間に,深いアイデンティティを見いだしたといえる」(藤原正彦『若き数学者のアメリカ』)詳細をみるコメント0件をすべて表示