放浪の唄 ある人生記録

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  • 虹霓社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784990925246

作品紹介・あらすじ

最後の放浪詩人・高木護の原点
人間賛歌の自伝的エッセイ復刊

九州一円の野山を放浪しながら、その日暮らしの日雇い仕事。闇市番人、露天商、ドブロク屋、立ちん坊、人夫…。社会の底辺で出会った哀しくも愛すべきニンゲンたちとの交流をユーモラスに描き、放浪詩人・高木護の名を世に知らしめた出世作。半世紀ぶりに復刊。

稀有な放浪経験をもとに人の在り方を鋭く問うた『人間浮浪考』『人夫考』『野垂れ死考』など数々の優れたエッセイを遺した詩人の原点とも言える名編。しあわせなんてそこらにころがっているー放浪の末に高木がたどり着いた人間/自然讃歌は、生き方を忘れた私たちへの希望の唄である。

「わたしのような、何の取柄もない男の生き方は、一つしかない。
どんな逆境でも、のんべんだらりと、それなら、それになりきって、ささやかなたのしみを見つけることだ。」

「ニンゲンなんて、おもしろく、おかしく生きるが儲けではないか。」(本文より)

著者プロフィール

 1927(昭和2)年に熊本県山鹿市(旧鹿本郡鹿北町)に生まれる。就職した博多の丸善書店で文学と出会い、詩や小説を書くようになる。1944(昭和19)年、陸軍気象部に少年軍属として入隊。南方戦線でマラリアに罹り九死に一生を得る。復員後は後遺症に悩まされ職に就けず、放浪の旅に。農家の日雇いをはじめ、劇団役者、闇市番人、露天商、ドブロク屋などで糊口をしのぎ、福岡県久留米市の詩人・丸山豊の詩誌『母音』で詩作を本格化させる。同人には松永伍一、川崎洋、谷川雁、森崎和江らがいた。
 1954(昭和29)年、初の本格的な詩集『夕御飯です』刊行。翌年頃から、ときおり町で立ちん坊や乞食見習い、拾い屋等をしながら、九州の野山をひたすら歩く。この経験が後に『野垂れ死考』『木賃宿に雨が降る』など数々の作品を生む。北九州・八幡の労働下宿で人夫をしていた1963(昭和38)年、雑誌『女性自身』で特集が組まれ、同誌を読んだ女性と結婚し上京。詩人・文筆家としての道を歩んでいく。
 1965(昭和40)年、自伝的エッセイ『放浪の唄ーある人生記録』を発表、反響を呼ぶ。以降、『天に近い一本の木』『鼻歌』などの詩集、『人間浮浪考』『人夫考』『あきらめ考』『忍術考』などのエッセイ集を次々と刊行する。
 九州一円の放浪(高木は「ぶらぶら歩き」と呼ぶ)や人夫仕事の体験を元に、どん底で生活する人間の哀しみと逞しさ、明るさ、愛しさをユーモアを交えて描いた。〝敢然と用を果たさない〟 高木が放浪の末にたどり着いた思想は、我々の足もとを揺さぶる。自由と反骨の人。2019年、急性心不全のため逝去。享年92歳。

「2022年 『放浪の唄 ある人生記録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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