- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784938984564
作品紹介・あらすじ
この本は、「琉球・沖縄史」の教科書(入門書)として、おもに中学生以上の若い世代に読んでもらうためにまとめた。
感想・レビュー・書評
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歴史を学ぶには、中高生の参考書がいい。というわけで、読谷の琉球村の売店で買ってみた。
大正解!ジュニア版といっても、先史時代から21世紀までしっかり網羅されていて、全体像をつかむにはこれぐらいがちょうどいい。何年かおきに読み返したい。
沖縄をいろいろ知りたいと思って学んできたけれど、先史時代もよくしらない(今回読み終わってもそんなに覚えていない)し、知識の濃淡が激しいなと思った。
琉球王国に思いを寄せると、薩摩侵略の際に(中国が秀吉の朝鮮出征で疲弊していたとはいえ)もうちょっとがんばれなかったのかということと、大航海時代をいち早く察知したんだからそこで国力増強に動けなかったのかと悔しい思いがする。国体に固執すると柔軟に動けなくなることの典型
一方、戦後の沖縄については、経済についての記述が少なく、土建屋やオリオンビールの話もなくちょっと物足りない。それに、特に戦後は中立的とはいえない記述も多いかなぁと思った。
ただ、全体的に見れば琉球・沖縄の独自の歴史を知るには非常に適した本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
沖縄県立博物館・美術館で入手。ジュニア版となっているが、とても読みやすくて面白い。明治以降はともかくとして、先史〜近世までの琉球史は、高校までの日本史にはほとんど出てこない話ではないだろうか(高校で履修していないので是非履修した人の感想を聞いてみたい)。琉球には日本列島とは全く異なった独自の文化や社会があり、これまで博物館等で見聞きしていたことを、まとめて頭に入れることが出来、興味深かった。
先史時代で言えば、琉球列島は縄文・弥生という区切りではまとまらないのであり、独自の貝塚時代(縄文前期〜平安中頃)という区切りを入れている。沖縄産の貝はこの時代、主要な交易品であり、中国や北海道まで届いていたのはとても興味深いことである。
ところどころ取り入れられたコラムが素朴な問題を取り上げていて(例えば、有名な八重山・宮古の人頭税は本当に厳しかったのか?、石敢当やシーサーはいつから普及したのか?等)、これが結構面白かったので、ここから読み終えてしまった。
戦後のパートは、全面的に基地や箱物財政に依存する沖縄の負の社会問題で埋め尽くされており、本書の政治的立場をここから知ることが出来る。近世以前のパートでは、「沖縄の民族はやさしい非武の文化」という琉球を訪れた西洋人の感想に対して、琉球列島中で激しい戦争や卑劣な行為が幾度もあり、実態は異なっていたと本書の中で述べている。にも関わらず、戦後史のまとめでは「やさしい非武の沖縄」を強調しているのだ。 -
沖縄タイムス 2010.01.04 選者:新城俊昭