ボブ・ラフェルソンとジャック・ニコルソンが組んだ1970「ファイブ・イージー・ピーセス」は、我が青春のエバーグリーン。
本作は26年後の1996年作品。
アメリカン・ニュー・シネマって、だいたい主人公が死ぬか悲劇的に終わったりするが、作り手はだいたい(死ねず生き延びて)作り続けるのだなぁ、と。
ラフェルソンとニコルソンのコンビネーションは、数作あるらしい。
本作について箇条書きしてみる。
・ニコルソンが、妻や愛人や義息にとっては暴力的で大きい存在かもしれないが、観客視点に引いてみると結構小物、という点が、味わい深い。金は欲しいけど殺しは嫌だし、かつて愛撫した女が死なんとするときその乳房をまさぐってしまうし。終わりまでとにかく小物。「イージー・ライダー」「ファイブ・イージー・ピーセス」のあの人物が、その後こんな人生を送ったかもしれないと思うと、また立体的に思える。
・むしろマイケル・ケイン演じる相棒のほうが、暴力の臭いぷんぷんの悪。肺気腫? で常にゴホゴホしているけど。
・視点人物を演じるのは、スティヴン・ドーフ。この人の存在感のなさが、本作の存在感の薄さにつながっていると思う。劣化版ブラビ。
・ジェニファー・ロペス。金を巡ってすったもんだするという点では、オリバー・ストーン監督、ショーン・ペン主演「Uターン」での悪女が思い出されるが、面白さや手際よさでは「Uターン」のほうが断然上。
・ニコルソンの暴れぶりを見るのが目的の映画か。
私的メモ。
スティーヴン・ドーフ……インディーズ系中心。「タイタニック」オファーを断ったとのこと。
ジュディ・デイヴィス……ウディ・アレン作品に出ることが多いらしいが、個人的には「裸のランチ」が印象深い。