わらの牛 (ウクライナ民話 ラチョーフ・シリーズ3) (ウクライナ民話/ラチョーフ・シリーズ: 3)
- ネット武蔵野 (2003年10月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (30ページ)
- / ISBN・EAN: 9784944237746
感想・レビュー・書評
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ロングセラー絵本『てぶくろ』のエヴゲーニイラチョーフのウクライナ民話シリーズの第三弾。
ちなみに第一弾は『てぶくろ』のテキストにラチョーフが新しく絵をつけた、リボーン版『てぶくろ』。
表題の『わらの牛』は、おはなしの構造が『てぶくろ』に似ている。
貧乏な老夫婦が作った藁で作った子牛の人形。
「ねえ、おじいさん、わらで子牛を作っておくれ。まつやにたんとぬりつけてさ。」
松やに、とは、松の木から分泌される天然の樹脂のこと。触るとベタベタする。
松やにまみれの子牛を草原に連れて行くと、おばあさんは居眠りをしだした。
そこに暗い森から熊が出てきて、子牛にこう言う。
「ちょいと、まつやに分けてくれ。わきばらのきずを、ふさぎたいんだ。」
熊は子牛を掴み、わきばらに押し付けて、松やにを塗っていると急に子牛が張り付いた。
引っ張っても離れない。
熊は仕方なく子牛をくっつけたまま歩き出すと、おばあさんがぱちりと目を覚ました。
「おじいさん、おじいさん、あたしらの子牛がくまをつれてきたよ!」
おじいさんは、飛び出てきて、熊を穴蔵に放り込んだ。
次の日もおばあさんは子牛をつれて草原にいき、また居眠りをしてしまう。
するとそこに狐がやってきて―――。
少しずつ変奏を加えたメロディーを繰り返しながらだんだん盛り上がってゆく音楽みたいだと思った。
民話というものはこういうのが多いのだろうか。
ラチョーフの絵は旧版の『てぶくろ』のときより、色使いが明るく、カラフルで、華やか。
正直、はじめて見たときは前のダークな方が好きかな〜と思ったのだけど、キャラクターデザインは前の絵とおんなじなので、こっちもいいじゃん、と感じるようになった。
出てくる動物も旧版『てぶくろ』と種類が被っているものもあり、旧版『てぶくろ』に出てきた熊や狐が、また違う作品に出演している、と考えるのも愉しい。
他に『コトフェイのだんな』『きつねとかぼちゃとバイオリンとわな』『セルコ』の3編収録。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・かざりの色合いがすき
・がいこくっぽい
・自由なはなし -
動物を主人公にした、素朴な絵本です。