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- / ISBN・EAN: 4988135530431
感想・レビュー・書評
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『エクソシスト』、有名な作品ですが初めてちゃんと観ましてですね、自分の好きなホラー映画4位以内に入りました。因みに1位『シーバース』2位『キャリー』3位『ローズマリーの赤ちゃん』。『シーバース』以外は有名な作品なんで、昨年発表された「米サイトが選ぶ『死ぬまでに見るべきホラー映画20本』」というのに3本とも入ってますが、選ばれるには選ばれるだけの理由がやっぱりあるな、と。
オカルトホラー映画といえば『エクソシスト』と『オーメン』ってイメージですが、3年後の『オーメン』が駄作・・・は言い過ぎか、冗長で惜しい映画だったのに対してオカルトブームの火付け役となった『エクソシスト』はやはり大名作でした。
この前『エスパー魔美』のレビューで書いたんですが、オカルトブームの年ってはっきりと1973年でして、ユリ・ゲラーも『ノストラダムスの大予言』も『エクソシスト』も全部この年。翌年エスパー魔美の原型『赤毛のアン子』と『キャリー』の原作小説が発表されます。なんで73年にオカルトブームなのか?ってよくわかんないんですが、何があったかというと第四次中東戦争と、それを受けてオイルショックが起きた年でした。そういう「世界が破滅するかもしれない」という気分と合致したのかも。
この『エクソシスト』もイラクから始まります。冒頭に出るのはメソポタミアの魔神(悪霊)像で、あそこらへんの神話は旧約聖書・ユダヤ教・キリスト教やイスラム教のご先祖様でもあるんですが、表面的に見るとアラブ世界=邪教の魔神ということなんじゃないかな。
この映画の特徴として、怖いシーンは当然だから置いといて、普通のドラマパートがとっても「変」なんです。普通の映画の場合だと登場人物の行動には意味がありますよね。ちょっとしたカットやアップ、動作が伏線になったりしますけど、この映画の場合まったく意味がなかったり、話にあまり関係ないカットがけっこうある。そこが「怖い」とは思わないけど、とても不可解なんです。
これは後で知ったんですが、監督のウィリアム・フリードキンは元々ドキュメンタリーを撮ってた人で、『エクソシスト』はドキュメンタリー映画の手法で撮られてるそうです。日常を切り取った様な撮り方なので、普通の映画とは全然違う不可解な動作が入ったりする。
最初に書いた『シーバース』『キャリー』『ローズマリーの赤ちゃん』等、好きなホラー映画に共通する特徴があって、それは性的な話だということです(ただのサービスエロシーンに非ず)。『エクソシスト』も女の子が思春期を迎えて変わってくっていう話です。これまたこの映画の面白い点は、前半が非常に科学的なんですよね。お母さんは全然信心深くないし、脳のX線検査もする。(科学的な)精神疾患、思春期に変調をきたしてそうなったのか、それとも悪魔や霊が憑依したのか・・・科学とオカルトの間を意図的にぼやかしてるんです。だから観客は「これどっちなんだ?」ってなる。そこが怖いし、面白いところでもあります。
もうひとつこの映画の特徴としては、この映画はアメリカンニューシネマに非常に近いというかニューシネマそのものだと言っていいと思うんですよね。フリードキンが『エクソシスト』の前に撮ったのは『フレンチ・コネクション』ですが、これも一応ニューシネマに分類されます。アメリカン・ニューシネマの特徴って、最後に主人公が負けたり死んだりしますよね。
キャストについてですがマックス・フォン・シドーはこの頃まだ40代だけど老け役をやってますね。老けた後(最近)のイメージしかないからびっくり。
エレン・バースティンはほんとに良い女優さんで素敵でした。数本しか観たことないけど『アリスの恋』も『レクイエム・フォー・ドリーム』も(あと最近だと『インターステラー』か)、作品も女優さんとしても好きです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もう何年前かも忘れたくらい昔に見たことあったのですが、取り憑かれたシーンしか印象に残ってませんでした。今回もう一度見てみて本当に印象が変わりました。よくあるただホラーなかんじじゃなくて卓越した演出はもちろんのこと、きちんとストーリーと心があります。1974年の作品とは思えない、やはり名作なんだなぁと思いました。
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撮影現場では火災が起こり、リーガン役の子役が殺害予告され、映画関係者が立て続けに亡くなって「本当に」悪魔祓いをしたなど、なにかと作品以外の面でもオカルティックな『THE EXORCIST』は、知らない人は居ない、ホラー映画の金字塔的作品です。上映禁止となった国も多く、ある国の映画館では嘔吐用の袋が配られたとか。とにかくめちゃくちゃ怖くてやばい映画…らしいです。
でも実際観てみると、先入観よりかは怖くなく、むしろリーガンの豹変ぶりと、ちょっと大仰な、だからこそ味のある母や周囲の人々の演技に惹き込まれる作品でした。有名な音楽に有名なシーンばかりで、「あっ、これかあ」と感動したりもしました。
意外と怖くない、とは言いましたが、恐らく日本人の感覚ではそうであると言うだけで、作品の重要なテーマは悪魔祓い。その中には悪魔はもちろん、キリスト教カトリック、黒ミサなど、様々な宗教的モチーフが当たり前ですが散りばめられています。その方面の怖さが、どこかこの作品をホラー映画の域に留めさせない恐怖として上手く機能して、悪魔の像を恐ろしく形成していると思いました。終わり方もしっくりくる感じではなく、「そこで終わっちゃうの!?」となにやら不穏な感じでしたが、全体を通してみると1970年代に作られた映画だとは思えないくらいに上手くできたカタルシスだとも思いました。 -
緑のゲロ、回転する頭、浮遊するベッド、キリストにファックさせろ。
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あの有名なテーマ曲。
少女の首が逆回りする演出。
後半のエクソシストと悪霊の戦い。
名シーンの数々。
後味の悪いラストも印象的。 -
1973年公開のアメリカの映画。ホラー映画の金字塔としてあまりにも有名だが、「怖くない」という感想が意外と多いように、血みどろのスプラッターなどではないので、今の人には恐怖描写に物足りなさを感じる向きがあるのも理解はできる。とは言え、実在のカトリック修道会「イエズス会」の「悪魔祓い」という題材や、少女がグロテスクに変貌していく姿の描写は今もってやはり強烈。ローティーンの女の子にこれほど「性的」な芝居をさせるのも現在では困難であろう。解釈次第によっては、すべてをオカルトに帰す表面上のストーリーとは全く別の「真相」が成立するあたりに、この作品の「本当の怖さ」がある。
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めっちゃくちゃおもしろい。こんなおもしろいなんて!古さを全く感じない。
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「ジャパニーズ・ホラー」というジャンルが確立してしまった今となっては、邦画の方がよっぽど恐い、なんていう感想もあるかもしれない。
でも、ホラー・オカルト映画の先駆け作品として、この作品はいつまでも名作として君臨するはず。
CMで話題となった、リーガンが階段をブリッジして降りてくるシーンとか、ポルターガイスト現象や、メリン神父とカラス神父が悪霊と対峙するシーンは、全体から見ると、割合少ない。
そういった視覚的な恐怖よりも、カラス神父の苦悩や日常、シングルマザーであるリーガン母の苦悩を丁寧に描写することで、悪霊の邪悪さや悍ましさが際立ち、より一層の恐怖を与える。
こういう作品を見る度に、キリスト教について知識があって良かったな、と思う。