12人の優しい日本人 [DVD]

監督 : 中原俊 
出演 : 塩見三省  豊川悦司 
  • パイオニアLDC
3.85
  • (191)
  • (242)
  • (228)
  • (20)
  • (8)
本棚登録 : 1090
感想 : 249
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102554316

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本に陪審員裁判制度が導入されるずっと前。
    もしも日本に陪審員裁判制度があったら?
    という設定の作品です。
    陪審員に選ばれた12人のあたふたを描きます。

    個性がバラバラの面々を目一杯デフォルメして、
    長時間一緒にいるはずのない個性同士をぶつけ、
    生まれる互いの困惑ぶりで笑わせます。

    20歳そこそこで、12人の人間の個性を描き出し、
    個性の衝突から生まれる困惑を笑いに変え、
    エンターテイメントに高めた三谷幸喜の才能に、
    改めて感じ入りました。

    厄介なお役目をさっさと終わらせたい面々。
    開始早々 無罪で全員一致、かと思われたとき、
    「もっとちゃんと話し合いましょうよぉ!」
    と言うひとりの男のせいで渋々話し合いが始まります。

    理屈で相手をねじ伏せることが好きな人、
    頭よく見せたいけどけど中身がスカスカの人、
    人の話をじっと聞けない人、
    興味のないことに無関心で非協力的な人、
    争い事がとにかく苦手な人、
    経験上無罪と思うけど論理的思考が苦手な人、
    雰囲気だけで主張をコロコロ変える人、
    仕切りたがりの人...。

    12人も集まったら、まぁ全員一致なんて難しい。
    みんな自分の主張を認めてもらいたいけど
    そうならないので、苛立ち、意固地になります。

    ダンマリを決め込んでいた、弁護士を名乗る男が
    人の主張を尊重しつつ、論理的に考察を進め始めてから、ようやくみんな「ふんふん成程、確かにそうだ。だったらこうも考えられる!」と議論が活性化しました。

    ファシリテーションが上手なことに加え、
    やはり権威にみんな弱いのかも知れません。

    しっかり話し合った結果、証言者の矛盾に気付き
    合理的に無罪を全員納得ずくで判決してなお、
    「もっとちゃんと話し合いましょうよぉ!」
    「被告の女は 無罪のはずがないでしょぉ!」
    と、また言い出す男。
    結局 逃げた女房と被告の女性を重ねていただけと
    指摘され、改めて全員一致で無罪を判決します。

    帰り際弁護士が老婦人に
    「実は僕、役者なんです。」
    と言って驚かせますが、やはり彼は弁護士だったと思います。

    熱く、長い1日が終わり、達成感を感じながら、
    みな晴れ晴れとした顔で帰宅するのでした。

  • 先にZoomのオンライン版を観てから、遡っての鑑賞。両方でてる相島さんは、今の年の方が役に合ってるかも?あえて違う役でのキャスティングも見たかったかも。
    トヨエツが若くて驚きますw
    もちろん相当面白いのだけど、Zoom版の方が好きかも。と思うのは、法廷モノゆえか、私個人が最近リーディング(朗読劇)が大好きだからか?どっちだろ。

  •  「NHKプレミアムシネマ」の解説に,

    三谷幸喜主宰の劇団東京サンシャインボーイズが、シドニー・ルメット監督の名作「十二人の怒れる男」をもとに作りあげた舞台劇を映画化した傑作コメディー。

    とあるように,本作品の舞台は,ほとんど〈ある一室〉に限られている。よくもまあ,これで2時間持たせるな」と感心するほどだ。それだけ,演技者の実力がタメされているとも言える。ほんど,舞台劇を見ている感じがしてくる。その1室には陪審員に選ばれた性別もお仕事も様々な12人の〈優しい日本人〉が集められているのだ。
     本作品は1991年製作だが,この後,日本でも裁判員制度が2009年に開始されている。

    《NHKプレミアムシネマ》の解説より
     ある殺人事件を審議するため集められた陪審員たち。被告が若く美人で、不幸な境遇にあったことから、審議開始後早々に全員一致で無罪との結論が出る。しかし、一人が異議を唱えたことから結論が二転三転、審議は大混乱となる…。個性あふれる出演者たちの演技もみどころ。  

  • 三谷作品にはまったきっかけになった作品。
    その当時ビデオで借りてはまり、何回も借りなおして観た思い出が。
    12人がしっかりとキャラ立ちしており、それぞれにイライラしたり、なるほどと思ったり。
    若き日の豊川さんが出ているのもなんだかいいですね。

  • ジンジャーエール!

  • 「12人の怒れる男たち」ときたらこれです。
    三谷幸喜の初期作品でもあり、おかしくて、おかしくて。
    が、やがて近代日本が継受したデモクラシーのあり方についてむむむっ、と考えさせられてしまいます。
    「12人の怒れる男たち」「12人の優しい日本人」両方イッキ見すると感慨ぶかいですぞ!! (ひー)

  • 最初応援してたメガネの人が
    途中でめんどくさくなってくる。
    不思議ー!

  • いやぁ、面白かったの一言!これぞ三谷幸喜!これが三谷幸喜!なんだろう、きっと。

    二転三転する流れ、ちらつくミスリード、演劇調の台詞まわし、
    唇のはしで笑いながらもラストではしんみり。

    これが才能なんだろうなぁ。
    もっと若いときにこれに出会っていたら、きっともっと人生が変わっていただろうな。悔しい。

  • トヨエツが喋り始めてからグッと面白くなった。
    前半は怒れる男の方が面白かったけど二番煎じだから仕方ないのかな。

    日本では議論とかしないからみんな困惑しているんだけど、なんだかリアリティがあった。
    説明しなくても分かってもらえる、察してもらえる文化だし、はっきり言わないことが美徳とされているから、突然意見を求められても困っちゃうよねー

    どうでもいいけど、エンドロールで女性の名前がほとんど◯子と◯美だったことに時代を感じた。
    あと甘栗太郎があったのでウケた。

  • タイトルそのまま日本人版『12人の怒れる男たち』である。

    陪審員制度によって集められた様々なタイプの日本人が一つの事件の有罪無罪を審議するが二転三転してまったくまとまらない、というワンシチュエーションもの。


    異常に優柔不断な人、思考を言語化するのが不得意な人、論理的な思考と言いつつ実は自分の好きなものを取捨選択しているだけの人など、12人の陪審員達がいちいち「こういう奴いるわー」と苦笑してしまうような、良い意味で類型的で象徴的な日本人像になっている。キャラクターは誇張されて描かれているが行動や言動に無理がなく、右へ左へ転がる会議も予想はつかないけれども納得のいくもので、終始気持ちよく観ることができた。

    登場人物が最初とその後で印象がガラリと変わるような演出があり、「この人は信用できそうだ」と思って観ていると後から馬脚を現すなど、映画を見ている自分自身の感覚すらもだんだん信用できなくなってくる展開が作為的に設定されており、自分も会議に参加しているような没入感と緊迫感を与えてくれる。

    セリフが多くて状況も二転三転し続ける怒濤の2時間だが、非常によくできている映画だと感じた。

    こんなに長時間集中して映画を観たのは久しぶり。終劇の後でぶはーーっと二時間分の空気を一気に吐き出した。

全249件中 1 - 10件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×