中原中也の鎌倉

著者 :
  • 冬花社
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本棚登録 : 12
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784925236966

作品紹介・あらすじ

中原中也を、青春のノスタルジーだけで読んではいけない。鎌倉で30歳の生涯を閉じた中原にとって「鎌倉」はいかなる地であったか。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに鎌倉があったので目に留まり借りてきた1冊。

    30年の短い生涯。その最晩年を鎌倉ですごしたとのこと。
    小林秀雄と女優・長谷川康子をめぐる三角関係これは気になりました。
    結局2人とも振り回されたあげくにフラられるとか、自由奔放な生き方の康子だけど女優としては成功できず、男を頼りにしなければ生きていけない事情もあるようでした。
    この辺は、本書よりも靖子の自伝「ゆきてかえらぬー中原中也との愛」のが詳しいようなのでこちらも読んでみたく思いました。
    (中也は酒乱で毒舌吐いてただとか、近づきたくないなぁ)

    有名なサーカスの詩とか
    「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」の下りがなく残念でした。
    骨の解説は書かれてましたがわかりぬくい
    「ホラホラこれが僕の骨」と始まる詩、詩は朗読することによってイメージが膨らむとのことだけど
    何処目線なのかと思えば魂は肉体から離れて火葬された後に戻ってきてるような超絶な視点
    まさに死の朗読だぁ

    2歳の長男を亡くして精神患ってたそうで鎌倉には再起を求めて転居したようですが、中也の日記に元気になったと3人に電話かけたとあり、その中に深田久弥の名も記されてたのが興味ありました。

    どうやって多くの文化人達と知り合うことができたのか興味あるんですがそこらの事情は本書から読みとることができませんでした。

    文化人のたまり場のような酒場があり、そこらで知り合ったような気がするのですがコミュ症の私には無理っぽい。

    • まことさん
      しじみさん。初めまして♪

      フォローありがとうございます。
      中原中也と小林秀雄と、元大部屋女優の女文士との三角関係は、私は昨年、窪美澄さんの...
      しじみさん。初めまして♪

      フォローありがとうございます。
      中原中也と小林秀雄と、元大部屋女優の女文士との三角関係は、私は昨年、窪美澄さんの小説『夏日狂想』で、読みました。
      中原中也がいたいけで、泣けました。
      では、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
      2023/03/27
    • つくねさん
      まことさん、こんにちはw

      ピンポンダッシュのようにフォローしてしまいましたが、
      コメントいただき恐縮しております。
      短歌にも造詣深...
      まことさん、こんにちはw

      ピンポンダッシュのようにフォローしてしまいましたが、
      コメントいただき恐縮しております。
      短歌にも造詣深いご様子ですね。
      こちらこそよろしくお願いします。


      2023/03/27
  • 鎌倉のページをつまみ読み。
    ゆかりの地巡りをしたい。

  • 沈みゆく夕陽いとしも海の果てかゞやきまさり沈みゆくかも
     中原中也

     「汚れつちまつた悲しみに」など、七五調や語り物ふうの独特の韻律で親しまれている詩人。1907年(明治40年)、山口県生まれ。軍医の家の長男であった。
    30歳の若さで病没した中也を、かつて恋敵でもあった小林秀雄は、「詩人といふよりも寧ろ告白者だつた」と評している。いったい何を「告白」したのだろうか。
     中也の詩を短歌にし、中也に関する著作も多い福島泰樹は、近刊で、中也が最晩年を過ごした鎌倉から考察している。
     鎌倉に転居する直前、中也は極度の神経衰弱で千葉市内の療養所に入院していた。前年に長男が2歳で病死し、大きな喪失感におそわれていたのだ。掲出の短歌は、療養中のノートに書かれたものだが、書くことで心を落ちつかせていたようでもある。
     他方、「ホラホラ、これが僕の骨だ」で始まる不吉な詩は、夭折【ようせつ】した愛児が妻の胎内にいたころに書いたものだ。
     また、その愛児が生まれたとき、数年前に亡くなった弟を思い、
     
    「月下の僕か弟か/おほかた僕には違ひなゐけど/死んで行つたは、/―あれはあやめの花ぢやろか」

    と、まるで自らが死者のような、他界からの視線で現世を見つめてもいた。
     生涯職に就かず、詩作にのみ徹した中也には、あらゆる悲しみが押し寄せていたのだろう。おどけたような口調の詩は、自己断罪の言語化だったことも思われる。
     長男の死、そして自身の死をも見通していた=「告白」していたような中也の詩を、秋の夜にじっくり読み直してみたい。

    (2014年9月21日掲載)

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著者プロフィール

1943 年 3 月、東京市下谷區に最後の東京市民として生まれる。早稲田大学文学部卒。1969 年秋、歌集『バリケード・一九六六年二月』でデビュー、 「短歌絶叫コンサート」を創出、朗読ブームの火付け役を果たす。以後、世 界の各地で朗読。全国 1700 ステージをこなす。単行歌集 35 冊の他、『福 島泰樹歌集』(国文社)、『福島泰樹全歌集』(河出書房新社)、『定本 中也 断唱』(思潮社)、評論集『追憶の風景』(晶文社)、『自伝風 私の短歌のつ くり方』(言視舎)、D V D『福島泰樹短歌絶叫コンサート総集編 / 遙かなる友へ』(クエスト)、CD『短歌絶叫 遙かなる朋へ』(人間社)など著作多数。 毎月 10 日、東京吉祥寺「曼荼羅」での月例短歌絶叫コンサートも 39 年を迎えた。

「2023年 『大正十二年九月一日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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